オーネット・コールマン「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」
Ornette Coleman 「Dancing In Your Head」
大学時代に、友人の勧めで「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」を聴き、こんなジャズもあるんだ、と驚いた。
サックス奏者オーネット・コールマンが1977年に放ったアルバム。
収録曲「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」は、♪プァーワワーワ、プァーワワ…というフレーズが狂ったように繰り返される。♪トントントントン…と、まさに、釘を打つような音も加わり、16分近く騒ぎまくる(バリエーション1の場合。2は少し短い)。
従来のジャズの演奏法に縛られないフリージャズの先駆者とされる。
素人耳には、適当に吹いているようにしか聴こえなかったが、妙な楽しさを感じて、オーネットを好きになった。ポキポキした音色のギターも、いい感じ。だまし絵のようなジャケットも、この曲に合っていて秀逸だ。
オーネットは、気ままフレーズのループが持ち味。
それどころか「スクール・ワーク」(1982年のアルバム「ブロークン・シャドウズ」に収録)は「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」のフレーズがそのまんま登場。使い回しもかい、と頬が緩んだ。
1978年のアルバム「ボディ・メタ」も、「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」と似たテイストの作品。特に、収録曲「マッチョ・ウーマン」は、続編みたいだ。
ジャズの帝王マイルス・デイビス(トランペット奏者)は、オーネットを嫌っていたと聞く。新たな音楽を模索し続けてジャズの幅を広げ、太っ腹なはずのマイルスがなぜだろうか。オーネットが手抜き&ワンパターンに見えて、あきれたのかもしれない。
「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」には、オーネットがモロッコのスーフィー音楽家集団ザ・マスター・ミュージシャンズ・オブ・ジャジューカと楽しく共演する曲「ミッドナイト・サンライズ」も収めてある。
いや、曲と言っていいのか、よくわからないが、とにかく熱気は伝わる。フェードアウトするラストも、この異色アルバムの締めくくりに、ぴったりだ。
余談だが、、、
スーフィー音楽と言えば、ステラマラの曲「バラカ」が思い浮かぶ。「ミッドナイト・サンライズ」とは似ていない。ソーニャ・ドラクリッチの美声と、エキゾチックな弦楽器が印象的な曲。これは、またの機会に、ちゃんと紹介したい。