てっちレビュー

 読書、音楽、映画・・・etc.あと、記者の仕事あれこれ

読書

「カンビュセスの籤」藤子不二雄(藤子・F・不二雄) そこまでして生きるのか 重いテーマを考えさせられる全人類必読の作品 ラストがせつなすぎる

「カンビュセスの籤」 「カンビュセスの籤」藤子・F・不二雄 「藤子不二雄SF全短篇第1巻 カンビュセスの籤」は35編を収録。 藤子・F・不二雄(藤子不二雄)のSF短編の中でも屈指の傑作「カンビュセスの籤(くじ)」「ミノタウロスの皿」の2編が収…

「海神記」諸星大二郎 苦しむ人々が海神の子と希望の地を目指す 旅も苦難の連続 実質的なリーダー、悩める巫女オオタラシの成長に注目

「海神記」 「海神記」諸星大二郎 神話や古代史の世界を得意とする漫画家・諸星大二郎の傑作。 「海神記」は、「マッドメン」の次に好きな作品だ。 「マッドメン」でパプア・ニューギニアの架空の神話を描いたのに対し、「海神記」は古代日本を舞台とする。 …

「凄ノ王」永井豪 子どもの頃に見て衝撃を受けたトラウマ漫画 主人公の目の前で恋人が暴行される 悪魔は人間の心にいる 「デビルマン」に通じるメッセージ

「凄ノ王」 「凄ノ王」永井豪 小中学生の頃に読んで、衝撃を受け、トラウマになった漫画のひとつ。 物語序盤に、主人公・朱紗真悟の目の前で、恋人の雪代小百合が何人もの男たちに暴行される。 凄ノ王永井豪全巻・完結全9巻セットみ 全巻セット 講談社 ノー…

「アトンの娘」里中満智子 神とは何か、そして、愛とは 古代エジプトの王妃らが問う ツタンカーメン王の死や墓の謎も描く

「アトンの娘」 「アトンの娘」里中満智子 神とは何か。そして、愛とは─── 紀元前14世紀のエジプトを舞台にした漫画「アトンの娘」(里中満智子)は、この問いが大きなテーマだ。 主人公は、有名な王ツタンカーメンの王妃アンケセナーメン。 アンケセナー…

「みどりの守り神」藤子・F・不二雄 暴君のモラハラに耐えた少女の前には厳しい現実が待っていた NHKの短編ドラマを見て懐かしくなり、読み返した

「みどりの守り神」 「みどりの守り神」藤子・F・不二雄 主人公の少女、みどりが乗る旅客機が事故で雪山に墜落。 目覚めたみどりは坂口という青年に「生き残りは自分たち2人だけ」と告げられる。 2人は町を探して山を下ろうとするが、行けども行けども密…

「日本の面影」ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 鋭い観察力と感性 そして、神々の国・出雲への深い愛情 朝ドラ「ばけばけ」でどう描かれるか

「新編 日本の面影」「新編 日本の面影Ⅱ」 「日本の面影」ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 松江の一日は、寝ている私の耳の下から、ゆっくりと大きく脈打つ脈拍のように、ズシンズシンと響いてくる大きな振動で始まる。柔らかく、鈍い、何かを打ちつけるよ…

「マイガーランド」マツオヒロミ 女性が自らを祝福するランジェリーの世界を描く 美麗なイラスト集 ランジェリーの歴史の解説もある

「マイガーランド」 「マイガーランド」マツオヒロミ レトロモダンな女性を描くイラストレーター、マツオヒロミの画集「マイガーランド」はランジェリーがテーマ。 「あなたがあなたに贈る祝福のランジェリー」というキーワードに、女性にとってランジェリー…

「バット」寺沢武一 美女の黒騎士バットが異世界で活躍するドタバタ劇 ライバルの魔女マリアをもっと出してほしかった エリーゼ王国の女王も味のある脇役

「バット」 「バット」寺沢武一 漫画家・寺沢武一の「バット」は、「不思議の国のアリス」(マーク・トウェインの小説)のように、世界観を楽しむ作品。 代表作「コブラ」と似た雰囲気のある作品で、こちらは美女が主人公だ(「コブラ」に登場するドミニクに…

「マクロス・ラブ・ストーリー」徳木吉春・編 ミンメイ? 未沙? 私はミリアが好み ラブ要素の重要キャラの1人だと思うが、本書で登場は1ページのみ

「マクロス・ラブ・ストーリー」 「マクロス・ラブ・ストーリー」徳木吉春・編 わがままな美少女リン・ミンメイか、家庭的な地味子の早瀬未沙か─── テレビアニメの傑作「超時空要塞マクロス」の愛好家にとって、永遠の論点だろう。 「マクロス・ラブ・ストー…

「地球大進化 5 大陸大分裂」NHK地球大進化プロジェクト編 恐竜絶滅後の地上の覇者はトリウマ、チョコボに似た肉食巨鳥 哺乳類が生き延びられたのは大陸分裂のおかげ

「地球大進化 5 大陸大分裂」 「地球大進化 5 大陸大分裂」NHK地球大進化プロジェクト編 恐竜が絶滅した後、地上の覇者は、巨大な鳥だった。 5500万年前ごろに栄えていた肉食巨鳥の一種ディアトリマは体長2メートル、体重200キロ。翼が小さくて…

世界の傑作機「X-プレーンズ」 「エリア88」にも登場したX-29は群を抜くかっこよさ 極端に細長く、いかにも速そうなX-3は悲劇の実験機

世界の傑作機「X-プレーンズ」 世界の傑作機「X-プレーンズ」 新しい技術を試みたり、記録達成に特化したりする実験機は、特異な造形だったりして実用機とは違う魅力がある。 本書「X-プレーンズ」は、軍用機マニア向けの「世界の傑作機」シリーズの1冊…

「総員玉砕せよ!」水木しげる 旧日本軍の兵士の日常を描く 旧軍の「歩兵操典」、自衛隊の「新入隊員必携」と続く日本的な精神論も思い浮かぶ

「総員玉砕せよ!」 「大本営会」で知り合った元自衛隊員の方に、自衛隊の「新入隊員必携」を見せてもらったことがある。 (大本営会については、記事「富士総合火力演習に大興奮」を参照)。 www.tetch-review.com 「新入隊員必携」は手帳サイズのマニュア…

「F1全史1976-1980」「F1全史1981-1985」 グラウンドエフェクトカーの造形が大好き 幅広で平べったく地を這うような姿がかっこいい

「F1全史1976-1980」「F1全史1981-1985」 「F1全史1976-1980」「F1全史1981-1985」 自動車レースのF1で、私が好きな時代は、1970年代後半から80年代前半。 一番好きなドライバー、ジル・ヴィルヌーヴが活躍…

「紫式部ひとり語り」山本淳子 愛する人を失った時、人はどう生きるのか 身代わりを立てて愛すれば、癒やされるのだろうか

「紫式部ひとり語り」 「紫式部ひとり語り」山本淳子 愛する人を失った時、人はどう生きるのか。身代わりを立てて愛すれば、幾分は癒されるのだろうか。大切な人を失ったすべての人の問題だ─── 本書「紫式部ひとり語り」(山本淳子)は平安時代の作家、紫式…

「プロレス 至近距離の真実」ミスター高橋 ハルク・ホーガンとアンドレ・ザ・ジャイアントの対比が面白い 私はプロレスをショーだと薄々感じていても好きだった

「プロレス 至近距離の真実」 「プロレス 至近距離の真実」ミスター高橋 団塊ジュニア世代の私が子どもの頃、テレビのプロレス中継は人気番組だった。 家庭でお茶の間の話題になり、学校の教室でも話題になった。 私が特に好きなプロレスラーは、初代タイガ…

「タミヤニュースの世界」田宮模型編 背景のない「ホワイトパッケージ」、F1カーのタバコのロゴ廃止・・・タミヤの模型論や歩みがわかる 改造の手引きも面白い

「タミヤニュースの世界」 「タミヤニュースの世界」田宮模型編 戦車などミリタリーミニチュア(MM)シリーズで知られるプラモデルメーカー、タミヤが素晴らしいのは、高品質の製品を作るのは、もちろん、その楽しみ方まで導いてくれること。 そもそも、製…

「妖怪なんでも入門」水木しげる 妖怪の本質を的確に捉えた論考が素晴らしい 子どもの頃の愛読書の復刻版 大人目線で見ると、気づきがある

「妖怪なんでも入門」 「妖怪なんでも入門」水木しげる 私は、空想癖があるせいか、怖がりだ。 例えば、夜、真っ暗な山道を車で走る時は、ルームミラーを見られない。 何者かが後部座席にいてミラーに映ったら嫌だなと想像して、怖くなるからだ。 例えば、寝…

「漫画家本vol.14 高橋留美子本」 「めぞん一刻」は序盤の墓参りの逸話で「五代が惣一郎の墓の前にいるイメージが浮かんだ」という 好きな漫画家、SF作家の話も興味深い

「漫画家本vol.14 高橋留美子本」 「漫画家本vol.14 高橋留美子本」 本書は、漫画家・高橋留美子の画業を紹介する。 ロングインタビュー目当てに買った。なかなか、面白い。 漫画家本vol.14 高橋留美子本 (少年サンデーコミックススペシャル) 作者…

「アサヒグラフ別冊・美術特集 山元春挙」 大作「瑞祥」はロジャー・ディーンのような幻想的な風景画 美しい青色の海を見て、鳥取県岩美町の海岸を思い出した

「アサヒグラフ別冊・美術特集 山元春挙」 「アサヒグラフ別冊・美術特集 山元春挙」 日本画家・山元春挙の大作「瑞祥」が素晴らしい。 島根県安来市の足立美術館が所蔵。 数年前に足立美術館を訪れた時、一目見て、大好きなロジャー・ディーンの風景画みた…

「風の谷のナウシカ」(漫画)宮崎駿 クシャナ最高 劇場版アニメよりさらに魅力アップ 死んだ将兵に髪を切ってたむけるシーンがしびれる

「風の谷のナウシカ」 「風の谷のナウシカ」(漫画)宮崎駿 中学生くらいの頃だったろうか。 アニメ映画の名作「風の谷のナウシカ」をテレビ放映で見て感動。 原作とも言える漫画があると知り、即刻買った。 風の谷のナウシカ [DVD] ウォルト・ディズニー・…

「マガジンロンド」マツオヒロミ 架空の女性雑誌「RONDO」の歴史をたどる作品集 「創刊100年の雑誌」を通じて時代の雰囲気を醸す

「マガジンロンド」 「マガジンロンド」マツオヒロミ イラストレーター、マツオヒロミはレトロな雰囲気で美しい女性を描く。 憂いを帯びた目が特に魅力的だ。大好きな画家。 出版された作品集はもちろん全部、同人活動時代のミニ作品集もいくつか持っている…

「タイムボカン全集」 キャラデザインは天野喜孝、メカデザインは大河原邦男 三悪人のインパクト、一発ギャグや決めセリフが子どもを虜にした

「タイムボカン全集」 「タイムボカン全集」 テレビアニメ「タイムボカン」シリーズは1975年から83年にかけて7作品が放映され、団塊ジュニア世代等、当時の子どもたちを虜にした。 「タイムボカン全集」より。番組宣伝ポスター ドロンジョ等のお色気…

「ベイビーダヤンの世界」池田あきこ ふわふわしていて、ダヤンとはまた違った可愛さ イラストを眺めているだけで楽しい

「ベイビーダヤンの世界」 「ベイビーダヤンの世界」池田あきこ ダヤンは好き。書店で見つけて即購入した。 池田あきこが創作した人気キャラクターの猫、ダヤンが魔女のいたずらで赤ちゃんにされてしまったものが、ベイビーダヤン。 ダヤンは吊り上がった目…

「ブラック・エンジェルズ」平松伸二 法で裁けないド外道を暗殺する爽快感 そのブラックエンジェルの苦悩も描かれる ジュディが大好きで、あの件はショックだった

「ブラック・エンジェルズ」文庫版第2巻 「ブラック・エンジェルズ」平松伸二 法で裁けない悪党を、主人公の雪藤洋士たち「ブラックエンジェル」が暗殺する。 漫画家・平松伸二の代表作「ブラック・エンジェルズ」は、私セレクトで10本の指に入る大傑作漫…

「死体は語る」上野正彦 変死体の死因を調べる監察医、法医の仕事を紹介 家族や社会のあり方を考察する語り口が面白い

「死体は語る」 「死体は語る」上野正彦 犯罪で死亡した可能性がある変死体の死因を調べる医師がいる。 東京23区、大阪市、神戸市といった一部の大都市では「監察医」(公務員の法医)、それ以外の地域では地元の大学の「法医」が死体の状況を観察したり、…

「アオシマプラモの世界」はぬまあん オリジナルメカ「宇宙空母レッドホーク」が懐かしい 合体という仕掛けはもちろん、「地上も自走するのか」と子どもの想像心を刺激する造形だった

「アオシマプラモの世界」 「アオシマプラモの世界」はぬまあん 幼い頃、作って遊んだ「宇宙空母(スペースキャリア)レッドホーク」が懐かしくなった。 個性派の模型メーカー、アオシマが放ったオリジナルメカのプラモデル「合体マシン」シリーズの代表作。…

「アップルデザイン」ポール・クンケル著 20周年Macintoshスパルタカスを衝動買いしたことを思い出す 製品に至るデザイン案の数々が興味深い

「アップルデザイン」 「アップルデザイン」ポール・クンケル著、大谷和利訳 久しく触れていないが、Macintoshが好きだ。 私が初めて買ったパソコンはMacだった。 新聞社に入社1年目の1994年に当時、新製品だったPerforma(パフォーマ)5220を選…

「JIN─仁─」村上もとか 主人公・南方仁と2人の女性(橘咲、野風)の恋愛模様が爽やか 仁が2人に分かれた格好になる締めくくりがいい

「JIN─仁─」 「JIN─仁─」村上もとか 現代の脳外科医・南方仁が江戸時代末期にタイムスリップし、現代の医術で多くの人を救う物語。 当時の医術なら助からなかった患者を救う爽快感がいい。 有能な助手となる武家の娘・橘咲と吉原の花魁・野風という2…

「猛き黄金の国 道三」本宮ひろ志 道三に惚れながら策略のため他の男の愛人になる加奈に感情移入 道三が途中から加奈と距離を置き、裏切られるのは、なぜか

「猛き黄金の国 道三」 「猛き黄金の国 道三」本宮ひろ志 主人公・斎藤道三に惚れながら美濃国乗っ取りの策略に役立とうと、国主の愛人になる美女・加奈に感情移入した。 ほかに3人の女性をある意味、野望の踏み台としながら、憎まれない道三の描き方が秀逸…

「暴力大将」どおくまん 主人公・力道が新婚旅行先で、忘れられない初恋の相手・麗子と再会 漢(おとこ)漫画ながら、裏テーマの恋愛模様が興味深い

「暴力大将」 「暴力大将」どおくまん 主人公・力道剛が新婚旅行先で、行方不明だった初恋の女性・清水麗子と再会。力道は麗子に未練があり、麗子も力道に惹かれていた。力道と麗子はどうするか─── 漫画家・どおくまんの長編「暴力大将」は終盤、こんな状況…