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ジャコ・パストリアス「ジャコ・パストリアスの肖像」 当初から自分のスタイルを確立していた早熟の天才 (おすすめ名曲名盤)

ジャコ・パストリアス「ジャコ・パストリアスの肖像」

Jaco Pastorius 「Jaco Pastorius」

 

大輪の花を咲かせ、ふっと消える打ち上げ花火に、エレキベース奏者ジャコ・パストリアスを思う。1970年代半ばにジャズの表舞台に現れるや、革新的な演奏でスターに上り詰め、ベースを花形楽器に押し上げたかと思うと生活が荒れ、87年に35歳で世を去った。

 

76年にソロデビューアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」を放った。収録曲は、良く言えば、バラエティー豊か。悪く言えば、統一性がない。このへんは、年の近い音楽仲間だったパット・メセニー(ギター奏者)と対照的だ。いわば、このアルバムは、ジャコの名刺。おれはこんな演奏ができますよ、という。

 

収録曲「クル/スピーク・ライク・ア・チャイルド」は、ピアノ奏者ハービー・ハンコックとの速弾きの応酬が圧巻。

 


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R&Bデュオのサム&デイヴと共演した「カム・オン・カム・オーバー」のファンキーな演奏も印象深い。

 


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代表曲となる「コンティニューム」は、ゆったりとした演奏で、しみじみと聴かせる。

 

この頃のジャコは歌手ジョニ・ミッチェルとよく共演していた。ジョニのアルバム「逃避行」(1976年)の収録曲「旅はなぐさめ」でも、「コンティニューム」みたいな叙情的な演奏を披露している。

 


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同じ1976年には、パット、ブルース・ディトマス(ドラム奏者)、ポール・ブレイ(ピアノ奏者)と4人連名のライブ盤「ジャコ」も発表した。収録曲「ヴァンパイア」では、後年のライブの即興演奏で聴かせるフレーズを奏でている。

 

ジャコは、この頃、既に自分のスタイルを確立していたのだと、つくづく思う。

 


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人気バンドのウェザーリポートに参加して絶頂期を迎えた後、短期間で燃え尽きた。早熟の天才らしい生き様だと言えるかもしれない。

 

ジャコへの評価は「復活していれば」という熱烈な神格化と、「ここまでの人だった」という冷めた見方の両論がある。いずれにしろ、まばゆく輝き、多くの人の心に焼き付いたのは事実だ。目を閉じて、じっくりと残像を味わいたい。

 

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