映画「劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション」を先日、妻と見てきた。
「死者・・・ゼロですッ!」がお決まりのシリーズなので、絶対に全員が助かるとわかっていても、ハラハラさせる展開が見事。
火山島の噴火という自然災害要素を加えたことで、劇場版らしいスケール感が出た。
2023年の劇場版第1作は高層ビル火災で、往年の名作映画「タワーリング・インフェルノ」(1974年、米国)を思い起こしながら、楽しんだ。
劇場版第2作の今回は、災害がさらにスケールアップ。
MERメンバーからも泣き言が出たように、これは、もはや、「自衛隊さん、お願いします」レベルの事態だ。
だけど、予想通り、主人公の喜多見(鈴木亮平)たちは、「行くな」という災害対策本部の指示を振り切って、突入する。
本作は、おなじみの東京MERチームでなく、新設チーム「南海MER」が中心のストーリーで、離島の救急医療がテーマというのも、よかった。
手術室を備えた特殊車両を船に積み込んで洋上を漂い、救急事案が発生したら駆けつけるという設定。
誰が見ても非効率で、非現実的ではあるけども、斬新な発想で、面白いと思った。
もちろん、喜多見は新設チームの指導役として、ちゃっかりと、ここにいる。
私のお気に入りの偽悪キャラで、政府の医系技官・音羽(賀来賢人)の出番は少ない。
最後にここぞというところで、いい仕事をしたので、まあ、よしとしよう。
シリーズの新キャラで、南海MERチームの医師・牧志を演じるのは江口洋介。
私たち夫婦の世代にとっては、バブル期のトレンディドラマを思い出させる懐スタであり、今も活躍していることが、うれしい。
「コンフィデンスマンJP」の劇場版3作品でも、味のある悪役を好演していた。
物語では終盤、喜多見たち大ピンチの場面で、東京MERチームが応援に駆けつける。これがいい。
そして、死者ゼロで事態を乗り切り、東京都知事役の石田ゆり子がおなじみの可愛いガッツポーズ。見ていて「やるだろうな」と思ったら、やっぱり、やる。
これは、重要なポイントだ。
良い意味のマンネリが、作品への親しみや安心感を高めている。
「マンネリは宝だ」という、志村けんの名言を思い出す。
「TOKYO MER」シリーズは、その域に達した。
本作「劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション」は、離島の住民の助け合い、絆も見どころだ。
これが、死者ゼロにも結びついている。
駆け出しの記者だった二十数年前、中国地方のある無人島の取材に携わったことを思い出した。
最盛期には100人以上の島民が暮らした小さな島。豪雨災害をきっかけに、1970年代に島民が本土に集団移住し、無人島になった。
取材では、元島民の高齢者2人と一緒に島に渡り、島の中を案内してもらいながら、島の暮らしを振り返ってもらった。
中年世代の元島民、かつて島の分校に赴任した教師らも訪ねて話を聞いた。
漁で取った獲物を島民で分け合ったり、定期船が運んでくる物資は子どもを含めて島民総出で荷揚げしたりと、島民がひとつの大きな家族だったという。
取材で島を訪れた時、朽ちかけ、壊れかけていた空き家を見つけると、元島民の高齢者2人が、簡易的な修理を始めたことも記憶に残る。
この空き家は、2人の家ではないし、もちろん、今後、誰かが住むわけでもない。
それでも、2人が修理を始めたことは、島の暮らしへの深い愛着を感じさせた。
この取材の数年後、ある漁村集落を取材した時のことも思い出した。
全国的に、漁業の担い手不足という課題がある中、この集落では、若い後継者が育ち、細々とではあるけども、漁業がなりわいとして維持されていた。
その秘密が何かを探る取材で、印象に残った話のひとつが、獲物は集落の住民で分け合うという習慣。
集落の住民の絆が強く、子どもは当たり前のように、親の後を継いで、漁師になるということだった。
無人島と漁村集落の取材は「地域の絆」を考えさせられ、興味深かった。
「劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション」の舞台となった鹿児島県・諏訪之瀬島についても、ネットで調べてみた。
南日本放送さんのウェブマガジン「かごしま暮らし」のインタビュー記事によると、諏訪之瀬島には診療所があり、本土の医師が定期的に巡回診療するほか、看護師が常駐して、島民の健康管理に尽力しているという。
島の看護師さんご自身の出産の体験談も興味深かった。
へき地や離島では、周産期医療の確保も、大きな課題だ。
漫画「コウノドリ」(鈴ノ木ユウ)の第17巻では島根県・隠岐諸島を例に描いている。




