
「国内最大規模の実弾射撃演習」と言われる陸上自衛隊の「富士総合火力演習」を、十数年前に、一度だけ見たことがある。
取材ではなく、プライベートで観覧した。
当時の赴任地で「大本営会」という団体の方々と知り合い、会合に誘われたことがきっかけだった(これも取材ではなく、プライベートでの参加)。
大本営会は、旧日本軍の軍人だったご高齢の方々、自衛隊のOBや支援者、父兄の方々で組織しており、戦中の軍歌が流れる中、酒を酌み交わして親睦を深める活動をしておられた。
会場には、旧海軍の旭日旗や、日の丸の国旗が掲げられ、元軍人の方々は、レプリカだろうか、当時の軍服姿、自衛隊OBの方々は迷彩服姿で雰囲気十分だった。
話がそれるが、、、
いわゆる「右」「左」で言うと、「戦争反対」「自衛隊は憲法違反」といった「左寄り」の考えの方々は、割と探しやすくて取材にも応じてもらいやすい。
一方で、「自衛隊が伸び伸びと働けるように憲法での位置づけを整えるべき」といった「右寄り」の考えで、取材に応じてくれる方は見つけにくい。
見つけにくいのだけども、当然、世の中には、おられる。
私自身が右にも左にも偏っていなくて、どっちの方々とも普通に話せるからだと思うが、20年くらい前には当時の赴任地で「国防政策研究会」という市民団体、その数年後の赴任地では「漁火会」という経営者団体の方々と知り合った。
大本営会を含め、知り合った方々との人脈は、取材に生きた。
「外交・安全保障」的なテーマの取材は、弊社の当時の政治デスクの指名で、私がよく担当していた頃もあった。
ちなみに、このデスク(とても厳しくて怖い先輩)は、左寄りの思想が大嫌い。
いつだったかの衆院選の時。たしか当時、自衛隊の海外派遣が現実味を帯び、自衛隊員の中にも「戦場に行くのは嫌だな」的なムードがあったと思われる頃。
遊説中の共産党候補に、通りかかった自衛隊員が手を振ったというこぼれ話を私が拾ってきて、そのことを記事に盛り込んだ。
そうしたら、このデスクに「自衛隊員が共産党に手を振るわけがない」と叱られ、その下りがばっさりと削除された。
このデスクが原稿を手直しすると、「自民党最高。旧民主党最低」というトーンの記事に変貌してしまうので、当時、旧民主党の担当記者は取材相手に恨まれ、苦労していたと思う。
話を元に戻す。
大本営会で知り合った方の中に、地域の自衛隊協力会(自衛隊員の父兄や支援者の団体)の方がおられ、ウマが合って仲良くなった。
この方に「地元の自民党国会議員のつてで、富士総合火力演習の入場券が手に入った。協力会でバスを仕立てて、泊まりがけで行くけど、あんたも来るか」と誘われた。
ミリタリーマニアである私は、もちろん、富士総合火力演習の存在は知っていた。
一般の観覧も可能だが、希望者が多すぎて入場券が手に入らないと聞いていた。
(なお、ウィキペディアによると、2009年の例で、入場券の倍率は28倍)。
私は、お誘いを受け「ほんとですか、行きます、行きます、絶対に休み取ります」と参加を即答した。
富士総合火力演習の舞台は、東富士演習場(静岡県御殿場市)。
前日に御殿場市に入った。当日は早く行って場所取りをしないといけないため、早朝から現地に向かった。
富士山のふもとの演習場に、観覧席が設けてあり、ものすごい人の多さだった。

陸上自衛隊のホームページによると、この年の富士総合火力演習は隊員約2400人、戦車・装甲車約80両、各種火砲約80門、航空機約30機が参加。
約3万1200人が観覧したという。
最も観覧者をわかせたのは、各種戦車の実弾射撃。
74式戦車、90式戦車、そして最新鋭の10式戦車が次々と登場した。


ちなみに、私が好きなのは、74式戦車。
丸みがあって平べったい砲塔がかっこいい。
タミヤ製の1/35スケールのプラモデルを持っていて時々、箱から出して眺める。
戦車の大砲の発射音を初めて聞いた。「バルジ大作戦」等の戦争映画や「風の谷のナウシカ」等のアニメ映画の戦車から想像していたよりも、大きな音。
落雷のような轟音だった。
陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターAH-64、輸送ヘリコプターCH-47も登場。
CH-47が、装甲車両をぶら下げて飛んできて、地上に降ろす演習が面白かった。
航空自衛隊の戦闘機F-2も飛んできた。

望遠レンズが重かったけど、持って行った甲斐があった。
かなり写真を撮りまくった。
この富士総合火力演習、新型コロナウイルス禍の2020~22年は一般公開されず、動画のネット配信だけ。
そして、23年以降も一般公開はしないことになった。
陸上自衛隊の当時のプレスリリースによると、「わが国を取り巻く安全保障環境がますます厳しく複雑になる中、防衛力を抜本的に強化していく必要があることを踏まえ、部隊の人的資源を本来の目的である教育訓練に注力するため」と説明してある。
当時の報道によると、本来は隊員の教育訓練が目的で、国民に自衛隊への理解を深めてもらうため一般公開してきたが、だんだん、ショー化してきて、運営に携わるスタッフの労力などが大変だったらしい。
自衛隊内部からも疑問視する声があったようだ。
国民向けの広報は、演習そのものではなく、「ゴジラ」シリーズ等の映画で見てもらって何とかしたいということなのかもしれないが、本物の演習の迫力には及ばないと思う。
ご縁があってお誘いいただき、一度だけでも観覧できたのは幸運だった。
余談だが、、、
自衛隊が出てくる映画と言えば、私が好きなのは、特撮映画「八岐之大蛇の逆襲」(1985年、DAICONFILM)。
これは隠れた名作だ。
のちにガイナックスを設立してアニメ映画の傑作「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を作る若者たちが手がけた。
「八岐之大蛇の逆襲」の監督は、鳥取県米子市出身の赤井孝美。
樋口真嗣、押井守、庵野秀明らも携わった。
ちなみに、赤井孝美と言えば、私にとっては、大学時代にはまった育成シミュレーションゲームの先駆け「プリンセスメーカー」の作者としても、懐かしい。
「八岐之大蛇の逆襲」は、大山(だいせん。鳥取県西部にある山)から八岐大蛇が出現し、米子市の街を破壊して、中海(なかうみ。鳥取、島根両県境にある汽水湖)に去って行くというストーリー。
米子の街を模型でリアルに再現しており、鳥取県出身者にとっては見慣れた米子の街が破壊されるシーンが見どころ。
八岐大蛇に破壊されるだけでなく、自衛隊のミサイルの誤射でも破壊される。
模型で再現した商店街を自衛隊の戦車が爆走するシーンも見逃せない。
大学時代に、DVDを買ったけど、残念ながら行方不明で、もう見られない。
このDVDは、Amazon等では法外な高値で出品されているので、注意が必要だ。





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