マハヴィシュヌ・オーケストラ
The Mahavishnu Orchestra
ジャズ・フュージョンのギター奏者ジョン・マクラフリンは、自らのバンド「マハヴィシュヌ・オーケストラ」を結成してスタイルを確立した。
当時、ジャズでは珍しいバイオリンを加えた点が特徴。
マクラフリンのギターとバイオリン、キーボードとのカオスな速弾きの応酬が聴きどころで「ヌーンワード・レース」(1971年のアルバム「内に秘めた炎」に収録)がお勧めだ。
同じアルバムの収録曲「バイタル・トランスフォーメーション」「アウェイクニング」の狂乱ぶりも、いい。
1973年のアルバム「火の鳥」のタイトル曲は、♪ジョワーン…ジョワーン…と銅鑼の音で厳かに始まり、♪ジャッジャージャジャ、ジャッジャージャジャ…というバイオリンの音色が恐ろしげ。
♪チャーチャチャチャチャ…というマクラフリンのギターの音色も何だか、不気味に思えてくる。
収録曲「ワン・ワード」は小刻みなドラムで始まり、シンセサイザー奏者ヤン・ハマーが妖しげな音色を放ちまくる。
この曲はマクラフリン控えめで、後半はドラム連打。
前作「内に秘めた炎」とは、趣が異なり、これはこれで面白い。
シャクティ
Shakti
別に結成したバンド「シャクティ」はインド音楽を取り入れた。ギター、バイオリンの速弾きとインドの太鼓タブラの連打を組み合わせ、狂乱度が増した。
技巧に走りすぎだとの見方もあり、まあ、それは否定できないが、私は、シャクティこそ、マクラフリンの真骨頂だと思う。
1976年のアルバム「ハンドフル・オブ・ビューティ」のジャケットが物語る。このマクラフリンのニヤけ顔。
(ただし、あまり一般ウケは、しないと思う。自宅で、かけていたら、妻に「この音楽はいつ終わるの?」と、暗に止めるよう促された)。
「ハンドフル・オブ・ビューティ」の収録曲「ラ・ダンス・ドゥ・ボヌール」は、「タカタケタカチョン、タカタケタカチョン」「ダディゲダドン、ダディゲダドン」と、ヒンドゥー語(?)のラップみたいな掛け合いで始まるイントロからして、面白い。
この後、マクラフリンのギターとバイオリンのメチャ弾き。
この間、タブラは、♪タカタカタカタカタカ…と、リズムを刻み続ける。
収録曲「イシス」は、若い頃にフラメンコギター奏者を志したマクラフリンらしく、フラメンコ風のフレーズを交えて速弾きを見せる。
その後のタブラのソロがけっこう聴かせる。
1976年のライブ盤「シャクティ」収録の曲「ジョイ」も、いい。
ちなみに、タブラを演奏するのは、インド出身の名手ザキール・フセイン。
大学時代に何となく買った「インド古典パーカッション 超絶のリズム」というCDでザキールが「エク・タル」という曲を演奏しており、たまに聴く。
タブラの乾いた音が延々と続く曲で、これも捨てがたいが、ギターやバイオリンが入ったシャクティの音楽のほうが楽しい。
ザキールにとっても、シャクティ参加は新境地となったのではないか。