「地球大進化 2 全球凍結」NHK地球大進化プロジェクト
宇宙の成り立ちをひもとく「銀河宇宙オデッセイ」と、地球や生命の成り立ちをひもとく「地球大進化」はどちらもNHKの特番で、本になっている。
面白くて、何度読み返しても飽きない。
地球大進化シリーズ第2巻「地球大進化 2 全球凍結」は、地球の歴史上、地球全体が凍りつく全球凍結があったとする「スノーボールアース仮説」について書いてある。
24億年前から22億年前にかけてと、8億前から6億年前にかけての2回、地球が寒冷化し、全ての海と陸が氷に閉ざされた。
そして、この大異変が生命の飛躍的な進化をもたらしたとする説だ。
この本は、、、
①全球凍結がなぜ起きたか
②どうやって温暖な状態に戻ったか
③全球凍結の間、生命はどうやって生き延びたか
④全球凍結がどのように生物の進化をもたらしたか
、、、を解説している。
かいつまんで言うと、、、
①(1回目の全球凍結の場合は)昔の地球の大気には、酸素も二酸化炭素もほとんどなかった。メタンガスの温室効果によって地球は温暖に保たれていた。ところが、光合成を行って酸素を発生させるシアノバクテリアが誕生し、酸素が大量発生。メタンと酸素が化学反応してメタンが失われ、温室効果もなくなった。
②地球表面が凍っても、地球内部の熱エネルギーはあり、火山活動によって大気に二酸化炭素が供給されてたまり続け、その温室効果で氷が溶けた。
③全球凍結は生命に大打撃を与えたが、全部死に絶えたわけではない。火山近くの温泉でひっそりと生き延びていた。
④全球凍結のたび、酸素濃度が高まり、1回目の全球凍結後には真核生物、2回目の全球凍結後にはエディアカラ生物群という大型生物が現れ、生命が進化した。
全球凍結がなければ、酸素濃度は高まらず、生命は今のように進化していなかったかもしれない、というのが面白い。
※※※以下、読書メモ※※※
6億年前の地球。大陸は厚さ数千メートルの氷が覆い、海も厚さ1千メートルの氷に閉ざされていた。氷は太陽エネルギーの60%をそのまま反射してしまうため気温は上がらず、北極や南極ではマイナス80度以下、赤道付近でもマイナス50度ほどだった。
現在も地球は氷河期。地球の歴史を振り返ると、地表に氷があることのほうが珍しい。
46億年の地球の歴史の中で、地表に氷があった時代は限られる。
24億年前から22億年前の全球凍結、8億年前から6億年前の全球凍結。3億年前の石炭紀。200万年前から現在に至る第四紀。それ以外の時代は北極や南極を含めて地表に氷はまったくなかった。
全球凍結があった可能性は1960年代から知られていた。
しかし、あまり重く受け止められず。むしろ、「地球は完全に凍結したことは一度もない」という考え方が常識だった。
その最大の根拠は「もし、地球が完全に凍結したら、氷が太陽エネルギーを反射してしまうので、二度と凍結状態から脱出できない」というものだった。
1998年。全球凍結の間も地球内部の活動は影響を受けないから、火山から二酸化炭素が大気に供給され、それがたまり続ければ、二酸化炭素の温室効果で氷が溶け始めるはずだ、との学説が発表された。
地球の現在の平均気温は15度。太陽からの距離だけで計算すると、マイナス20度前後。
なぜそれより暖かいか。
温室効果ガスのおかげ。現在の主要な温室効果ガスは二酸化炭素。しかし、全球凍結前の地球には二酸化炭素はあまりなかった。
24億年前から22億年前の全球凍結が起きる前、地球を温めていた温室効果ガスはメタンだった。海に、生物の死骸を分解してメタンを発生させるメタン菌がたくさんいた。
メタンを壊したのは、光合成を行って酸素を発生させるシアノバクテリア。
あるときシアノバクテリアが誕生。酸素が大量に発生し、大気中のメタンと化学反応を起こして、メタンが消滅していった。メタンによる温室効果は失われ、地球は凍り始めた。
8億年前から6億年前の全球凍結の原因は諸説ある。
ひとつの説は超大陸ロディニアの分裂。分裂により、浅い海ができ、そこがシアノバクテリアや光合成藻類の格好の繁殖場所となり、光合成によって大気中の二酸化炭素が有機物に変わり、二酸化炭素による温室効果が失われた。
この2回の全球凍結の間、生物はすべて絶滅したわけではない。生き延びた生物がいた。
地球内部の熱エネルギー。火山活動が温泉をつくり、そこで暮らしていた微生物がいた。
火山ガスに含まれる二酸化炭素による温室効果が再び地球を温めた。
現在でも火山から二酸化炭素が供給されているが、その二酸化炭素は海に吸収されたり、植物の光合成に使われたりして、地球全体で二酸化炭素が増えすぎないようバランスが保たれている。
全球凍結の時代は海が凍っていたので、二酸化炭素は海に吸収されなかった。
光合成で消費されることもなく、大気にたまり続けた。当時の地球大気に二酸化炭素は現在の1500倍もあったと推定されている。温室効果で地球の氷を溶かすのに十分な二酸化炭素がたまっていた。
生命の進化。
24億年前から22億年前の全球凍結後。真核生物が現れた。
それ以前の生物は単細胞のバクテリア。真核生物は細胞の中に核を持ち、大きさはバクテリアの1000倍。
8億年前から6億年前の全球凍結後。エディアカラ生物群と呼ばれる大型生物が現れた。
それまで地球の生物は最大でも長さ数十センチのひも状の生物。多くは肉眼で見えるか見えないかくらいの微生物だった。エディアカラ生物群の代表例、ディッキンソニアは巨大な座布団のような形の動物で、直径1メートル。チャルニオディスクスと呼ばれる巨大な昆布のような動物は長さ2メートル。
地球の歴史上、生物の大型化が2回あり、いずれもその前に全球凍結があった。
エディアカラ生物群の大きさを支えたのはコラーゲンというタンパク質。全球凍結後、大量の酸素が発生し、コラーゲンができた。
1回目の全球凍結が起きる前まで、大気中の酸素はほとんどゼロだった。1回目の全球凍結後、酸素濃度は現在の20分の1、大気の1%くらいになった。
この酸素濃度の上昇が真核生物を誕生させた。
生物は酸素を使うと、使わない場合に比べて20倍ものエネルギーを得られる。このエネルギーを使うことで真核生物のような当時としては複雑な生物が生まれた。そしてこのとき生物はわずかながらコラーゲンを作り始めた。
2回目の全球凍結後、酸素濃度はさらに上昇して大気の20%、現在と同じレベルになった。高濃度の酸素は高エネルギー源となり、生物を大型化させ、エデイアカラ生物群を誕生させた。
全球凍結がなければ酸素濃度は今のように高くならなかった。
酸素濃度が高くなったのは。
二酸化炭素による温室効果で気温が上昇。海水温も上昇。中心気圧300ヘクトパスカル、最大風速300メートルという巨大なハリケーンが発生。海を攪拌。全球凍結の間、海底温泉から噴出してたまっていたミネラル分がかき混ぜられ、浅い海に持ち上がった。ミネラル分をたっぷり含んだ浅い海で光合成生物が大繁殖。大量の酸素を大気に放出した。
(2017年6月24日Facebook投稿を転載)