てっちレビュー

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「フランダースの犬」(テレビアニメ) 可哀想な物語の代表格 「ネーーローーーッ!」というアロアの絶叫が悲しみを増幅 村人反省も後の祭りというところに教訓

 

パトラッシュ、僕は見たんだよ

一番見たかったルーベンスの2枚の絵を

だから、僕は今、すごく幸せなんだよ…

パトラッシュ、疲れたろ

僕も疲れたんだ

なんだか、とても眠いんだ…

 

飢えと寒さで力尽きたネロが天使に導かれ、パトラッシュと一緒に天に召されていくラストシーンに、涙がこぼれた。

同じ頃、行方不明のネロを探すアロアが雪道で転んで「ネーーローーーッ!」と絶叫する姿が、悲しみを増幅させた。

♪ランランラーン、ランランラーン…というオープニングとともに頭に焼きついている。

可哀想な物語と言われて、多くの方が思い浮かべるのは、アンデルセンの「人魚姫」か、この作品ではないだろうか。

 

(最終回動画見つけられず。以下のカップヌードルCM動画でご勘弁を)


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(以下の「名場面集」は静止画の集まり。アロア絶叫はこれでご勘弁を)


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1975年のテレビアニメ「フランダースの犬」(原作はウィーダ、1872年)。

 

可愛がってくれた、おじいさんが死に…

風車火災の犯人だと疑われて牛乳運びの仕事を失い…

希望の綱だった絵画コンクールで落選…

クリスマスまでに払えと言われた家賃の当てもない…

 

絶望のさなかでもネロは最後までまっすぐに生きた。

パトラッシュが大金の入った袋を見つけると、コゼツ(アロアの父で、地域の顔役)の物だろうと察して正直に届ける。

そして、パトラッシュをアロアの家に残して去る。

引き寄せられるように大聖堂を訪ねると、普段は隠されていてお金を払わないと見られないルーベンスの絵がなぜか、むき出しになっていた。

念願を果たして喜ぶネロの元に、パトラッシュが駆けつけ、最後を共にする。

 

この物語は、最後に大逆転のチャンスが訪れながらもネロには伝わらず、後の祭り感が漂うところに、教訓がある。

 

コゼツは、大金を紛失して困っており、見つからなければ破産するところだった。

「パトラッシュが見つけてネロが届けてくれた」と妻に聞くと、アロアとの交際を認めないなど、ネロに冷たい仕打ちを繰り返してきたことを反省。

これまでは妻やアロアがいくらネロをかばっても聞く耳持たなかったのに、大ピンチから救われた興奮のためか、あっさりと心を入れ替えた。

 

この絶妙なタイミングで、風車火災は、コゼツらの管理不十分が招いた失火であり、ネロには何も落ち度がないことが判明。

さらに、絵画コンクール審査員の1人が村に来て「私はネロの絵が最高だと思う。すごく素質があり、ルーベンス以上の大画家になるかも。絵の勉強をさせたい」という旨の朗報をもたらす。

 

しかし、行方をくらましたネロには伝わらず、コゼツら村人はネロの死を知って深く悔いるのだ。

 

これは、「ごんぎつねの法則」と言ってもいい。

「ごん、おまえだったのか。いつも、栗をくれたのは」。ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました───というラストシーンで知られる童話「ごんぎつね」(新美南吉)とは、ストーリー展開は違うけども、後悔先に立たずは共通。

 

「ごんぎつね」が、「悪意のあるはずの相手が実は善意を寄せているかもしれない」という想像力を育む物語だとすれば・・・

「フランダースの犬」の場合、コゼツの顔色をうかがう村人たちが牛乳運びの仕事を頼まなくなったことがネロの貧困を加速させ、家賃が払えずに借家から追い出される状況に追い込んだ。「見て見ぬふりが集まれば、命を奪うこともある」ということだ。

 

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(上記の記事「描くひと 谷口ジロー」で触れた作品「ブランカ」も、「フランダースの犬」級の感涙物)

 

とりわけ、ネロと親しかったアロアは、大きな心の傷を負ったに違いない。

劇場版(1997年)では、修道院のシスターになったアロアがネロをしのぶ場面が物語の導入となっている。

アロアは、世をはかなんで、シスターの道を歩んだのだろう。

 

このたび、ブログで「フランダースの犬」のことを書こうと思ったのは先日、自宅の片付けをしていたら、韓国製のDVDが出てきたからだ。

韓国旅行の時に買ったのだと思う。

(同じく韓国製のDVD「少林サッカー」も出てきた。ちなみに、私が持っている「風の谷のナウシカ」のDVDは中国製で、中国語字幕付き。中国旅行の時に買ったのだと思う)。

韓国製DVD「フランダースの犬」を見つけて懐かしくなり、見ようと思ったら再生できない。

おそらく、買ったときから、そうだったのだろう。

 

韓国製DVD「フランダースの犬」

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YouTubeで探したら、劇場版があり、鑑賞。

絵柄が違うので、オリジナル(テレビアニメ版)が見たくなった。

Amazonプライム等では有料だったので、無料のものを探したら、第1話を見つけた。

さっそく鑑賞。

 


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♪ランランラーン、ランランラーン…というオープニングを見たのは、かなり久しぶりだ。

(放送年からすると、私が最初に見たのは、再放送だと思う)。

なお、テレビアニメ「フランダースの犬」のキャラクターデザインとオープニング作画を手がけた森康二は、鳥取市出身。

「アルプスの少女ハイジ」のオープニングも手がけたと聞く。

同じ鳥取市出身者の1人として誇らしく思うけど、実は、恥ずかしながら、近年、ある企画展で無名時代の作品に触れるまで、その名も知らなかった。

ウィキペディアによると、大塚康生、高畑勲、宮崎駿ら後進に影響を与えたという。

 


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第1話の動画や、第2話以降の予告動画をYouTubeで見て、思い出したというか、わかったディティールもあった(過去に見て知っていたけど、忘れていたのか、気づいていなかったのかは不明)。

 

たとえば、ネロがなぜ、大聖堂のルーベンスの絵を見たがっていたか。

ネロは幼い頃に母を亡くしていて、母を思い出す時におぼろげながら浮かぶ情景が大聖堂のルーベンスの絵だった。

物語が進むうちに、ネロは、それが大聖堂のルーベンスの絵であることに気づくようだ。

 

あと、パトラッシュは最初からネロが飼っていたわけではなく、金物屋の飼い犬で、虐待され、捨てられていたのを拾ったことも、私は覚えていなかったというか、気づいていなかった。

 

英国の作家ウィーダによる原作の児童文学(1872年)は以前、読んだことがある。

テレビアニメ版より、ネロやアロアが年長で、ネロが美男子のため、アロアが誘惑されてはいけないと、コゼツが警戒していた。

それがコゼツのネロ嫌いの背景にあった。

 

数年前にテレビドラマ「アンという名の少女」にはまった頃に、テレビアニメ「赤毛のアン」は、「完結版」(ダイジェスト版)のDVDを買った。

「フランダースの犬」も完結版を買って、見てみるかな。

 

 

(「テラビシアにかける橋」の少女レスリーも、アンみたいに想像力豊か)

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