ニヤーズ「Golzar」
Niyaz
ニヤーズは米国亡命イラン人らのバンドで、イランやインドの音楽にエレクトロニカを加えて現代風にアレンジする。
イラン生まれ、インド育ちの歌手アザム・アリはペルシャ語とウルドゥー語を使い分け、妖艶な歌声だ。
一番好きな曲「Golzar」(2005年のアルバム「ニヤーズ」に収録)は、イラン風味。多重録音を駆使したアザムのコーラスがいい。
そして、アラブの弦楽器ウードのソロが圧巻だ。速弾きもある。独特の音色がいい。
電子音のビートがほどよく全体を包む。
ニヤーズの曲で最初に聴いたのがこれだった。
フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアがウードを弾く曲「アルモライマ」をよく聴いていて、ウードの音色いいなと思っていたから、すぐに、ニヤーズを好きになった。
同じアルバムの収録曲「Allahi Allah」は、電子音控えめで、エキゾチック度が高い。♪ミョーン、ミョーン…という弦楽器(?)の音からして、いい。
インドの太鼓タブラも加わる。
「アンラヒ、アンラー」と繰り返す歌詞も、癖になりそうだ。
終盤のウードの速弾きも聴きどころ。
「Ishq - Love And The Veil」(2008年のアルバム「ナイン・ヘヴンズ」に収録)は、イントロのインドの笛(?)からして、いかにもインドという音楽。
タブラの音色がよく味わえる。
アザムはインド風のねっとりとした歌唱法を見せる。
「ファナデカ~」というような歌詞が、「鼻デカ~」に聴こえてしまって、ちょっと、雰囲気が壊れてしまうのがもったいない(そう聴こえてしまう私がおかしいのだろう)。
アザムの歌を主体で楽しむなら、ソロ作品がいいかもしれない。
例えば、「スプリング・アライブ」(アザムの2006年のアルバム「エリシウム・フォー・ザ・ブレイブ」に収録)。
エキゾチックではあるけども、ニヤーズと比べれば、民族楽器は控えめ。妖しさ、ダークさが漂う。
「春が来た」という意味のタイトルから明るさ、穏やかさを想像すると、意表を突かれる。
アザムは、癒やされるような美声も見せる。これがいい。
デッド・カン・ダンスやデレリアムが好きな人なら、気に入ると思う。