「血液型の科学」藤田紘一郎
血液型で性格を考えるのは本当に「えせ科学」なのか。
血液型の違いは免疫力の違いに直結する。
血液型によって、かかりやすい病気、かかりにくい病気がある。
さらに、身体に合う食べ物、合わない食べ物がある。
そう考えれば、血液型によって、ある程度、性格が規制されるのは、むしろ、当然ではないか────
著者は、ベストセラーとなった著書「笑うカイチュウ」で知られる寄生虫学、免疫学の研究者。
「血液型物質による免疫力の違い」という観点から、血液型と性格の関係に迫る。
そもそも、血液型とは何なのか、なぜ、血液型が生まれたのかの解説もあり、面白い。
著者は、「血液型性格論が決めつけ、ひいては差別や偏見につながるのは反対だ。しかし、性格と全く関係ないとの論は、極端だ。血液型と人の性格の関係は、昔から、関係があるという意見と、関係がないという意見の両方がある。そろそろ、私の考えを述べなくてはならないと思ったのが、本書を書く動機のひとつだ」という。
この執筆動機がいい。反骨精神を感じた。
本書によると、、、
A型は、いろんな病気にかかりやすい。
感染症だけでなく、がん、糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病にもかかりやすい。
感染症は人から人へと感染し、生活習慣病は人間関係のストレスが病気を悪化させる。
このため、A型は、周囲の人たちと協調するような性格になったのではないか。
O型は、免疫力が最も強い。
いろんな病気にかかりにくい。感染症にも生活習慣病にもかかりにくい。
だから、他人との接触を恐れず、開放的な性格になったのだろう。
B型は、O型に次いで免疫力が強い。
O型と違うのは、肺炎になりやすく、サルモネラ菌の食中毒にかかりやすい。
このため、大勢の中に入らず、枠にとらわれない自由奔放な性格になった。
AB型は、最も免疫力が弱い。
感染症全般に、最も抵抗力がない。肺炎やインフルエンザ、梅毒にもかかりやすい。
結果的に、疑い深く、内向的になった。
、、、ということだそうだ。
非常に興味深い理論だ。
私はB型で、子どもの頃から、風邪くらいはひくけど、大きな病気にかかったことがない(新型コロナにもかからなかった)。2年ほど前に肺炎を患ったのが初めてなので、当たっていると思った。
本書を読んで、あらためて疑問に思ったのは、人間の性格はどう形成されるものなのか(先天的なのか、後天的なのか)ということだ。
一般的に、人間の性格は、先天的な要素と後天的な要素の両方があると考えられていると思う。
実際に私自身の性格に照らしてみると。幼児の頃と成長してからと比べ、変わらない点と変わった点がある。
変わらない点は、空想が好きなこと。
物語を聞いたり本を読んだり絵を眺めたり音楽を聴いたりしていると、いろいろと想像が膨らむ。物語を考えて書いたり話したりするのも好きだ。
例えば、道路地図でも、眺めているうちに、いろいろと想像が膨らむので、1時間くらい地図を眺めていても、飽きない。
変わった点と言えば、幼い頃は、おとなしくて控えめで、物事に慎重で、消極的な性格だったらしい。
現在は、おしゃべりで、自己主張が強く、積極的な性格だと思う。小学生の頃から、そのようになっていった。なぜなのかは、わからない。
本書が説くように、免疫力で性格が形成されるとしたら、例えば、人間は子どもの頃から経験的に自分の体質に気づいて、その体質を踏まえて行動するうちに性格が形成されるという仕組みなのだろうか。
あるいは、ダーウィンの進化論のように、何世代もかけて、体質に合う性格が形成されるという仕組み(合わない性格の個体は淘汰され、合う個体が生き延びて子孫を残す)、つまり、「性格が遺伝する」ということだろうか。
もしくは、この両方なのだろうか。
本書は、この点に関して、はっきりとは説明していない。
「もともと、人間の血液型はO型しかなかったのが、農耕民族からA型が生まれ、遊牧民族からB型が生まれた」といった解説からすると、遺伝に重きを置いているのかなとは思う。
性格はどう形成されるのかを考えさせられたという点で、興味深い本だ。