ボブ・ジェームス「夢のマルディ・グラ」
Bob James 「Two」
フュージョンのキーボード奏者ボブ・ジェームスの音楽も子どもの頃、父によく聴かされ、親しんだ。
一番好きな曲は「ファランドール」。ビゼーの「アルルの女」第2組曲第4曲をアレンジしてある。往年のバラエティー番組「TVジョッキー」のオープニングテーマにも使われ、懐かしい。
1975年のアルバム「夢のマルディ・グラ」に収録された「ファランドール」は、「TVジョッキー」に使われた序盤もかっこいいが、聴きどころは、フルート奏者ヒューバート・ロウズ。
どうやって吹いているのかと思うような速吹きが圧巻だ。
クラシックのアレンジは当時の流行。
ほかにも、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」をアレンジしているし(74年の同名アルバムに収録)、ベートーベンの「第九」を取り入れた曲「ルードヴィヒ」も作っている(83年のアルバム「フォクシー」に収録)。
私にとっては、同じくキーボード奏者デオダートの「ツァラトゥストラはかく語りき」(1973年の同名アルバムに収録)、プログレッシブロックバンドのエマーソン・レイク&パーマーの「展覧会の絵」(71年の同名のライブ盤)に興味を持つきっかけになった。
BJの曲は、逆にアレンジされる立場にもなっており、ヒップホップのミュージシャンにサンプリングのネタとして好まれた。
例えば「夢のマルディ・グラ」収録の「マルディグラに連れてって」は、RUN-DMCの「ピーター・パイパー」に引用された。
「マルディグラに連れてって」はポール・サイモンの曲のカバー。BJが原曲より遥かにかっこよくアレンジした。
♪チンチンチチン…と鳴り続けるカウベル(?)、♪プゥワ~…と出てくるホーンがお祭り感を醸し出し、明るく爽やかな曲。
「ピーター・パイパー」は、こういった要所を押さえて取り込んでいる。
余談だが、、、
RUN-DMCば「ピーター・パイパー」収録のアルバム「レイジング・ヘル」(1986年)で、エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」をカバー。
こちらは、例の中毒性のあるフレーズ(♪ジャジャジャジャ、ジャジャジャ、ジャッジャッジャ…)をサンプリングするだけかと思いきや、エアロのスティーブン・タイラー(ボーカル)らを迎えて一緒に演奏するコラボ作品に仕上げており、面白い。