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「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」 東洋にも西洋にも見える異文明の風景

「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」

「ドラゴンズ・ドリーム ロジャー・ディーン幻想画集」

英国のイラストレーター、ロジャー・ディーンの描く風景画は、幻想的という言葉がぴったりだ。

 

東洋のようで、西洋のようにも見える。過去のようで、未来のようにも見える。

 

どこのいつの光景か分からない秘境や異国文明の風景だ。

 

オーラ

画集の解説によると、ディーンは子どもの頃、父親の仕事の関係で、英国のほか、ギリシャ、キプロス、香港に住んだことがあり、香港では中国の水墨画に引かれ、影響を受けたという。

 

この画集はもう絶版になっていて、Amazonでは定価の2倍近い7000円くらいで売られていた。ヤフオクでもそれくらいの値段で出品されていたが、安く出ているのを見つけ落札した。送料含め3510円。

 

ロジャー・ディーンを知ったのは大学時代。

 

プログレッシブ・ロックのアンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウのアルバム「閃光」のジャケットに使われていた絵だった。

 

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ブルーデザート

画集にも収録された作品「ブルーデザート」で、米国のアリゾナ州やユタ州の岩場の風景から着想し「もし先住民族の文化が発展していたら」とイメージを膨らませ架空の高層建築を加えたという。

 

アンダーソン・ブラフォード・ウェイクマン・ハウは、イエスの元メンバーが結成したバンドで、ディーンがイエスのアルバムジャケットを多く手掛けていたことも知った。

 

プログレでは、ピンクフロイドやエマーソン・レイク&パーマーが好きだったので、イエスを聴くことはなかったが、ディーンの絵は、閃光の収録曲(特に「テーマ」「ブラザー・オブ・マイン」)とともに頭に残った。

 

ロジャー・ディーンは、空中に浮かぶ岩塊やアーチ形に曲がった岩をよく描いている。

 

エイプリルファースト

エレクトリックシープ

SF映画「アバター」で描かれた惑星パンドラの風景が、ディーンの描く風景画に似ていると言われる。

 

アバターのキャメロン監督は「真似じゃない」と言ったそうだが、ディーンは納得せず、損害賠償訴訟を起こしたらしい(結果はディーン敗訴)。

 

アバターはDVDを持っていて、時々見るほど大好きな作品で、風景や世界観が気に入っている。

 

ディーンの作品も、アバターも好きなので、こんなトラブルは残念だ。

 

実際、似ていると思う。意図的かどうかは分からないが、影響を受けているのは間違いないと思う。キャメロン監督がディーンに敬意を払えばよかったのに、と思う。

 

(2019年6月25日Facebook投稿を転載)

 

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