てっちレビュー

新聞記者が綴る読書、音楽、映画・・・etc.あと、記者の仕事あれこれ

読書

「ゴージャス★アイリン」荒木飛呂彦 第1話と第2話でアイリンの印象が違うのが面白い 悲しみを秘めた第2話のアイリンが好き

「荒木飛呂彦短編集 ゴージャス★アイリン」 「ゴージャス★アイリン」荒木飛呂彦 私は一方で、自分の心を隠すために化粧をするの 家族や仲間が死んだ悲しみを隠すため 血に潜む殺し屋の性質を隠すため そして、すべてを信じる 心の底から (「ゴージャス★アイ…

「生命の木」諸星大二郎 「知恵の木の実」なぜ禁断? 自分で考え「神の教え」に疑問を持たないようにかと想像 「不死が幸せか」も考えさせられる傑作短編

「生命の木」を収録した「妖怪ハンター」地の巻 「生命の木」諸星大二郎 人間は、知恵があるから、自分なりに進む道を選んだり、新しいことを思いついたりして、より良く生きようとする。 その半面、知恵があるために不安や疑問を抱き、悩んだり、苦しんだり…

「日本の怪談」ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 「水飴を買う女」に「母親の愛は死よりも強かった」と感想を添えたのが面白い 「子捨ての話」は「ばけばけ」トキの解釈が最高

「日本の怪談」 「日本の怪談」ラフカディオ・ハーン ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が紹介した怪談のひとつに「水飴を買う女」がある。 よく知られた怪談だと思うけど、簡単に紹介すると・・・ 身ごもったまま亡くなった女性が埋葬されてから赤ちゃんを…

「Newton」2026年2月号・特集「発見間近!?地球外生命」 液体の水がない環境の生命をどう探すかが面白い エディブルフルーツリボンの広告記事も目を引く

「Newton」2026年2月号 「Newton」2026年2月号・特集「発見間近!?地球外生命」 地球外生命を探す時、「水(H2O)が液体として存在する環境があるかどうか」が大きなポイントになっている。 太陽系で、地球には多種多様な生命があり…

「夢幻の如く」本宮ひろ志 「オマケの人生」を伸び伸びと送る信長に好感 東西の個性と融和を説く演説は、ユングの「タイプ論」に通じる

「夢幻の如く」本宮ひろ志 「夢幻の如く」本宮ひろ志 2023年春に長女(一人娘)が社会人になった時には、何だか、「務めを果たした」という気持ちになったものだ。 50代半ばとなり、「第2の人生」に思いを巡らせている。 そんな今、読み返すと、漫画…

「信長を殺した男〜本能寺の変431年目の真実〜」 似た者同士の関係は、いったん、すれ違いが起きると急速に壊れる 「笑顔」の魅力も興味深い

「信長を殺した男〜本能寺の変431年目の真実〜」 「信長を殺した男〜本能寺の変431年目の真実〜」漫画・藤堂裕、原案・明智憲三郎 新聞社に入って1年目の頃に付き合った女性(大学生)を思い出した。 合コンで出会った時からウマが合い、お互いに一目…

「2泊3日のぶらり日本史あるき」河合敦 強引に鳥取を貶めた司馬遼太郎「街道をゆく」に反論

「2泊3日のぶらり日本史あるき」と「街道をゆく27因幡・伯耆のみち、梼原街道」 「2泊3日のぶらり日本史あるき」河合敦 私は昔、「街道をゆく27因幡・伯耆のみち、檮原街道」を読んで、司馬遼太郎が嫌いになった。 この人は決めつけが多いと聞いたこ…

望月三起也「伝鬼」 魔物に魅入られた人妻を斬り殺す場面が頭に焼きついた 殺さなくてもいいのでは・・・ あっけらかんとしたヒロインが救い

「冒険SF傑作選 伝鬼」 望月三起也「伝鬼」 魔物に魅入られた人妻を魔物と一緒に斬り殺してしまう場面が頭に焼きついた。 別に斬り殺さなくてもいいんじゃないの?と思うのだけど・・・ 望月三起也の「伝鬼」は、剣と魔法の異世界が舞台の伝奇漫画。 この…

「MOE 2026年1月号 水森亜土 時を超えるカワイイの魔法」 懐かしく可愛らしい女の子 描きためたスケッチブックが興味深い

「MOE 2026年1月号」 「MOE 2026年1月号 水森亜土 時を超えるカワイイの魔法」 絵本とキャラクターを扱う月刊誌「MOE」の2026年1月号の特集は、イラストレーター水森亜土。 表紙を見て、即刻買った。 まつ毛が長くて丸顔の可愛らし…

「Newton別冊 体のしくみと病気」 社会の衛生状態が良くなり、病原体に感染する機会が減って、アレルギーが増えたとの仮説が面白い

「Newton別冊 体のしくみと病気」 「Newton別冊 体のしくみと病気」 カニやエビは日本人が大好きな食べ物だろう。 私もそうで、特にカニが大好き。 ところが、私の妻はカニにアレルギーがあり、食べない。 そして、長女はカニとエビの両方にアレ…

「道長ものがたり」山本淳子 強運を生かし、引き寄せる計算高さと行動力 そして、人間的な魅力 クールな紫式部も惹きつけた

「道長ものがたり」 「道長ものがたり」山本淳子 この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば 平安時代半ばの最高権力者・藤原道長が詠んだ歌は「この世はまるで私のもののようだ。何でも思い通りになる」という傲慢さを表すとの理解が一…

「おすしがふくをかいにきた」田中達也 シャリがネタを着替え、ショートケーキはイチゴのベッド・・・擬人化は空想の基本 かわいらしく仕上げていて楽しい

「おすしがふくをかいにきた」 「おすしがふくをかいにきた」田中達也 私は空想癖があるせいか、人と向かい合って話す時とか、しばらく相手の顔を見ていると、変な気持ちがわいてくる。 今、相手の目玉に指を突っ込んだら、どうなるだろうか、と。 もちろん…

「しっとり*ふわふわフェイクスイーツ」hiroe 見ているだけで楽しい 作れたら、もっと、いいけど、不器用な私には無理

「しっとり*ふわふわフェイクスイーツ」 「しっとり*ふわふわフェイクスイーツ」hiroe 私は食いしん坊で、食べ物を眺めていると心がウキウキする。 本物でなく、本でも十分。 好物のカツ丼やカレーライスは見ていて、食べた気分になれる。 スイーツや…

世界の傑作機「F2Yシーダート/P6Mシーマスター」 シーダートは海面で離着水するジェット飛行艇 軍用機ジェット化に空母の改良が追いつかない時代に誕生

「F2Yシーダート/P6Mシーマスター」 世界の傑作機「F2Yシーダート/P6Mシーマスター」 新しい技術は、アイデアの試行から生まれる。 米国で戦後の1950年代に開発、試験されたF2Yシーダートは、超音速を狙ってデルタ翼(三角形の主翼)を…

「万葉集から古代を読みとく」上野誠 個人的な感情を歌い、記して残した古代人に感謝 山上憶良の人間主義「子らを思ふ歌」 「竹取の翁の歌」は戯れ言か

「万葉集から古代を読みとく」 「万葉集から古代を読みとく」上野誠 和歌は、古くは歌い継いだ。 だから、覚えやすいよう、繰り返しが多いという。 たとえば、日本最古の和歌とされるスサノオのこの歌も、そうだと思った。 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八…

「八つ墓村」横溝正史 死に際に秘めた恋心を打ち明ける春代がせつない 「天真爛漫」とされる典子は終盤、策士ぶりを発揮して恋を成就させる

「八つ墓村」 「八つ墓村」横溝正史 初めて読んだのは中学生の頃だと思う。 実家の本棚に文庫本があった。 カバー絵がおどろおどろしいので、なかなか手が出なかったのだけど、洞窟での宝探しや謎解きがあり、面白かった。 (なお、実家にあった文庫本は、大…

「犬語の話し方」スタンレー・コレン 犬が言葉を理解する能力は人間の2歳児と同程度 人類は大昔に犬と暮らすようになったおかげで言葉を発達させられた

「犬語の話し方」 「犬語の話し方」スタンレー・コレン 「How To Speak Dog」 Stanley Coren 鳴き方や身振りで犬の気持ちを推し量るというだけでなく、犬が人間の言葉を発音できなくても、その意味を理解していることに触れていて、面白い。 カナダの心理学…

「HR GIGER ARh+」H.R.ギーガー 「BASTARD!!」「エイリアンクラッシュ」がギーガーの世界への入り口だった 古代エジプト風の作品も面白い

「HR GIGER ARh+」 「HR GIGER ARh+」H.R.ギーガー 私の場合、漫画「BASTARD!!─暗黒の破壊神─」(萩原一至)や、テレビゲーム「エイリアンクラッシュ」が、入り口だった。 スイスのイラストレーター、H.R.ギーガーは頭蓋骨や性器、機械を組み合…

「ドイツ軍の小失敗の研究」三野正洋 多彩で複雑な構造の戦車はモデラーには魅力なのだが・・・ 対ソ連戦でウニモグが生まれたという逸話も面白い

「ドイツ軍の小失敗の研究」 「ドイツ軍の小失敗の研究」三野正洋 小学生の頃、ミリタリープラモデルのブームが仲間内に到来した。 近所の駄菓子屋で扱っていたからだと思う。 タミヤが発売している各国の戦車を作り比べると、すぐに気づくのが、第2次世界…

「地獄の辞典」コラン・ド・プランシー 日本人はキツネを恐れている? 怪奇ブームの19世紀フランスで書かれた辞典 日本への誤解もまた面白い

「地獄の辞典」 「地獄の辞典」コラン・ド・プランシー 19世紀のフランスで書かれた本だという点を頭に入れて読まないといけない。 日本に関する記述とか、間違いが多いと言われるが、時代を考えると、そこは温かい目で見たほうがいい。 むしろ、当時のフ…

「北斗の拳イチゴ味」行徒妹 サウザーを主役にしたパロディギャグ漫画 「ターバンのガキ」ネタのしつこさを笑えるかが好みの分かれ道

「北斗の拳イチゴ味」 「北斗の拳イチゴ味」行徒妹 格闘漫画の傑作「北斗の拳」(原作・武論尊、作画・原哲夫)のパロディ作品で、ギャグ漫画。 原典の主人公ケンシロウと戦う強敵(とも)の1人、聖帝サウザーがここでは主役。 私は、サウザーが大好きなの…

「アダムとイヴの日記」マーク・トウェイン アダムとイヴそれぞれの視点で、すれ違いを経て愛情が芽生える過程が描かれる 全カップル必読の書

「アダムとイヴの日記」 「アダムとイヴの日記」マーク・トウェイン 前半が「アダムの日記」、後半が「イヴの日記」。 それぞれの視点で、出会いから、すれ違いを経て、愛情が芽生える過程が描かれる。 アダムとイヴの日記 (河出文庫 ト 11-1) 作者:マーク・…

「地球大進化 4 大量絶滅」NHK地球大進化プロジェクト 度重なる大量絶滅が生物の進化を促した ペルム紀末の事件では生物種の90~95%が絶滅 その後、恐竜の時代に

「地球大進化4大量絶滅」 「地球大進化 4 大量絶滅」NHK地球大進化プロジェクト 地球の歴史で、生物が大量に絶滅する事件が5度あった。 よく知られるのは、恐竜が滅びた中生代白亜紀末(6500万年前)の事件。当時存在した生物種の70%が絶滅した…

「ドゥエンデ」つのだじろう フラメンコを題材にしたオカルト作品 芸術は狂気みたいなところもあるのかもしれないと考えさせられた

「ドゥエンデ」 「ドゥエンデ」つのだじろう フラメンコを題材にした珍しい漫画。 作者は、オカルト漫画の第一人者つのだじろう。 「恐怖新聞」「うしろの百太郎」といったオカルト作品で知られるほか、私が大好きな大山倍達の伝記漫画「空手バカ一代」(原…

「恐竜大紀行」岸大武郎 少年ジャンプ黄金期の隠れた傑作 「命ある限り喰え」 恐竜のリアルな生態を淡々と描き、これが胸を打つ

「恐竜大紀行」 「恐竜大紀行」岸大武郎 淡々と描かれているのに、味わい深い。 言葉をしゃべるという点では、恐竜を擬人化していると言えるが、絵柄はあくまでもリアル路線。 このギャップが絶妙な魅力を醸し出す。 無表情にしか見えない恐竜に、悲哀を感じ…

「バオー来訪者」荒木飛呂彦 スミレと育朗の再会を想像させるラストに感動 ただ、いずれ寄生虫が育朗の体を突き破るのでは・・・この設定が惜しまれる

「バオー来訪者」 「バオー来訪者」荒木飛呂彦 漫画家・荒木飛呂彦の初期の傑作。 秘密組織によって、無敵の生物兵器「バオー」にされた少年が組織と戦うという設定に、まず、引き込まれた。 そして、スリリングで、スピーディーなストーリー展開。 何より、…

「東周英雄伝」(3)鄭問 孤高の武術家2人の生きざまが清々しい 愛を諦める姿がせつない女剣士・處女 弓の名手・養繇基は天真爛漫の極致

「東周英雄伝」第3巻 「東周英雄伝」(3)鄭問 台湾の漫画家・鄭問の「東周英雄伝」は、古代中国の春秋・戦国時代の王侯、武将、思想家らを取り上げる1話読み切りスタイルの作品。 1990年代初めに漫画雑誌「モーニング」に連載された。 私が好きな歴…

「手塚治虫キャラクター名鑑」 ロックは悪役を演じて人気が出た 「火の鳥」「ブラック・ジャック」にも悪役で登場 俳優に見立てたキャラクターを紹介

「手塚治虫キャラクター名鑑」 「手塚治虫キャラクター名鑑」 漫画家・手塚治虫の作品を初めて読んだのは、小学生の頃。 父が集めた「火の鳥」と「ブッダ」の単行本が実家の本棚にあり、自然に手に取った。 さまざまな時代が舞台となる「火の鳥」シリーズを…

「ジャズ名盤を聴け!」中山康樹 いわゆる名盤ガイドではない 音楽鑑賞は自由に楽しむものだと気づかされる名著 独断、毒舌の語り口も心地よい

「ジャズ名盤を聴け!」 「ジャズ名盤を聴け!」中山康樹 いわゆる名盤ガイドではない。 もっと、大事なこと、、、「音楽は自分の心で自由に楽しむものだ」ということに、気づかされる。 そして、笑ってしまうくらい独断、毒舌の語り口が痛快。 ジャズ評論家…

「犬を飼う」谷口ジロー 年老いた愛犬を看取るという地味な漫画 これが胸に染みる 犬でも猫でも可愛がった動物を看取った人なら共感するはず

「犬を飼うと12の短編」 「犬を飼う」谷口ジロー これは、谷口ジローでなければ、描けない。 というか、ほかの誰も描こうと思わないだろう。 「犬を飼う」は、年老いた愛犬を看取るという、ものすごく地味な漫画。 作者の実体験に基づく物語だという。 こ…