「プレデター」(1987年、米国)
「Predator」
面白い悪役が出た。強い相手を狩るのが生き甲斐だという。
地球外から来た謎の生物プレデター。
仮面の下の素顔が気持ち悪くなければ、ファンになっていたかもしれない。
映画「プレデター」は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクション。
中米のジャングルを舞台に、序盤の作戦で主人公ダッチ(シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊の強さを見せつける。
その屈強な男たちが一人また一人とプレデターに狩られていくという物語。
プレデターは相手を狩り、生皮を剥いで吊るしたり、血だらけの頭骨を愛でたりと、どう見てもサイコな変態。
いや、人間が猛獣を狩って、毛皮を飾るようなもんだと思えば、やはり、狩りなのか。
人間を狩ると言っても、漫画「メタルK」(巻来功士)や漫画「アウターゾーン」(光原伸)に出てくるエピソードのように、無力な者を一方的にいたぶるマン・ハンティングとは違う。
プレデターは、武器を持たない者、弱い者は狙わない。
戦いに敗れると、名誉のため、潔く自爆して果てる。
漢(おとこ)である。
おいおい、人間と対等じゃないよ、と思われるかもしれない。
たしかに、光学迷彩で周囲の景色に溶け込んで隠れ、赤外線で相手を探知するといった特殊能力は人間を超えている。
その点、ずるいと言えば、そうなのかもしれない。
だが、最後のダッチとの戦いは、遠くから隠れて撃つとかでなく、肉弾戦だったから、そこは大目に見てあげてほしい。
この作品、シュワルツェネッガーの肉体美をこれ見よがしに見せつける演出も、微笑ましい。
大木をロープで引き上げて、罠を仕掛けるシーンとか。
脇役もそれぞれキャラクターが立っていた。
ダッチの戦友で、出世しか頭にない嫌なやつに成り下がっていたディロン(カール・ウェザース)が、最後には、いいところを見せる。
ダッチの部下でディロンに反発していたマック(ビル・デューク)と手を組んで、プレデターを追うシーンがいい。
漢だなあ、と感じる。
そして、2人とも、あっさりと、やられてしまう。
意気込んだ漢ぶりと、あっさりなやられ方のギャップ。
ここがいい。
エンディングも、よかった。
煙の中から、生き延びたダッチが現れるシーンはクサいんだけど、ヘリコプターに救出されて去るシーンの後がいい。
エンドロールになり、ここで登場人物が一人一人紹介される。
メイキングみたいな感じで、笑顔を見せたり、ポーズを決めたりする。
これがいい。余韻に浸れる。