てっちレビュー

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「MORUMO1/10」あろひろし 巨人が市民に溶け込んで暮らすのが面白い 他人との違いを自覚しながらも伸び伸びと生き、周囲が温かく見守る

「MORUMO1/10」

「MORUMO1/10」あろひろし

巨人が市民に溶け込んで暮らしているというのが、面白い。

ギャグ漫画ならではだけども、ほっこりとさせる。

 

「MORUMO1/10」より。市民に溶け込んだ暮らしぶりその1

「MORUMO1/10」より。市民に溶け込んだ暮らしぶりその2

本人は他人との違いをもちろん自覚しながらも、自分らしく伸び伸びと生きる。

うっかり、学校や道路を壊してしまったりと失敗もある。

それでも、家族や友人ら周囲は温かく見守る。

終盤にはシリアスな展開になるけども、ラストは爽やか。

 

漫画家あろひろしの「MORUMO1/10(もるもじゅうぶんのいち)」は、お気に入りの作品だ。

 

MORUMO 1/10(1)

MORUMO 1/10(1)

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身長16.3メートルと、普通の10倍サイズ(体積なら1000倍)の女子高校生もるもが巻き起こすドタバタ劇。

もるもは、実は異星人。

地球に降ってきた隕石の中に赤ちゃんの状態で入っていて、地球人のカップルが拾って育てた。

マッドサイエンティストが開発した薬で、一時的に10分の1サイズ(通常の人間の大きさ)になれるけど・・・10分の1になっても、体重や怪力はそのまま。

ここにドタバタ劇のタネがある。

 

ついでに言うと、同じ作者の代表作「優&魅衣」と同様に、お色気がある。

10分の1サイズになっても、薬の効果が切れると元に戻るのだけども・・・

容易に想像が付くように、10分の1サイズの時に着ていた服が破れ、ハダカになる。

子どもの頃に見たテレビアニメ「ふしぎなメルモ」(手塚治虫の漫画が原作)を思い出すお色気演出だ。

(女子小学生のメルモは「赤いキャンディ」を食べると、大人になる。その際、子ども用の服がパツパツになり、胸元やお尻が際立つというお色気演出あり。ちなみに、別の「赤いキャンディ」の話を近日中に投稿予定)。

 

「MORUMO1/10」より。お色気
優&魅衣 1巻

優&魅衣 1巻

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そして、本作「MORUMO10/1」は、ギャグとお色気で少年読者を惹きつけつつも、ここぞというところではシリアスに迫る。

そして、愛情や友情を絡めて爽やかに終わるのがいい。

このあたりも、「優&魅衣」と同様だ。

 

異星人の赤ちゃんが地球人に拾われて育つという「MORUMO10/1」の設定は、「竹取物語」みたいだけど・・・

かぐや姫が最後に月に帰っていくのとは違い、もるもは、生みの親たち仲間が迎えに来ても、地球に残る人生を選ぶ。

 

 

もるもを引き留めたのは、家族や友人ら周囲の温かさ。

(かぐや姫は、おじいさん、おばあさんに大事に育てられながらも「これまでありがとう」と言って、悲しむおじいさん、おばあさんを振り切り、月に去る)。

 

もるもが幼い頃、自分が異星人だと知って、ショックを受け、悲しむ回想シーンがある。

ここでは、幼なじみのボーイフレンド、実晴が励ます。

「泣くなよ。もるも!おれ、何でもできるようになって、いつか、きっと、でっかい宇宙船造ってさ、もるもの本当のパパやママ、探しに行こうぜ」と。

 

「MORUMO1/10」より。もるもの本当のパパやママ、探しに行こうぜ

育ての母との会話も印象深い。

もるもは、実晴が好きだけども、自分は普通じゃないからダメだろうと諦め、実晴に好意を寄せる友人との関係を取り持とうとする。

これは、いじらしい。

 

それを知った、もるもの母が諭す。

このやり取りを以下に抜粋してみる。

 

もるも

そんなこと言ったって、あたしなんかじゃ・・・

もるも!あなたは誰が何と言おうが、私たちの娘です。

たとえ、どんなに他人と違っていようとも、うちの自慢の可愛い娘です。

誰を選ぶのかは実晴君自身よ。

自分で自分のこと、決めつけるのはやめなさい。

もるも

・・・はい。

(以上、抜粋)

 

「MORUMO1/10」より。うちの自慢の可愛い娘です

良いお母さんだ。

こんな親だから、もるもは伸び伸びと明るく育ったのだろう。

 

ラストで、迎えに来た生みの親たち異星人に、もるもが言うセリフを以下に抜粋する。

 

いやっ!あたしは残る!

たしかに地球では異星人のあたしだけど、それでも愛しみ育ててくれた両親や、気落ちした時は気遣ってくれる友だちもいるわ。

そして、命をかけて守ってくれる人もいる。

たしかに、このまま地球にいても、迷惑かけるだけかもしれない。

でも、今はまだ、さよならは言えない。

(以上、抜粋)

 

「MORUMO1/10」より。あたしは残る

これで十分に良い締めくくりなのだけども・・・

最後に、もるもを肩に乗せた生みの父が笑顔で地球に降り立つ場面で、物語は終わる。

生みの父は、もっと、巨人(もるもの10倍くらいの大きさ)。

もるもは本来のサイズの10分の1に縮小されて地球に送られたことがわかり、みんなが「もるもって、最初から10分の1だったんだ・・・」とつぶやくという結末。

 

この場面はなくても成り立つと思うけども、なぜ、あるのか。

異星人の巨人が活躍する、藤子・F・不二雄の短編漫画「超兵器ガ壱號」へのオマージュかなと想像した。

 

 

第2次世界大戦中に日本軍に見つかった異星人の巨人「ガ壱號」は、日本のために尽くし、日本を勝利に導くのだけども・・・

巨額の食料費がかかるため、戦後は邪魔者扱いされ、殺されそうになる。

そこで、異星人の仲間たちが迎えに来る。

仲間たちと比べると「ガ壱號」は小柄で、仲間たちに「チビ」と呼ばれ、恥ずかしそうにするというラスト。

地球人と比べれば、巨人だけども、仲間うちでは「チビ」だったという皮肉が、いかにも、この作者らしいと言えるけども・・・

この作品、面白いのに、この茶化すようなラストはもったいない。

私は「MORUMO10/1」みたいな爽やかな結末が好きかな。

 

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