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「メフィスト」三山のぼる 美貌の魔女アルマと相棒の流動玲二 クールな2人の微妙な関係がいい

「メフィスト」第2巻

「メフィスト」三山のぼる

美貌でクールな魔女アルマが主人公の漫画。全6巻。

 

面白い。著者の代表作で傑作。とにかくアルマが魅力的。

 

1~2巻は、不老不死の謎を解こうと降魔術に没頭する過程で、少年を誘拐、殺害する性的倒錯者となった流動玲二(るどう・れいじ)との物語。ここが読みどころだ。

 

16世紀末の魔女狩りで火あぶりに処されたアルマが、流動の降魔術で現代によみがえる。流動とともに、16世紀末のフランスにタイムスリップしたアルマは、魔女狩りを繰り返す残虐な領主と再び対決する。

 

一方、流動は、かつて思いを寄せた女性・葉子との間に起きた悲劇から、心に傷を抱えていた。そのことを知ったアルマは、不幸な生活に転落していた葉子を助け、流動の心を救済しようとする。

 

アルマと流動は、恋仲にはならない。クールな2人のこの距離感がいい。

 

でも、一人きりの時に、アルマがつぶやく。「流動・・・私があなたに手を貸すのは責任感だとか義務とか、そういうのじゃなくて・・・あなたが好きだからよ」。この場面が好きだ。やっぱり、そうだろうね、と思ってホッとする。

 

流動は、犯罪が露見して死刑を宣告されるのだけど、アルマによって葉子が救われて、現世に未練がなくなり、死刑の瞬間、アルマに教わった秘術で15世紀のフランスにタイムスリップし、ジル・ド・レエ男爵(悪魔崇拝や幼児大量殺害で知られる奇人)となる。

 

死刑の前に、流動が、アルマに対し、自分の性に合う暗黒の時代・中世にタイムスリップすると告げた後、ポツリと言う。「もし、そうなったら、例の降霊術で時々おまえを呼ぶかもしれないぜ」と。ここがまた、いい。アルマは、また流動に会えるんだなと、その後の2人が想像できて、いい。

 

アルマが流動に返したセリフは「ご遠慮なく・・・。どこへでも飛んでゆくわよ。フフフ・・・」というクールなものだが、アルマらしくて、いい。

 

この2人の微妙な関係。傑作漫画「コブラ」(寺沢武一)の主人公コブラとその相棒アーマロイド・レディの関係を思い起こさせる。

 

「メフィスト」3~6巻は、現代にとどまったアルマが経営する薬局に訪れる、さまざまな男女の心の傷に迫る短編集。ハッピーエンドもあるし、そうでない場合もある。この短編も面白い。

 

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