アル・ディ・メオラ「エレガント・ジプシー」
Al Di Meola 「Elegant Gypsy」
一分の隙もない、緊迫感あふれる演奏とは、このことだ。
フュージョンのギター奏者アル・ディ・メオラの代表曲「レース・ウィズ・デビル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ」。
1977年のアルバム「エレガント・ジプシー」に収められた、この曲は、緊張と弛緩のバランスが巧みで、2分過ぎからの高速と中速のギターリフ、一瞬の間の繰り返しが圧巻。タイトル通り高速道路上のレースさながらのスリルが漂う。
屈指の速弾き奏者で、メタル界にも波紋を広げた。
メタルバンドのライオットは、この曲をカバーして敬意を表した(ライオットのアルバム「プリヴィレッジ・オブ・パワー」にカバー版がある)。
メタル界最速のギター奏者イングヴェイ・マルムスティーンは、よく比べられ、対抗心をあらわにしていたようだ。
「尊敬するギター奏者は?」との問いに、書いて答える際に「Di」まで書きかけたところで思い直して「i」を「j」に変え、「Django」(ジャンゴ。往年のジャズギター奏者ジャンゴ・ラインハルト)と答えた、との逸話を何かで読んだことがある。
ジャズピアノ奏者チック・コリアと同様に、スペイン音楽に引かれて曲に取り入れた。フラメンコギターの第一人者パコ・デ・ルシアとの共演はチックより一足早かった。
パコをジャズ・フュージョン愛好者にも知らしめるのに一役買っており、パコの大ファンとして、うれしい。
「エレガント・ジプシー」に収録された「地中海の舞踏」は、パコと共演するために作った曲。これは、パコの曲「広い河」とメドレーにした「地中海の舞踏/広い河」のライブ演奏がお勧めだ。2人の入れ込みようが格段に違う。このライブ演奏については、あらためて書きたい。
チックが結成したフュージョンバンド、リターン・トゥ・フォーエバーに参加して「浪漫の騎士」など名演を残した。「浪漫の騎士」についても、あらためて書きたい。