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ジョン・マクラフリン、ジャコ・パストリアス、トニー・ウィリアムスの「トリオ・オブ・ドゥーム」 ジャコをかすませるマクラフリンのカオスなギター (おすすめ名曲名盤)

ジョン・マクラフリン、ジャコ・パストリアス、トニー・ウィリアムスの「トリオ・オブ・ドゥーム」

John McLaughlin Jaco Pastrius Tony Williams 「Trio Of Doom」

 

ジャズ・フュージョンのギター奏者ジョン・マクラフリンは、これ見よがしで協調性のないところが面白い。

 

それがよくわかるのが、1979年のライブで結成したユニット「トリオ・オブ・ドゥーム」での演奏(スタジオ収録音源を加えて2007年にCD化)。

 

自作曲「ダーク・プリンス」ではカオスな速弾きでベース奏者ジャコ・パストリアスをかすませ、ジャコの持ち曲「コンティニューム」でも遠慮なく前に出る。

 

「ダーク・プリンス」は、トニー・ウィリアムスの煽るようなドラムで始まり、マクラフリンのギターが狂喜乱舞する。

 

トニーも高速の演奏を持ち味とする暴れん坊。2人とも、ジャズの帝王マイルス・デイビス(トランペット奏者)の門下生であり、一緒にバンドを組んだこともある間柄。この演奏は、3人ではなく、2人のバトルだ。

 

ジャコは2人の演奏の合間を縫って、速弾きを見せるが、それも数秒ずつ。ぐいぐいと肩を入れてくる2人に押されてジャコがステージから落ちそうになっている姿が目に浮かぶ。

 


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「コンティニューム」は、もっと悲惨だ。これは本来、ジャコのゆったりとしたベースをしみじみと味わう名曲。マクラフリンやトニーを入れたら、どうなるか、最初からわかっていただろうに・・・。

 

ジャコのアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」(1976年)での演奏と聴き比べてほしい。

 


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マクラフリンの遠慮のなさは、ギター奏者カルロス・サンタナとの共演でも見て取れる。

 

2人連名のアルバム「魂の兄弟たち」(1973年)で、2人が敬愛するサックスの巨人ジョン・コルトレーンの名曲「至上の愛」をカバーしており、出だしの泣きのギターは、マクラフリン。お株を奪われたサンタナが一歩遅れてギターを泣かせまくるさまが面白い。

 


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マクラフリンとは一体、何者か。

 

英国出身で、ジャズ、ロックのほかフラメンコやインド音楽にも傾倒。デビュー前にギターを手ほどきした教え子にジミー・ペイジがいるらしい。後にはジェフ・ベックをフュージョンの世界に引き込んだ。

 

マイルスに気に入られて頭角を現し、自らのバンド「マハヴィシュヌ・オーケストラ」を結成してスタイルを確立した。

 

個人的には、マハヴィシュヌ・オーケストラや、さらにインド音楽を取り入れたバンド「シャクティ」が好き。これらについては、あらためて書きたい。

 

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