
「マガジンロンド」マツオヒロミ
イラストレーター、マツオヒロミはレトロな雰囲気で美しい女性を描く。
憂いを帯びた目が特に魅力的だ。大好きな画家。
出版された作品集はもちろん全部、同人活動時代のミニ作品集もいくつか持っている。
架空の百貨店を題材にした作品集「百貨店ワルツ」(2016年)のように、テーマの世界観を展開する作品を得意とする。
本書「マガジンロンド」(2022年)は、1922年創刊から100周年を迎えたという架空の女性雑誌「RONDO」(当初は「輪舞曲」との表記)の世界を表現した作品集。このアイデアが目を引く。
本書のカバーを外すと、「RONDO 2022年7月号」の表紙と裏表紙が再現してあるという趣向も面白い。

作者は、もともと、ファッション雑誌を眺めるのが好きで、架空の雑誌を作品で表したかったといい、本書で念願が結実した。
あとがきの一部を抜粋すると、以下のように述べている。
雑誌が好き、と一口に言っても、私の場合はファッションへの興味というより、おしゃれな写真やカットが文字とともに美しくレイアウトされている、という本の形態が好きなんだな…という自己分析がまず最初にありました。というわけで各時代のファッションや風俗の再現よりは、その時代の本への憧れを形にすることに力を注いで作りました。
(以上、抜粋)
このへん、アールヌーボーを代表するグラフィックデザイナーで、ポスターを数多く手がけたアルフォンス・ミュシャと似た気配を感じる(ミュシャは、私が一番好きな画家)。
本書「マガジンロンド」は、各時代の「RONDO」の表紙をいくつかピックアップして再現。
1922年7月号(創刊号)、1957年10月号、2022年7月号(創刊100周年記念号)の3冊は、表紙のほかに、記事や広告など中身の一部を含めて再現している。




時代ごとに雑誌のタイトルロゴやデザインはもちろん、女性のイラストの雰囲気も少し変えてあるのは、芸が細かい。

女性の服装や髪型は、各時代のものを調べた上で、いずれも現代風のアレンジを加えたそうだ(2023年の作品集「万華鏡の庭」に収録のインタビューによる)。
あとがきの抜粋部分で書いてあるように、「その時代のファッション」というよりは「その時代の雑誌」に主眼を置いており、現代の読者が見て、楽しめる作品集に仕上げたセンスが素晴らしい。

