パット・メセニー「ハブ・ユー・ハード」
Pat Metheny 「Have You Heard」
ジャズギター奏者パット・メセニーの音楽は爽やかでドラマチックだ。ボーカルが入ると、より際立つ。
最たるものが名曲「ハブ・ユー・ハード」。
1989年のアルバム「レター・フロム・ホーム」に収録されたこの曲は、歌手ペドロ・アスナールが「ララロ、ロレロロ…」と、ギターのフレーズを声で表現するような歌唱法を見せ、パットの演奏を引き立てる。
このアルバムと1987年の前作「スティル・ライフ」でブラジル音楽を取り入れて爽やかな作風を打ち出した。
1997年のアルバム「イマジナリー・デイ」に収録された「ヒート・オブ・ザ・デイ」も似た趣があり、大好きな曲。
フラメンコ風の緊迫感あるギター演奏に続き、「ラー、レラーララー…」と伸びやかな歌声で曲調が切り替わる緩急の付け方がいい。緊張の後の解放感と言おうか。
エニグマの曲「バック・トゥ・ザ・リバーズ・オブ・ビリーフ」みたいな感じだ。
歌手の矢野顕子と共演した「イッツ・フォー・ユー」(矢野の1989年のアルバム「ウエルカムバック」に収録)もお勧め。
パットの曲だけど、歌のない原曲より、矢野の歌声が絡む、この共演が圧倒的にいい。
特に終盤(5分20秒くらいから)の矢野のスキャットは聴きどころ。これに、パットのギターとピアノが絡み、とてもかっこいい(ピアノは矢野が演奏)。
(原曲は、パットとライル・メイズが共同制作した1981年のアルバム「ウィチタ・フォールズ」に収録)。