
「マクロス・ラブ・ストーリー」徳木吉春・編
わがままな美少女リン・ミンメイか、家庭的な地味子の早瀬未沙か───
テレビアニメの傑作「超時空要塞マクロス」の愛好家にとって、永遠の論点だろう。


主人公・一条輝の優柔不断さが相まって、ミンメイも未沙も揺れ、「マクロス」シリーズ名物となる三角関係を形成する。
アイドル歌手となったミンメイを振って、上司で年上の未沙を選ぶ結末は1980年代初めの放映当時、ファンを驚かせたのではないか。
(余談だが、姉さん女房、いいよ。私の性格には合う。実際、私の妻は2歳上。しかも、情に厚く、仕切り屋の姉御タイプだから、甘え放題で、楽チン)。

私は、振られたミンメイがかわいそうだとは思ったが、その程度の感慨だった。
私の好みは、ミンメイでも、未沙でもなく、気が強い美女ミリア・ファリーナだからだ。

敵のゼントラーディ軍のエースパイロットで、プライドが高く、負けず嫌い。
地球軍エースのマクシミリアン・ジーナス(輝の後輩)との一騎打ちで敗退すると、リベンジのために単身、敵地に乗り込むという風に一本気で、思い込んだらトコトンだ。
劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」(1984年)では、残忍な面も描かれた。
マックスとは、戦いを通じて結ばれる。
なお、敵地に乗り込んだミリアは、ゲームセンターの対戦ゲームでマックスに再び負け、デートに誘われる。
そして、ルンルンでやってきたマックスに決闘を挑み、また、負ける。
ガックリと崩れ落ち、「殺せ」と涙ぐむミリアに、マックスは愛おしさを感じるのだった。
これは、わかる。全く同感。
強い女子が時に見せる弱さが可愛いんだよね。
漫画「ヒットラーの息子」(原作・小堀洋、作画・叶精作)に登場する秘密警察の美女エスターも思い出した(敵である主人公ボタンを憎みながらも惚れる。ただし、結末は悲しすぎる)。
そもそも、私が「マクロス」放映を初めて見たのが中盤の第18話「パイン・サラダ」。
のちに重要キャラと知るロイ・フォッカー(輝の先輩で、兄貴な好漢)が死んだことより、ミリアとマックスの激闘に目を奪われた(以下の動画の14分30秒あたりからと、17分40秒あたりから)。
そして、ミリアの美貌にも。
ミリアも「マクロス」のラブ要素を構成する重要キャラだと思う。
フィルムブック的な本書「マクロス・ラブ・ストーリー」は、ラブ要素に特化した構成。
なのに、ミリアは1ページ(2カット)しか出てこない。残念。
あらためて眺めてみると、ミンメイは、本当に表情豊か。
輝の家に押しかけてきて居座り、未沙に嫉妬させるといった行動もミンメイらしくて、いい。
それだけに、振られて、歌に自分の存在意義を見出すところの表情は、何とも言えない、せつなさがある。

未沙は、輝のアルバムにミンメイの写真ばかり貼ってあるのを見て嫉妬し、自分の写真を輝に黙って渡すという行動が、いかにも、だ。
輝がミンメイを振って自分を選んだ時の喜びようが可愛い。抱きついたりして。
あと、本書の表紙の未沙の表情がいい。
本書には、美樹本晴彦の「初期ストーリーボード」なるものがある。
キャラクターデザインの原案みたいなもののようだ。

ミンメイは、少し顔が違う。
未沙は、この時点でだいたい固まっていたのか、あまり違わない。
このあたりにも、未沙寄りな制作者側の心情が表れているのかもしれない。
未沙は料理が得意で、ミンメイは苦手といった説明も、2人を対比させながら、キャラクターを作っていったことがうかがえて、興味深い。

あと、飯島真理のミニ写真集がある。
私は、ファンでもないので、写真を見ても、何とも思わないが、劇場版の歌を聴いたら、とても懐かしくなった。
久々に劇場版見たいな(もちろん、DVDで持っている)。

