セルジオ・メンデス&ブラジル’66「ビリンバウ」
Sergio Mendes & Brasil '66 「Berimbau」
ブラジル出身のピアノ奏者セルジオ・メンデスは、1960年代のボサノバ・ブームの火付け役の1人。
ヒット曲「マシュ・ケ・ナダ」は、ポルトガル語の歌としては異例の世界的な人気を獲得した。
この曲を収めた1966年のアルバム「セルジオ・メンデス&ブラジル'66」は、65年のアルバム「ブラジル'65」とは打って変わって、ポップな曲調。
女性歌手2人の爽やかなコーラスを入れたアレンジが秀逸だった。
どちらのアルバムにも入っている曲「ビリンバウ」を聴き比べると、違いがよくわかる。
「ブラジル’66」 のものは、女性2人のコーラスが入り、ポップ。
「ブラジル'65」のものは、ウィスパーボイスの歌手ワンダ・ジ・サーが歌い、いかにもボサノバ。
同じくウィスパーボイスの人気歌手アストラッド・ジルベルトが歌うものと、あまり違わない(アストラッドの1966年のアルバム「ルック・トゥ・ザ・レインボー」に収録)。
セルジオは「ブラジル'65」から「ブラジル'66」へと進化して、「セルメン・サウンド」を確立し、一気に人気が高まったのだ。
セルメン・サウンドで特に私が好きなのは、まず「マシュ・ケ・ナダ」。
ラテン音楽好きの父に子どもの頃、聴かされたので、懐かしい。
♪タタタタ、タンタタ、タタータ…というイントロのピアノが、わくわく感をそそる。
「ルック・オブ・ラブ」も、いい。
ダスティ・スプリングフィールドが歌った曲のカバーで、1967年のアルバム「ルック・アラウンド」に収録。女性歌手のコーラスで、しんみりと聴かせる。
レオナルド・ディカプリオ主演の映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002年、米国)でオリジナルが流れる。
何年か前にテレビ放送で見た時、セルジオ版のこの曲を思い出して、懐かしくなった。
ビートルズの曲をカバーした「フール・オン・ザ・ヒル」も、お気に入り。1968年の同名アルバムに収めてある。
セルジオは、もともとピアノ奏者ホレス・シルバーらに憧れ、ジャズに傾倒した。
セルメン・サウンド確立の前と後で、カバーしたジャズの名曲を聴き比べるのも、面白くて、おすすめだ。