てっちレビュー

新聞記者が綴る読書、音楽、映画・・・etc.あと、記者の仕事あれこれ

「新谷かおるARTWORKS」 硬派なメカアクションと少女漫画的なキャラクターの取り合わせが絶妙 「エリア88」の風間真が典型

「新谷かおるARTWORKS」

「新谷かおるARTWORKS」

漫画家・新谷かおるの画集は「新谷かおるARTWORKS」と「新谷かおる航空機グラフィティ」を持っている。

以前投稿した「新谷かおる航空機グラフィティ」の記事は、航空機のかっこよさを引き出す、構図やデフォルメのうまさを書いた。

今回の「新谷かおるARTWORKS」の記事は、キャラクターの魅力について、書いてみたい。

 

www.tetch-review.com

 

私は、初めて読んだ新谷漫画が、航空アクションの傑作「エリア88」。

描かれる軍用機のかっこよさ、復讐物という骨太なストーリーとは対照的に、主人公・風間真が女性的な優しい顔立ちで、そのギャップも面白かった。

 

「新谷かおるARTWORKS」より。風間真

真は、見た目は優男だけども、タフで強い。

物語の中で異色の陸戦を描くアフリカ編で、新たな仲間のエラーに「女みたいな顔しててよ」と侮られるけども・・・

 

「エリア88」より。女みたいな顔しててよ

真のタフさは、やがて、エラーたち新たな仲間を引きつけていく。

「女みたい」と言ったエラーも女性的な顔立ちで、作戦上、女装させられるという一幕もあった。

 

「エリア88」より。女装したエラー

そもそも、少女漫画風のキャラクターが多い。

エリア88の基地司令サキ・ヴァシュタールなんか、「パタリロ!」(魔夜峰央)のバンコランだと思った。

 

「新谷かおるARTWORKS」より。「エリア88」のキャラクター。左端がサキ

 

新谷かおるは、もともと少女漫画でデビューしたという。

「新谷かおるARTWORKS」には、デビュー作「吸血鬼はおいや?」が生原稿の風合いのまま収録されていて、興味深い。

漫画誌「りぼん」1973年4月大増刊号に載ったのだとか。

女性キャラクターには、特にこの作者らしさは感じないけど・・・

主人公リリアと恋仲になるメガネの男性ハーマンは「ファントム無頼」(原作・史村翔)の栗原宏美みたいだ。

つまり、女性キャラクターの描き方は、その後、磨いていったのだろう。

 

「新谷かおるARTWORKS」より。「吸血鬼はおいや?」

ちなみに、新谷漫画で、私が一番好きな男性キャラクターが風間真なら、女性キャラクターは「ファントム無頼」の太田鷹子(主人公コンビ、神田鉄雄&栗原宏美の上司の娘)。

美人で、気が強い。

お見合いエピソードのお怒り鷹子が可愛い。

 

「ファントム無頼」より。お怒り鷹子

この画集、鷹子のカットがもっとあると、さらに良かった。

 

「新谷かおるARTWORKS」より。「ファントム無頼」のキャラクター。中央が鷹子

顔だけで言えば、「エリア88」の津雲涼子(風間真の恋人)も似ているけど、性格は弱々しい。

まあ、物語が進むにつれて涼子もだんだん、強くなっていくのだけど。

 

少女漫画でデビューしたのに、なぜ、少年漫画に転向したか。

その経緯も、作者インタビューで明かす。

松本零士のもとでアシスタントとして働いていた頃、促されたのがきっかけだとか。

「おまえ、このまま少女漫画家を目指していたら、首を吊るようになる。おまえの絵は少女漫画風の優しい絵柄だが、話の持って行き方はハードな少年漫画のものだ」と。

 

考えてみれば、松本漫画も、女性キャラクターは、線が細くて少女漫画的かもしれない。

新谷漫画と絵柄は違っても、華奢で、はかなげな感じは共通。

この「華奢で、はかなげな感じ」が、「男のロマン」というような硬派なメカアクションの中で、絶妙な対比となっている。

 

 

師匠は同じような可能性を弟子に感じたのではないか。

そして、それに応えて自分の作風を築いた弟子もすごい。

 

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com

www.tetch-review.com