アヌーシュカ・シャンカール「トラベラー」
インドの弦楽器シタールの奏者アヌーシュカ・シャンカールのアルバム「トラベラー」(2011年)が素晴らしい。
インド音楽を源流のひとつとするフラメンコとのコラボ作品。
収録曲「ブレリア・コン・リカルド」は、フラメンコの手拍子を背景に、シタールとピアノが掛け合いを演じる。ジャズっぽい雰囲気もあり、とてもかっこいい。
フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラの名曲「ラ・レジェンダ・デル・ティエンポ」を思い出した(ジャズ風味を加えたフラメンコで、キーボードの速弾きがかっこいい。残念ながら、この曲でカマロンの歌は迫力不足)。
アヌーシュカは、ビートルズにも影響を与えたシタールの名手ラビ・シャンカールの娘。ジャズ歌手ノラ・ジョーンズの異母妹でもある。
「ブレリア・コン・リカルド」は、シタールの音色がエキゾチックで、速弾きが圧巻。フラメンコ風に弾いているのかと思いきや、純粋なインド音楽の演奏だとか。それでもフラメンコと合うのは源流ゆえか。
フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアがアラブの弦楽器ウードを奏でる名曲「アルモライマ」を初めて聴いた時くらいの衝撃を感じた(フラメンコの別の源流はイスラム文化圏の音楽だとされる)。
フラメンコとインド音楽のコラボは、カマロンの曲「ナナ・デル・カバジョ・グランデ」という先例がある。この曲がかなりインド音楽寄りなのと比べて「ブレリア・コン・リカルド」はバランスが絶妙なのもいい。
「トラベラー」収録曲はほかに、フラメンコ歌手と共演した「シ・ノ・プエド・ベルラ」、フラメンコダンサーの足拍子と共演した「ダンシング・イン・マッドネス」、フラメンコギターと共演した「ボーイ・ミーツ・ガール」と多彩で、どれもいい。
インド音楽やフラメンコのファンに限らず、広く音楽好きにお勧めしたい作品。