AC/DC「ライブ」
シンプルで武骨なサウンドにダミ声のボーカル。AC/DCは好みが分かれるロックバンドだろう。
とにかく男臭くて熱い。スタジオ録音盤ではなく、ぜひともライブ盤で聴いてほしい、できればライブ映像でステージパフォーマンスも見てほしいバンドだ。
1992年のライブ盤「ライブ」は丸ごとお勧め。代表的な曲がそろい、ベスト盤とも言える。ビデオもあり、もちろん持っている。
収録曲で特にお勧めなのは「ホール・ロッタ・ロジー」。
冒頭、ギター奏者アンガス・ヤングの♪ジャジャジャ、ジャジャジャジャッ…というギターリフの合間に「アンガス!」と観客のコールが合いの手のようにぴたりと収まり、曲の一部と言えるほどだ。
これと比べれば、アルバム「ロック魂」(1977年)収録の同じ曲は物足りなく感じてしまう。
この曲は、ガンズ・アンド・ローゼズがライブでカバーしている(輸入物の怪しげなライブ盤「NICE BOYS」に入っていた)。
とりあえずやってみましたという軽さが漂い、AC/DCの重厚な演奏とは趣が異なるのだが、ギターリフの合間に「アンガス!」と合いの手を入れる観客の乗りがほほ笑ましくて、お気に入りになった。
「ライブ」収録のほかの曲では、イントロが重厚な「フー・メイド・フー」、リズミカルな歌い方が面白い「狂った夜」がいい。
実は、AC/DCの曲で一番好きなのは「サンダーストラック」。
この「ライブ」にも入っているのだが、最初に観客のざわめきが1分半くらいあり、イントロのギターがなかなか始まらない。これがわずらわしい。
この曲に関しては、スタジオ録音版(1990年のアルバム「レイザーズ・エッジ」に収録)がいい。
この曲の魅力は、イントロのギターのかっこよさに尽きる。
♪テッテッテッテ、テッテッテッテ…と単純なメロディーを繰り返すだけなのに、わくわく感をそそる。
「サンダー!」とコーラスが加わり、ライブ感を醸し出す。ここが素晴らしい。