
私は、組み立てていないプラモデルを眺めるのが楽しみだ。
主に軍用機のプラモデル。戦車などAFV(装甲戦闘車両)、F1のレーシングカーのプラモデルも好きだ。自宅に未組み立てのプラモデルが300個くらいあるだろうか。
どんな風に組み立てて塗装して仕上げるか、完成形を想像するのが楽しい。不器用で上手に組み立てられないから、めったに組み立てないという事情もある。
時々、ストックしてあるプラモデルの箱を開け、パーツや組み立て説明書を眺めながら、いろいろと想像して楽しみ、また、しまう。
こうした鑑賞用のプラモデルの購入費用を捻出するために、かつてやっていたのが、ヤフーオークションを活用した売買。
2020年1月ごろから23年3月ごろまでの間、ヤフオクでプラモデルの掘り出し物を落札して一定期間鑑賞し、飽きたら出品して売るという活動をしていた。
特に軍用機プラモデルは昔から好きなので、自然に相場に詳しくなり、「安く買って高く売る」という、いわゆる「せどり」ができるようになっていった。
仕入れの狙い目は、おそらくリサイクル業者が、プラモデルを一山いくらという感じでまとめ、「ジャンク品。1円~」という感じで、出品しているものだ。
まとめた商品1点1点を詳しく説明していないので、写真を見て判断するしかないが、掘り出し物が紛れ込んでいることがある。
もちろん、世の中に、プラモデルに詳しい人は少なくないので、入札価格はだんだん競り上がり、適正価格(相場)に落ち着くことが多いが、思わぬ安値で落札できることもある。
私の場合、売値を想定したうえで、利益率3割(売り上げの7割までが仕入れ値)を念頭に入札していた。
また、一山いくらのジャンク品の出品の場合、パーツが欠品していたとか、破損していたというリスクもあるので、その点も考慮が必要だ。
安く買った品を、高く買ってくれる人がいるというのは不思議な気もするが、もちろん安く買うには掘り出し物を探す労力がかかっている。
高く売れるように商品説明も工夫していた。
例えば、商品の魅力が増すように実機の説明を加える。
第2次世界大戦中の米国の戦闘機P-38の偵察機型「F-5B」には、フランスの作家で、従軍したサン=テグジュペリの搭乗機だという説明を加えるとか。
もちろん、パーツがそろっているかどうか、デカールの経年劣化の状態など商品説明を詳しく記していた。
かつて付けていた記録によると、2020年1月ごろ~23年3月ごろの3年余りの間の収支は次の通り(23年3月末時点)。
収入(売上高)156万6728円(落札した誰かの負担となる送料は含まない)
支出(仕入れ)103万9100円(落札者の私が負担する送料は含めて計算)
差額52万7628円(売り上げの33.7%)
売却済み商品862点
売却向けストック106点(売るつもりがなく、手元に残すものは数に含めていない)
差額は、利益みたいなもの。本当は、ここから梱包資材(段ボール箱は手持ちのものをリサイクルしていたが、封筒やテープは買っていた)の購入費をコストとして引かないといけないのだろうが、少額なので、計算に入れていない。
仕入れたけど、まだ売っていないストックが106点あるので、そのことも考慮すると、利益はもう少し大きくなる。
試算すると、、、これまでに862点を156万6728円で売ったので、1点の平均売価は約1800円。
ストック106点が平均売価で売れると、約1万9000円。
これを足すと収入は約158万6000円、支出との差額は約54万7000円(約34.5%)となる。
仕入れたけど、売らずに手元に残すものも数十点はある。これはタダで手に入ったようなものだ。
収支としては、悪くないと思う。
副業として見ると、プラモデルは単価が安いので、出品、梱包、発送の手間を考えたら、あまり割に合わない。
私の感覚だと、少なくとも3000円以上で売れる品でないと、馬鹿馬鹿しい。
まあ、好きだから、それも含めて楽しんだということ。
その後は仕事が忙しくなったりして、ヤフオクにかける時間がなくなり、お休み中だ。
ちなみに、簡単に手に入るキットは、当然ながら、安くでしか売れない。
掘り出し物を含む「まとめもの」を買うと、そのような品が付いてくることもあるので、500円くらいでさっさと手放していた。
メジャーな機種のプラモデルは、限定品とか生産中止とかの珍しい品でない限り高く売れない。
あまりキット化されていない旧ソ連のマイナーな機種、各国の実験機や試作機が掘り出し物。50年くらい前にキット化されたような古い商品(現在の新商品と比べると、プラモデルとしての出来栄えは著しく劣る)でも、高く売れる。
高く売れて特に思い出に残っている品を5点ほど紹介しておきたい。
★レベル製、1/200スケール「ボーイングSST」(定価不明)
ボーイング社が計画した超音速旅客機。
可変翼機で、離着陸時は主翼を広げ、高速飛行時は主翼を後ろにたたむ。
実用化には至らなかったが、このキットには、パンナムのマーキングが付いている。
両方の形態を並べて飾れるように、2機分のパーツが入っている。
かなり古いキットだとみられる。
まあまあ珍しい品で、掘り出し物。
これまでに2点出品し、うち1点が9980円、「難あり」のもう1点(主脚のパーツが欠品)が8480円で売れた。
同じ品があと2点、販売用にストックしてある。

(Amazonに出品されている上の商品は、法外な価格設定なので、注意を)
★ハセガワ製、1/72スケール「F-15ACTIVE」(定価3960円。限定生産品)
F-15ACTIVEはF-15イーグルを改造した短距離離着陸実験機。
F-18の尾翼を流用したカナード(前翼)をコクピットのそばに取り付けているのが特徴だ。
8480円で売れた。同じ品が保存用に1点、販売用に1点ある。
かつて、Amazonでは、1万円以上の高値で出品されていた。
今、探してみると、見当たらない。

★フォンデリーミニチュア製、1/72スケール「ノール1500グリフォンⅡ」(定価不明)
フランスのノール社の実験機。
フランス・ダッソー社の傑作機、ミラージュⅢを上回る存在にはならず、実用化されなかった。
かなり古いキットだとみられる。かなり珍しい品で、掘り出し物。
9980円で売れた。同じ品が保存用に1点ある。

★ノボ製、1/72スケール「フェアリー・デルタⅡ」(定価不明)
英国のフェアリー社の実験機。かなり古いキットだとみられる。
「難あり」の品だったが(ピトー管のパーツの折れ曲がり)、8600円で売れた。同じ品が保存用に1点ある。
私が出品した当時は、まあまあ珍しい品だったが、2024年に新金型の商品が発売された模様。

(上の商品は2024年発売で新金型らしい。今から買うなら、これがおすすめ)
(上のフロッグ製の商品は、ノボ製と中身は同じ。古いキット)
★エアフィックス製、1/72スケール「ホーカーP1127」(定価不明)
英国のホーカーシドレー社の垂直離着陸機、ハリアーの原型になった試作機。
空気取り入れ口の形状などが異なる。
かなり古いキットだとみられる。
7850円で売れた。同じ品が保存用に1点ある。
私が出品した当時は、かなり珍しい掘り出し物だったが、現在、再生産品が出回っている模様。

(上の商品は、パッケージを新しくした再生産品と思われる。中身は古いキットのままだが、デカールは新しいと思うので、今から買うなら、こちらがおすすめ)
<余談>
今回、この記事を書くに当たり、Amazonに出品されている商品を調べて、「フェアリーデルタⅡ」の新金型商品や「P1127」の再生産品が出ていることを知った。
私がストックしているものは、もう高値では売れないと思う(売る気はなかったが)。
軍用機プラモに限らず、新金型でより精密な新商品が発売されたり、再生産されたりして、プレミア価格だった古いキットの相場が暴落することは時々ある。
<事例その1>
1/72スケールの「YF-23」は、タミヤ製(イタレリ製のOEM品)とドラゴン製があり、人気の高い機種ながら、どちらも生産中止になっていたため、かつては4000~5000円くらいの高値で取引されていた(タミヤ製の場合、もともとの定価は800円か、900円くらいだったと思う)。
その後、プラッツというメーカーが新金型で発売し、相場が暴落した(私はYF-23の相場が暴落してからタミヤ製とドラゴン製を入手した)。
<事例その2>
ハセガワ製の1/72スケール「F-5A」も人気の高い機種で、かなり古いキットながら、高値で取引されていた(私も2、3点売った。保存用に1点持っている)。
PMモデルというメーカーがハセガワ製を再生産したり(メーカーの技術が低いのか、ハセガワ製と比べ、ひどい品質)、ウルフパックというメーカーが新金型で発売したり、さらにはイタレリ製(ハセガワ製よりは新しく、出来もいい)がよく出回るようになったりして、全体的にF-5Aの相場は下がった。
ウルフパック製は人気がない(私は好きだが)。
イタレリ製は人気が高い(私も持っている)。




