同人誌を作ってきた中でも、ずっと、そうでしたが、私は「イラストをまとめた本」というのが、どうしても作れなくて。私の本分はイラストレーターだと思っていますが、いわゆるイラスト集がどうしても作れません。
それは常に、語りの部分や物語的な入り口を作ってこそ自分の本であり作品である、という感覚があるからだと思います。作りたい本の姿に、いつも物語的なセクションが含まれている、という感じです。
(以上、「マイガーランド」についての作者メッセージから抜粋)
企画展で掲示してあったメッセージが、制作スタイルを物語る。
レトロな和装の女性のイラストで知られるイラストレーター、マツオヒロミ。
女性の憂いを帯びた表情が好きだ。
植物を題材に、緻密に描かれた着物の柄や背景の装飾が美しい。
これは、私が大好きなグラフィックデザイナー、アルフォンス・ミュシャを思い起こさせて、ますます、惹かれる。
作品集は単なるイラスト集でなく、世界観やストーリー性があるのがいい。
架空の百貨店を紹介する作品集「百貨店ワルツ」しかり。
架空の雑誌の歩みを振り返る作品集「マガジンロンド」しかり。
ランジェリーをテーマにした作品集「マイガーランド」しかり。
イラストは、売り出しの広告やポスター、雑誌記事などの体裁を取っていて、エッセイが添えられていたりする。
もともと漫画家を志した作家で、漫画からテーマの世界に誘うという導入も秀逸だ。
いくつか、作品集を紹介する。
(詳しくはリンク先の各記事へ。随時、追加・更新)
「イラストレーション メイキング&ビジュアルブック マツオヒロミ」
「百貨店ワルツ」
マツオヒロミを知ったのは、十数年前だったか。
取材で訪れた美術館で、他地域での個展のポスターをひと目見て気に入り、作品集を2冊買った。
「百貨店ワルツ」は、架空の百貨店の各フロアを紹介しながら、売り出しポスターなどに見立てた作品を載せてある。
「イラストレーション メイキング&ビジュアルブック」は、作品の制作過程を紹介してある。手描きのスケッチも何点か載せてある。
(リンク先の記事は、2冊まとめて簡単にしか書いていない。折を見て、書き直したい)。
「マガジンロンド」
1922年創刊から100周年を迎えたという架空の女性雑誌「RONDO」の世界を表現した作品集。このアイデアが目を引く。
本書のカバーを外すと、「RONDO 2022年7月号」の表紙と裏表紙が再現してあるという趣向も面白い。
作者は、もともと、ファッション雑誌を眺めるのが好きで、架空の雑誌を作品で表したかったといい、本書で念願が結実した。
時代ごとに雑誌のタイトルロゴやデザインはもちろん、女性のイラストの雰囲気も少し変えてあるのは、芸が細かい。
「マイガーランド」
架空のランジェリーショップのスタイルブックの体裁を取るパート、ランジェリーの歴史を解説するパート、短い漫画で構成してある。
ランジェリーの歴史のパートは、1900年代から1990年代まで10年刻みに変遷をたどる。装った姿と、その下に隠れたランジェリー姿を並べているのが、面白い。
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<ほかの作家のハブ記事>
