ミニストリー「ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー」
Ministry 「The Land Of Rape And Honey」
インダストリアル・ロックの雄、ミニストリーの頂点は、1988年のアルバム「ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー」だろう。
バンドの傑作であり、ジャンルを代表する名盤だ。
タイトル曲が特に好きだ。
インダストリアル感満点。
♪ダッダダン、ダッダカダカ、ダッダダン…という電子音とドラムが繰り返され、♪ブンブブン、ブブブブ、ブンブブン…という電子音に変化して、続く。
時折、ナチス式の「ジーク!」「ハイル!」といったコールが入る。
機械みたいな音も。
ただ、その繰り返し。なのに、これが癖になる。
オープニング曲「スティグマータ」は、イントロに尽きる。
♪シャカシャカシャカシャカ…という小刻みな音に続き、♪ダダダダン…ダダダダン…と重々しいドラムが入り、何か始まる感を濃厚に漂わせる。
そして、「キャオワー!」という叫びと、ワヤワヤワヤワヤした音に続き、♪ジャジャジャジャッ、ジャージャッ…というギターリフとドラムの打ち込みの繰り返しを経て、歌に突入する。ここまでがいい。
あとは、歌の合間に出てくる、♪ドドドドドドド…というドラム連打がいい。
マリリン・マンソンがカバーした。
原曲の凶暴さが薄れ、マイルドになっている・・・というか、あまり工夫や熱意が感じられない。良い曲なのに、もったいない。
(2017年の映画「アトミック・ブロンド」のサウンドトラック盤に収録)。
マリリン・マンソンは、AC/DCの「地獄のハイウェイ」のカバーでは、大胆にアレンジして、独自の魅力を作り上げているのに、なぜだろうか。
(1999年の映画「デトロイト・ロック・シティ」のサウンドトラック盤に収録)。
アルバム「ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー」の収録曲は粒ぞろいだ。
収録曲「ヒズボラ」は、タイトル通り、イスラム感があふれる。
収録曲「ゴールデン・ドーン」は、きしむような金属音で始まり、♪ダッダッダン…というドラムが繰り返される。なんとなく、けだるい。そこがいい。
この後、ミニストリーはメタル色を強めていった。
1992年のアルバム「詩篇69」は代表作だとされるが、個人的には、あまり好みではない。
普通のメタルになって、ミニストリーらしさがなくなった、と感じてしまう。
「ザ・ランド・オブ・レイプ・アンド・ハニー」のような音楽をもっと聴きたかった。