サンタナ「サンタナ」
Santana 「Santana」
ラテンロックを開拓したギター奏者カルロス・サンタナは、ラテン路線を貫くべきだった。何か、やらかしそうな躍動感があふれるデビューアルバム「サンタナ」(1969年。バンドのサンタナ名義)が最高傑作だ。
収録曲「ソウル・サクリファイス」は、導入で期待感をあおる。野性的なラテンパーカッションに続き、♪チャチャチャララ……チャチャーチャチャララ……といった小刻みなギターで、じわじわと盛り上げる。その後の♪チャランチャランチャラン…という速弾きがかっこいい。
リマスター盤には、ウッドストック・フェスティバルでのライブ演奏も収めてある。
収録曲「ジンゴ」もお勧め。ギターの音色が何となく妖しく、のちの「ブラック・マジック・ウーマン」(1970年のアルバム「天の守護神」に収録。サンタナ名義)をほうふつとさせる。
ラテンロックの狼煙を上げて次々と名作を放ちながら、その後、ジャズに傾倒し、一時はインド出身の宗教家にもはまって迷走し、本人が怪しくなった。
宗教つながりでギター奏者ジョン・マクラフリンと共同制作したアルバム「魂の兄弟たち」(1973年)は、食われた感が強い。
ピアノ奏者ハービー・ハンコック、サックス奏者ウェイン・ショーターを迎えたアルバム「スイング・オブ・デライト」(1980年。個人のカルロス・サンタナ名義)も、ゲストの好演のほうが目立つ。
一方、ラテンポップ歌手グロリア・エステファンと共演した「ノ・ジョレス~泣かないで」(グロリアの2007年のアルバム「90マイル」に収録)では、冒頭から泣きのギターがさえる。
やはり、サンタナは、ラテン系で勝負したほうが持ち味が生きる。