デレリアム「カルマ」
Delerium 「Karma」
カナダの音楽ユニット、デレリアムは1997年のアルバム「カルマ」で名を上げた。
エニグマやディープ・フォレストのように宗教音楽や民族音楽とエレクトロビートを組み合わせつつ、ゲストの女性歌手を前面に出してポップさも併せ持つ。
収録曲「サイレンス」がヒットした。この曲は、グレゴリオ聖歌とエレクトロビートの取り合わせに、スパニッシュなギターを加えて哀愁も漂わせる。
ゲスト歌手サラ・マクラクランがゆったりと包み込むように歌う。サビの「サーーーイレンス」という叫びは、心に染みる。
このアルバムの収録曲は粒ぞろいで、「フォーガットン・ワールド」も傑作だ。
イントロは、オジー・オズボーンの「センター・オブ・イタニティ」を思い起こさせる鐘の音。
デッド・カン・ダンスの看板ボーカリスト、リサ・ジェラルドの呪術的な歌や野性的な太鼓を加えてダークな雰囲気を醸し出しながら、柔らかく透明感のある曲に変化する。
ちなみに、リサの歌声は、デッド・カン・ダンスの曲「ペルシアン・ラブソング」からサンプリングして取り入れているとみられる。
デレリアムは、初期には、デッド・カン・ダンスのようなダーク路線だった。だから、この曲は初期のダークさを織り交ぜながら、聴きやすく仕上げたデレリアムの進化が感じられて興味深い。
このほかの収録曲では、「トワイライト」がいい。エスニックで、妖しい。
中東風のメロディーに、アフリカの民族の歌声。さらに、女性のあえぎ声。エニグマとディープ・フォレストのいいとこ取りをしながら、洗練した感じだ。ミステリアスなシンセサイザーもいい。
デレリアムの曲では「アンジェリクス」(2006年のアルバム「ヌアージュ・デュ・モンド」に収録)も、とてもいい。またの機会に紹介したい。