「機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編」
劇場版アニメで特に好きな作品を3本選ぶと何か。
私なら「風の谷のナウシカ」(1984年)「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」(1984年)「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)。
いずれも子どもの頃に見て、今でもDVDで時々見る。
長女に聞くと、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」4部作(2007〜21年)「劇場版鬼滅の刃」(無限列車編は2020年、無限城編第一章猗窩座再来は2025年)「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(2024年)だという。
ガンダム、まだ、劇場版を作っているのかと思った。
私の世代だと、ガンダムと言えば、初代のガンダム。
劇場版なら「機動戦士ガンダム」3部作だ。
特に第2作「機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編」(1981年)が好き。
(逆に、長女にとっては、マクロスと言えば、マクロスF)。
見どころは、主人公アムロの苦悩だ。
アムロは機械いじりが好きな少年。ひょんなことから、連邦軍の新型モビルスーツ、ガンダムに乗り込んで敵のジオン軍との戦いで活躍。ホワイトベースの中心戦力となった───という経緯がある。
第2作では、増長するアムロに、ホワイトベースの艦長ブライトが反感を抱き、「ガンダムのパイロットはアムロでなくてもいい」という論が持ち上がる。
さらに、対決したジオン軍のパイロット、ラルからは「お前が勝ったのは、ガンダムの性能のおかげ」と言われてしまう。
アムロは、ラルに勝ちたい(認められたい)と願う。
アムロは、わがままな性格で、他人の気持ちに無頓着だ。
幼なじみで、明るく世話焼きの少女フラウが寄せる好意にも気づかない。
第2作でアムロは、美女の上官マチルダに惹かれ、一方ではラルの妻ハモンと、ひょんなことから出会って気に入られ、まんざらでもない様子を見せる。
ホワイトベースの中心戦力となるだけでなく、ほかの女性に目を向けるアムロに、フラウは「私からどんどん離れていくのね」と寂しさを口にする。
アムロの苦悩に、フラウの苦悩が絡んでストーリーが展開される。
アニメコミックスから、ポイントになる場面を補足的に紹介しておく。
その1・マチルダにドキドキ
アムロは、マチルダがホワイトベースを訪れると、案内を買って出る。
横目で見ながらドキドキ。
フラウは「食事が終わったら、あたしの部屋のエアコン、直してくれるって、言ったでしょ」と不機嫌。

その2・ハモンに気に入られる
アムロは、アムロ降ろしの話を立ち聞きして、怒って、ホワイトベースを出ていく。
そして、砂漠の町の食堂で、ラル、ハモンらと出会い、ハモンに気に入られる。
その時、アムロを心配して探しに来たフラウが捕まる。
2人は連邦軍の一員だとバレるが、ラルは見逃す。
ラル「いい目をしているな。フフ…それに度胸もいい。ますます気に入ったよ」
アムロは、ポンチョの下で拳銃を抜く準備をしていた。
これは、かっこいい。ここぞという時にはフラウを守る姿勢。
ラル「だがな…戦場で会ったら、こうはいかんぞ。頑張れよ。アムロ君」
ハモンに手を振られて、浮ついたのか。
アムロは去り際に、フラウとつないだ手を離す。
フラウは寂しそうにつぶやく。
「あの女の人(ハモン)が見ていたから、私と手をつなぐのをやめたんでしょ。どんどん、私から離れていっちゃうのね…アムロ…」



その3・ラルとの戦い
アムロとラルの接近戦。
お互いにモビルスーツのコクピット付近がやられて、パイロットがむき出しになり、お互いにあの時の相手だと知る。
アムロは何とかラルを撃退。
ラル「見事だな。しかし、坊主、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツ(ガンダム)の性能のおかげだということを忘れるな」
その4・あの人に勝ちたい
勝手に出ていった罰で、ホワイトベースに戻ったアムロは、独房に入れられる。
心配するフラウ。
アムロは「僕が一番、ガンダムをうまく使えるんだ」と言って、泣く。
そして「僕は、あの人(ラル)に、勝ちたい」とつぶやく。
グッとくるシーンだ。


その5・ラル自決
ところが、その後、ラルは、ゲリラ戦法でホワイトベースに潜入して負傷。死を覚悟し、アムロの目の前で自決する。
「見ておくがよい。戦いに敗れるということは、こういうことだーっ!」と。
ラルに勝ちたいというアムロの願いは叶わなくなった。
これで、アムロがへこむのかなと思ったら、目まぐるしく事態が展開して、アムロはへこむヒマもない。
というか、憧れのマチルダがホワイトベースを訪ねてきたのに、浮かれる。
おい、ラルのことは、もういいんかい!という感じだ。
その6・マチルダ戦死
マチルダとの再会に浸る間もなく、ジオン軍の凄腕パイロット3人組「黒い三連星」がホワイトベースを襲う。
アムロは、黒い三連星を倒すが、その間にマチルダがやられてしまう。

その7・ハモン戦死
そして、その悲しみに浸る間もなく、今度は、ラルの仇撃ちを誓うハモンが迫る。
アムロのニュータイプ能力によるテレパシー的な交流があるのが、興味深い。
迎え撃つアムロの目の前に、ハモンの顔が浮かぶ。
「坊やはどこ?」と。
「あの人か」と、アムロは、ハモンの襲撃だと察する。

戦いの中で、アムロは、ハモンに後ろを取られる。
アムロ「ハモン…さんか?」
ハモン「本当…好きだったよ…坊や」
ピンチのその時。
死んだマチルダの顔が浮かび、「大丈夫!」と激励。
リュウのコアファイターがハモンのマゼラトップに体当たりして相打ちになり、アムロは窮地を脱する。
この場面のマチルダは、映画「コナン・ザ・グレート」で、主人公コナンのピンチに死んだヒロイン・ヴァレリアが現れて励ます場面を思い出させる。

ちなみに、このテレパシー的な会話が、ガンダムの面白さを高めている。
白兵戦ではなく、メカ戦なので、本来、敵との会話はない。
ガンダムの世界では、ニュータイプの能力として、それを可能にした演出が素晴らしい。
しかも、マチルダという死者の声も聞こえるのが、すごい。
第3作では、ニュータイプ同士のアムロとララァの間で、もっと大々的に会話が展開される。
その8・マチルダさ~ん
一連の戦いを終え、戦死者追悼のセレモニー。
ここで、アムロの脳裏に浮かぶ顔は、勝ちたいと願ったラルでもなく、気に入ってくれたハモンでもなく、危機を救ってくれて死んだリュウでもなく、憧れのマチルダ。
アムロは思いあまって、「マチルダさ〜ん」と絶叫する。
隣にいたフラウは、複雑な気持ちだったに違いない。

<中休み>
ホワイトベースの同僚パイロット・カイと、敵の女スパイ・ミハルの悲恋は、第2作の中盤のよいアクセント。
ホワイトベースでの生活に嫌気が差したカイが出て行って、ミハルと出会うという流れを含め、アニメ「戦闘メカ ザブングル」のエルチとエルの悲恋、ラグとアコンの悲恋のドラマに通じると思う。
シャアとセイラのドラマ
本作「機動戦士ガンダムⅡ哀・戦士編」では、アムロのライバルであるジオン軍エースパイロットのシャアと、ホワイトベースの同僚セイラのドラマも、見どころだ。
シャアは本名キャスバル、セイラは本名アルテイシアで、兄妹だが、諸事情により、ジオン軍と連邦軍に分かれている。
セイラは、シャアが兄ではないか感じており、第2作では、捕虜となったジオン軍将校と接触して、シャアは兄だと確信。別れの回想シーンが流れる。


その後、仲間の子どもたちを探していたセイラが、シャアとばったり再会。
シャアは、セイラに、軍から身を引くよう説く。


第3作では、シャアがセイラのため、生活費として金塊をホワイトベースに届け、セイラが涙する。この場面も、見どころだ。
ちなみに、私、初代ガンダムで一番好きなキャラクターは、シャアとセイラ。
敵同士に別れながらもお互いを気遣う兄妹のドラマ、そして、シャアの秘めた復讐劇が、初代ガンダムの物語に深みを与えていると思う。
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