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私の故郷・鳥取市の近郊にかつて遊園地があった。
その名も「鳥取プレイランド」。
1986年に開園し、1995年に閉園と、わずかな期間ではあったが、鳥取の子どもたちに夢と希望を与えたのは間違いない。
山陰の片隅にある鳥取市は「陸の孤島」と呼ばれる田舎だ(人口18万人)。
2025年春、街の玄関口・JR鳥取駅に自動改札機が導入されたことは、鳥取の歴史上、画期的な出来事だった。
駅員に切符を渡すという人間味あふれる駅の良さも、捨てがたかった。
ただ、これで、市民が都会に行った時に自動改札機を怖がらなくて済むようになると、ひそかにホッとしたものだ。
市街地にある鳥取県庁のすぐ背後の山「久松山」(きゅうしょうざん、263メートル)には、熊が出る。
市民は慣れているので、あまり怖がっていない。
故郷にいる私の父は、健康づくりのため、久松山に毎週登っているけども、熊よけの策は一切、施していない。
かなり山奥に行かないと見られないような希少なチョウチョが普通にそこらを飛んでいるとも聞く。
ここまで豊かな自然に抱かれた県庁は、鳥取のほかにあるまい。
鳥取プレイランドが開設された地は、当時の鳥取県国府町(平成の大合併で鳥取市に編入された)。
私が幼い頃には観光栗園があった場所で、家族と栗拾いに行ったのを覚えている。
地元・鳥取の人間でさえ道に迷うくらいの山奥に、ぽっかりと開けた鳥取プレイランドは、まさに桃源郷の趣だった。
私は1990年代前半の大学時代、サークルの友人数人と一緒に、ここでアルバイトをしたことがある。
あまりにも客が少なくてヒマなので、自分たちで勝手に遊んでいた。
友人たちはジェットコースターや観覧車等、さまざまな乗り物を楽しんでいた。
私はゴーカートばっかり乗っていた。
私は、高所恐怖症なので、ジェットコースターや観覧車は苦手。
乗り物酔いしやすくて、陸(バス、列車)、海(船)、空(飛行機)、全部酔うので、激しく回転したり揺れたりする乗り物も、たぶん、ダメ。
つまり、遊園地であまり楽しめないタイプだ。
鳥取は田舎なので、中学校の修学旅行で京阪神方面に行った時には、行程に遊園地(エキスポランド)が組み込まれていた。
同級生たちはジェットコースター等、さまざまな乗り物を楽しみ、はしゃいでいたけども、私はお化け屋敷くらいしか行くところがなかった。
大人になってから、妻や長女と遊園地に行ったことがあるけど、ジェットコースターに乗る時は、私はずっと目をつぶっていた。
観覧車では、妻がわざと揺らすので、怖かった。
妻と長女は、ディズニーランドも大好きで、時々、2人で行っているけど、私はミッキーマウスが大嫌いということもあり、一度も行ったことがない。
鳥取プレイランドでアルバイトをしていた頃、ゴーカートばっかり乗っていたのは、ジェットコースター等が苦手ということもあるけど、それだけではない。
実は私、車の運転が大好き。
乗り物酔いしやすいのだけど、自分で運転する車は、何ともない。
おそらく、バスや列車、船、飛行機も、自分で運転・操縦したら、酔わないと思う。
航空アクション漫画の傑作「エリア88」(新谷かおる)で、主人公のパイロット、風間真が恋人の津雲涼子と遊園地に行き、ジェットコースターを怖がる様子が回想シーンで描かれる。
真が「パイロットがジェットコースターを怖がっちゃ、おかしいかい?」と言う。
涼子は「だって、考えられないもの。ジェット機って、ものすごいスピードで飛ぶんでしょ。こんなのとは比較にならないはずよ」と不思議がる。
私には、真の気持ちがわかる。
自分が運転・操縦するのと、そうでないのとは全然、違う。


そして、私の車の運転は乱暴らしい。
妻や長女が嫌がるので、自分1人で乗っている時にしかやらないけど、高速道路では、けっこう、スピードを出す。
追い越しも、どんどん、する。
(あおり運転はしない。そういうのとは違う)。
私が今、使っている車は軽自動車で、背の高いワゴン車だから、速く走るのに不向きなんだけど、それで速く走るから面白いんだよね。
普通車、特にスポーツカーだと、速く走れて当たり前だから、面白くない。
市街地を走る時は、車線変更しながら、縫って走るのが大好き。
周囲の車の動きを予測して、そう走るのが面白い。
広くて走りやすいけど、交通量も信号も多い国道と、交通量が少なくて信号もほとんどないけど、狭くてカーブやアップダウンがある農道なら、私は農道を選ぶタイプ。
もともと、方向音痴なうえに狭い道、知らない道が好きだから、よく道に迷う。
私の運転の傾向は、かっこよく言えば、挑戦的な運転が好きということだろう。
そんな私の憧れのドライバーは、ジル・ヴィルヌーヴ(伝説的なF1ドライバー)。
伝記「ジル・ヴィルヌーヴ 流れ星の伝説」(ジェラルド・ドナルドソン)によると、自家用車で公道を走る時も挑戦的だった。
常に最高速度で走り、対向車線にはみ出しての追い越しも、どんどん、やったという。
超人的な勘と判断力、運転技術を生かして。
アクション映画のカーチェイスみたいな走りをしていたわけだ。
そのヴィルヌーヴが、高速で斜面を滑り降りるアルペンスキーの選手に舌を巻いたという逸話がある。
尊敬の念を込めて「ヤツらこそ、クレイジーだ」と言っていたという。
自分でマシンを制御して高速を出すのと、そうでないのと、違いを感じて言ったのだと想像する。
「エリア88」の真と共通するニオイが感じられて、興味深い。

