てっちレビュー

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「田宮模型の仕事」田宮俊作 子どもの頃から親しんだ模型メーカー 著者の人間くささに好感を抱いた

「田宮模型の仕事」

「田宮模型の仕事」田宮俊作

タミヤは、プラモデル愛好家なら必ず世話になるであろう大手模型メーカー。

私が一番好きなメーカーだ。

製品の品質の高さは、世界一だと思う。

 

戦車や兵隊などの「ミリタリーミニチュア(MM)シリーズ」が代表的な製品。

私は、小学生の頃に初めて手に取ったタミヤ製品がMMシリーズだった。

 

 

製品を売るだけでなく、MMシリーズの戦車や兵隊を組み合わせた情景写真のコンテスト、兵隊の人形をアニメキャラクターなどに改造するコンテストも開き、楽しみの幅を広げてくれた。

独自の情報誌「タミヤニュース」も子どもの頃、愛読した。

 

 

精巧なプラモデルのほかにも、模型の楽しさを伝える製品を放ってきた。

木製やプラスチック製のパーツにモーターやギアを取り付けて、乗り物など動く模型に仕上げる「楽しい工作シリーズ」には、息抜きに楽しませてもらった。

 

 

走らせて遊べて、改造も楽しめる「ミニ四駆」には、甥っ子(妻の兄の息子)2人が夢中になり、改造を手伝ったものだ。

 

未組み立てプラモデル鑑賞が趣味のひとつとなった今、自宅にストックされているプラモデルは、国内外各メーカー製の軍用機が大半を占めるが、タミヤ製の戦車やF1マシンも多い。

 

本書「田宮模型の仕事」は、家業の木製模型メーカーを継いで、プラモデルメーカーに育てた著者が、その足跡を振り返る。

 

 

さまざまな製品の開発秘話も面白いが、一番、印象に残ったのは、著者の人間くささ。

恩を受けた相手への感謝、不快な思いをさせられた相手への憤りを、あっけらかんと、つづっている。

 

プラモデル愛好家にはよく知られた話だと思うが、初期の頃、プラモデルメーカーに転身できるか、社運をかけた製品「パンサー戦車」で、売れっ子イラストレーター小松崎茂に箱絵を描いてもらった時の逸話は、その一例。

社運をかけた製品であることをつづった手紙を送り、面識のない小松崎の侠気にすがったという。

 

一方、初期の頃に、えらそうな態度を取られ、法外な代金を請求されたうえ、納期も守らなかったという金型業者への憤りが、随所に表れる。

 

傑作の1/12スケール「ホンダF1」の開発は、ホンダの協力を得た。

さらに、トレッドパターンまで本物そっくりのタイヤを作るに当たり「GOOD YEAR」の文字を入れていいか、メーカーのグッドイヤーに了解を求め、「事前に断りを入れてきたのは、あなたのところが初めてだ」と感心された逸話も興味深い。

当時は、メーカーに了解を取らず、勝手にコピーすることがまかり通っていたという。

 

 

本書ではなく、続編の「伝説のプラモ屋」に出てくる逸話だが、タミヤ製品のコピー製品を無断で作ってきた中国のメーカーを訴えている。

 

 

著者は、人情や仁義を大切にする熱い魂を持った方なのだなということが、ひしひしと感じられ、私は、好感を抱いた。

ユーザーとの関係を大切にする企業姿勢は、この経営者だからこそだと思った。

 

F1の古豪チーム・ロータスが落ち目になると、スポンサーになり、ロータスのF1マシンの製品化を続けたのも、タミヤらしいと思える。

 

 

一方で、名門チーム・フェラーリのF1マシンは、熱狂的で根強い人気と比べれば、タミヤでは、それほど製品化されていないように感じる。

なぜだろうか。

フェラーリの歴代ドライバーの中で特に人気が高く、私も大好きなジル・ヴィルヌーヴの駆ったF1マシンが、312T3(1/20スケール)、312T4(1/12スケール)くらいしか製品化されていないのが、残念だ。

126CKや126C2も出してほしかった。

 

 

126CKはフジミ模型製の1/20スケール、126C2はプロター製(イタリア)の1/12スケールとフジミ模型製の1/20スケールを持っているけども、タミヤに製品化してほしかった。

 

(以下に、Amazonで出品されている商品を挙げておくが、プレミアが付いて、法外な高値になっているので、要注意)

 

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