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「犬語の話し方」スタンレー・コレン 犬が言葉を理解する能力は人間の2歳児と同程度 人類は大昔に犬と暮らすようになったおかげで言葉を発達させられた

「犬語の話し方」

「犬語の話し方」スタンレー・コレン

「How To Speak Dog」 Stanley Coren

 

鳴き方や身振りで犬の気持ちを推し量るというだけでなく、犬が人間の言葉を発音できなくても、その意味を理解していることに触れていて、面白い。

カナダの心理学者スタンレー・コレンの著書「犬語の話し方」。

犬は、200語近い人間の言葉を識別することも珍しくなく、言葉を聞き分ける能力は、人間の2歳児と同程度。

「待て」「伏せ」のような1~2語の命令だけでなく、文章のような発言から、必要な命令の単語を拾い出すこともできるという。

犬語と猫語の対比も興味深い。

 

 

犬や猫は、想像していたよりも、人間の言葉を理解しているのだなと驚いた。

私の妻や長女が、飼い猫(現在11歳)を家族のように可愛がり、やたら話しかけるのを、「人間の言葉がわかるわけないだろう」と冷ややかに見ていた私が、浅はかだった。

人間の2歳児と同程度だと言われると、ちゃんと話しかけないと、心も健康に成長しないのではないか、やっぱり、話しかけることが大事なのだな、という気持ちにもなった。

「人間が言葉を話せるようになったのは、犬のおかげ」という話も出てくるので、人間のパートナーだと実感させられる。

 

「犬の言語能力」と、「人間と犬の関係」について、以下に、もう少し書いておく。

 

<犬の言語能力>

本書「犬語の話し方」によると、言語能力には、「受容言語能力(相手の言葉を理解する能力)」「生産言語能力(言葉を使う能力)」のふたつの要素がある。

人間の赤ちゃんの場合、まず、受容言語能力が発達。生後13カ月ごろには、大人が話すのを聞いて、100語近くの言葉を理解する。

一方で、発する言葉は1、2語程度にとどまる。

 

本書の著者は、英語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語を字幕なしで映画を見たり、相手の話をよく理解できる程度に身に付けている。

しかし、話すとなると、英語は流暢だが、スペイン語はまあまあ、ドイツ語は初級程度、フランス語はようやく通じる程度、ロシア語とイタリア語は2、3歳児の片言程度───との例も挙げる。

 

そして、「犬は、人間と同じ音が出せなくても、人間の言葉を理解していないわけではない。犬は、受容言語を身に付けるのに必要な音の識別能力がある。人間の話し言葉に的確に反応するのは、言葉を理解している証拠だ」と説く。

 

著者の飼い犬が理解する言葉も例示している。

「お手」「伏せ」「来い」といった簡単な命令だけでなく、「首輪をつけよう」(犬は鼻面を上に向けて首輪を付けやすい姿勢になる)、「失礼」(通り道をふさいでいた犬が立ち上がって道を開ける)といった言葉でも理解するという。

 

そして、犬に対して、穏やかに、目的と意味を持った態度で話しかけていると、犬の言語受容能力が高まる。

話しかける時に、名前を呼ぶことも大事なポイントだという。

 

逆に、犬が発する鳴き声、表情や身振りの意味も解説する。

巻末には「犬語小辞典」がある。

 

「犬語の話し方」より。犬のさまざまな表情の図解その1

「犬語の話し方」より。犬のさまざまな表情の図解その2

「犬語の話し方」より。犬のさまざまな表情の図解その3

「犬語の話し方」より。犬語小辞典の一部

<人間と犬の関係>

本書の内容を要約すると、人間の喉や口の形は発語に適しており、犬の喉や口の形はにおいを嗅ぎ分けるのに適している。

旧人類のネアンデルタール人は、喉や口の形が現生人類とは違う。おそらく、複雑な言葉の発音に必要な器官を持っていなかった。

現生人類の祖先は10万年くらい前に犬と暮らすようになり、効率的な狩りができるようになって栄え、犬と暮らさなかったネアンデルタール人が衰えて滅びた。

さらに、現生人類の祖先は、においを嗅ぐ能力を犬に任せたおかげで、においを嗅ぐのには不向きだけども、発語に適すように、顔の形が進化したと考えられるという。

 

人間と犬は、なぜ、協力関係を結んだかという解説も面白い。

本書によると、おそらく、最初は、人間が犬を選んだのではなく、犬が人間を選んだ。

犬は、人間の生息地に、獲物を食べた後の骨や皮の残りかすがあるのに注目。

人間の生息地周辺をうろつけば、狩りをしなくても、食べ物が手に入ることを学んだ。

人間は、犬が残飯をきれいにしてくれるので、追い払わなかった。

残飯は、腐ると嫌な臭いがし、不愉快な虫を招き寄せるが、犬が残飯を始末して衛生を保たれるからだ。

人間にとって、利点は、まだ、ある。

犬は、人間の生息地を自分の縄張りだと考え、知らない人間や野生の獣が近づくと、警告を発するようになった。

犬がいてくれれば、人間は夜通し見張らなくてもよくなり、暮らしやすくなったという。

 

実際に、犬のおかげで人間が言葉を発達させられたのかどうかは、わからないけども、理屈としては、よくできていて、興味深い。

 

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