てっちレビュー

 読書、音楽、映画・・・etc.あと、記者の仕事あれこれ

「ゾウが教えてくれたこと」入江尚子 人間に聞こえない低周波音で会話 数を認知して足し算もできる

「ゾウが教えてくれたこと」

「ゾウが教えてくれたこと」入江尚子

 

ゾウに魅せられた研究者が、ゾウの意外な能力や生態を解説する。

 

例えば、ゾウは、人間には聞こえない低周波音で仲間同士、会話していること。

 

動物園のゾウを見ても、ほとんど無言に思えるのは。ゾウが無口なのではなく、人間に聞こえない低周波音を主に使っているからだという。

 

研究で解析できただけでも、「ンモォー」「ブブブブ」など80種類以上あり、おなじみの「パォーン!」は警戒音声、つまり、人間で言うと「キャー!」という叫び声に当たるのだとか。

 

数を認知し、足し算ができるという話も面白い。

 

ユリウス・カエサルは「ゾウは陸上動物のうち、人間に次いで頭の良い動物だ」と言っていたのだという。

 

著者が行った実験は、ゾウから3メートル離れたところに、ふたつのバケツを置き、それぞれのバケツに連続してリンゴをひとつずつ落として入れていく(左のバケツに3個入れた後、右のバケツに5個入れるなど)。

 

すると、ゾウは、リンゴの多いバケツを選ぶという。

 

足し算ができるかどうかは、左のバケツに1個落とした後、右のバケツに2個落とし、その後、また左のバケツに4個落としてから右のバケツに2個落とすといった方法で実験。2頭にそれぞれ6回繰り返したところ、正答率は69%と87%だったとか。

 

ほかにも、「マンモスはゾウの祖先ではない。同じ時代に現生のゾウの祖先は別にいた」「ゾウの鼻にも右利きと左利きがある。物を巻き取るときに鼻を巻く方向が左右あり、個体によって違う」「長い鼻がゾウの知能を発達させた」など、興味深い話がたくさん。