てっちレビュー

 読書、音楽、映画・・・etc.あと、記者の仕事あれこれ

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」 サメを思わせる造形が好き 「腹びれ」みたいなベントラルフィンがかっこよさを高めている

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」

ボリュームのある機首、小粒で引き締まったキャノピー、スレンダーな主翼、変なかたちのメインギア、迫力満点のドーサルフィン、ピンと尖った三角の垂直尾翼端、どでかいエンジンノズルなどなど、どこをとっても言うことなしの格好よさ。コイツがアフターバーナーの焔を噴かしながら離陸していく様はもう感涙もの。パイロットたちが付けた"ワニ"というニックネームもイメージがピッタリ。

(以上、「MiG-23/-27フロッガー」の編集後記から一部抜粋)

 

文林堂の世界の傑作機シリーズNo.92「MiG-23/-27フロッガー」を読んで、最も心に響いたのは、編集後記。

旧ソ連の戦闘機MiG-23は、私もお気に入り。

造形の魅力は、ここに書いてある通り。同感だ。

 

 

MiG-27だと、機首がスリムになって、弱々しく見えるから、MiG-23の太い機首のほうが好み。

(MiG-27は、MiG-23から派生した戦闘爆撃機。戦闘爆撃機とは、戦闘機に対地攻撃能力を持たせたもの)。

引き締まったキャノピー(風防)は、MiG-25フォックスバット、MiG-31フォックスハウンドにも通じ、旧ソ連感たっぷりだ。

 

 

広大な旧ソ連らしく不整地への着陸も見越した頑丈そうなメインギア(主脚)は、力強くて、かっこいい。

前から見ると、どっしりとした感じがさらに出て、迫力がある。

 

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」より。前から見たMiG-23

格納方法が複雑なのも、目を引く。

本書では、その格納メカニズムの図解がある。

 

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」より。主脚の格納メカニズム

背びれみたいなドーサルフィンも、いいのだけど、私がもっと惹かれるのは、後部下面の腹びれみたいなベントラルフィン。

折りたたみ式というのも、かっこよさを高めている。

「ワニ」というあだ名は知らなかった。

 

ワニというか、サメみたいに感じる。

このメカニックな魚感が旧ソ連らしい不気味さを醸し出す。

先輩格の戦闘機MiG-21フィッシュベットも空気取り入れ口が機首にある造形が魚を思わせていた。

 

www.tetch-review.com

 

本書で紹介しているチェコ空軍のMiG-23の記念塗装機(通称「ヘルファイター」)は、まさにシャークマウスを描いて、サメ感を強調している。

これは好きで、ハセガワ製の1/72スケールのプラモデルを持っている。

 

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」より。記念塗装機「ヘルファイター」

機首がほっそりしたMiG-27は、さらに、サメ感が高いかもしれない。

航空アクション漫画の傑作「エリア88」(新谷かおる)で、反政府軍の傭兵部隊ウルフパックの乗機として、シャークマウスを描いたMiG-27が出てくる。

航空機の造形の特徴をうまくとらえる、この作者ならではの演出だと思う。

MiG-27もかっこよく思えてきた。

 

「エリア88」より。ウルフパックのMiG-27

www.tetch-review.com

 

旧ソ連のミコヤン設計局が手がけた戦闘機は、朝鮮戦争で活躍したMiG-15ファゴットから、ベトナム戦争に投入されたMiG-21まで、機首に空気取り入れ口を設けたスタイルが長らく続いた(同じ旧ソ連のスホーイ設計局も同様)。

ミコヤン設計局の場合はMiG-23から、スホーイ設計局の場合はSu-15フラゴンから、機体の両側面に空気取り入れ口を移して、機首には大型のレーダーを納めるスタイルに変わった(米軍のF-4ファントムのようなスタイル)。

より高性能な大型レーダーを機首に納めるには、機首に空気取り入れ口があるスタイルでは限界があったのが原因だ。

本書「MiG-23/-27フロッガー」では、MiG-23(量産機の初飛行は1972年)の開発の経緯が解説してあり、そのことも触れてある。

 

それより興味深いのは、MiG-23の最大の特徴である可変翼がいかに生まれたか、だ(可変翼は、主翼が横に伸びた状態から、翼端が後退した状態まで可変できる翼)。

もともと、垂直/短距離離着陸機(V/STOL機)の研究から始まったというのが面白い。

 

本書によると、1960年代、日本以外の西側諸国では「敵に軍用機を使わせないよう、真っ先に敵の空軍基地を破壊する」という戦略により、戦闘爆撃機が主流になってきた(専守防衛の日本は真似できない)。

このため、旧ソ連は、空軍基地の滑走路が破壊された場合に、そこらへんの広場や高速道路からでも飛び立てる垂直/短距離離着陸機の開発に目を向けたという。

そこで開発された実験機23-01(「MiG-23PD」とも呼ばれる)は、リフトエンジン(下に噴射して機体を持ち上げるエンジン)を備え、短距離離着陸を狙った。

 

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」より。MiG-23PD

結論から言うと、「離着陸の時は揚力を高めるため主翼が横に伸び、高速で飛ぶ時は主翼が後退位置になって高速飛行に向く可変翼機」のほうが、短距離離着陸もできるし、総合的に便利と判断。MiG-23が生まれたという。

 

ちなみに、戦闘爆撃機のMiG-27は、レーダーを外して機首を細くし、操縦席から前方の下向きの視界を良くするなど造形が少し違う。

固定武装も、23ミリ機関砲から、地上の車両や施設に対して破壊力の高い30ミリ・ガトリング機関砲に交換してある。

より強力な空対地ミサイルを使えるように機首にレーザー装置や目標照射装置を備えた発展型MiG-27Kもある(外見上は機首に小さい窓があるのが特徴)。

 

MiG-23PDやMiG-27Kは、マニアしか興味を持たないマイナーな機体だけど、ウクライナの模型メーカー・アートモデルがプラモデルを発売している。

これは、ありがたい。私は、両方とも持っている。

 

世界の傑作機「MiG-23/-27フロッガー」より。MiG-27K

 

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com