世の中にこんなに美味いものがあるのかと感動したのは、牛ヒレステーキを初めて食べた時。社会人になってからで、30年近く前。
妻と結婚前の交際中に、ステーキ専門店に連れて行ってもらった。ステーキ専門店に入るのも、私は初めてだった。
ちなみに、私は、団塊ジュニア世代。
子どもの頃に読んだ漫画「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」で、スネ夫が「フィレミニョンステーキをレアで」と注文する場面があり、美味しい高級料理なんだろうなとは想像していた。
子どもの頃は、丸大食品「Newバーガー」(魚肉製品)でステーキ気分を味わい、丸大食品「ジンギスカン」(味付けした羊肉をパックしたもの)で焼き肉気分を味わっていた。懐かしい。
同世代の方の多くは、共感していただけるのではないだろうか。
小学校の修学旅行で夕食にジンギスカンが出て、貪るように食べたことは、以下の記事で書いた通り。
そもそも、牛肉は高級食材で、私の実家では、すき焼きと言えば「豚肉で味噌味」だった。作り方など詳細は以下の記事で書いた通り。
私の実家では、カレーには、薄切りの豚肉が用いられてきた。
私が中学生の頃に初めて角切りの牛肉が投入されたのは画期的な出来事で、よく覚えている。
なお、私の学校では、給食のカレーに入っている肉は、レバーだった(そのせいもあってか、私はレバーが大好き)。
一方で、私の両親(団塊世代)が子どもの頃は、カレーがご馳走だったようだ。
父が子どもの頃に家で食べたカレーは、肉が全く入っていなかったという。
割と貧乏だったようで、おかずがなくて、ご飯に塩をかけて食べることもあったと聞く。だから、肉なしカレーでも、うれしかったそうだ。
山村の農家で生まれ育った母の場合は、ややワイルドだ。カレーには、飼っていたウサギや鶏、その辺で捕らえた山鳥が投入されたという。
牛ヒレステーキほどではないが、感動したと言えば、中学生くらいの頃、近所の喫茶店で初めて食べたタラコスパゲティもそうだ。
それまで、スパゲティと言えば、やわらかい麺を炒めて、添付の粉(トマト味)を振りかけて仕上げるものしか、知らなかった。
喫茶店のタラコスパゲティは、乾燥した麺をゆでて作るスパゲティで、食感が全く違う点にも衝撃を受けた。
時代の流れにつれて世の中がだんだん豊かになり、私の娘は、子どもの頃から、ステーキ、焼き肉、寿司といった、私たちの世代にとっては、ご馳走に相当するものを日常的に食べて育ってきた。
私にとっての牛ヒレステーキのように、大人になってから初めて食べて感動した食べ物があるのだろうか。
娘に聞いてみると、大人になってから初めて食べて感動したというものは、特に思い浮かばないという。
ただ、幼い頃、妻の実家で、すき焼きを初めて食べた時は感動したという。
牛肉を用い、醤油味で、溶き卵を絡めて食べる、一般的なもの(私の実家風とは異なる)。こんなに美味いものがあるのかと思ったそうだ。
妻によると、娘の喜びようを見て、義母はしばらく、娘が行くたびにすき焼きを作っていたらしい。
娘によると、溶き卵を絡めるのが美味さの重要なポイント。牛肉そのものではないところが興味深い。
娘は卵が大好物だからかもしれない。オムレツ、目玉焼き、だし巻き卵、カルボナーラスパゲティといった品は特に好んでいる。
そんな娘のために、こだわりの卵を売りにする鳥取県八頭町の大江ノ郷自然牧場に親子3人で行ったことも、思い出した。
今週のお題「感動するほどおいしかったもの」