エル・グルッポ「ライブ」
El Grupo 「Live」
ジャズバンド、ウェザーリポートの名曲「バードランド」が好きで、カバー作品を探していて知ったのが、エル・グルッポによるロック・バージョン。
エル・グルッポは、ギター奏者スティーブ・ルカサー(TOTO)らの一回限りのバンドらしい。
ルカサーの演奏を前面に出していて、イントロからして、ロック感十分だ。
原曲のイントロは、ジョー・ザビヌルのシンセサイザー、ジャコ・パストリアスのベース、ウェイン・ショーターのサックスがリレーする。
このシンセとサックスをルカサーのギターに置き換えている(ベースの部分はベース奏者が演奏)。これで、かなり趣が変わり、面白い。
メインテーマのサックスの部分もルカサーのギター。
ここまでするなら、ラストでフェードアウトするザビヌルのピロピロした演奏もギターで再現したら、さらに挑戦的だった思う(キーボードで再現している)。
ちなみに、男女4人のコーラスグループ、マンハッタン・トランスファーがカバーした「バードランド」は、このピロピロを歌声で巧みに再現していて、素晴らしい。
エル・グルッポの「バードランド」は2005年のライブ盤「ライブ」に収録。
収録曲はカバー作品ばかりで、キーボード奏者マックス・ミドルトン作曲の「レッド・ブーツ」も、なかなか、いい。
「レッド・ブーツ」は、ジェフ・ベックの演奏で知られる名曲。
エル・グルッポの演奏の序盤は、雰囲気としてはミドルトン参加のバンド、ハミング・バードのファンク色が濃い演奏に近い。ベックのように、フュージョン色が強くて疾走感あふれる演奏とは違う。
けども、ルカサーのギターが前面に出ているので、ギターに注目すると、ベックの演奏を思い出す。
途中、ギターがクールダウンして以降、フュージョンっぽくなる。後半に入ると、ギターとキーボードの掛け合いもあり、これがなかなかいい。8分過ぎ辺りで、おなじみのメロディーを最後に奏でた後、ラテン調になる。ピアノとパーカッションがまさに、そうだ。別の曲につないでいるのだろうか。
マイアミ・サウンド・マシーンの「コンガ」とか、ダニエル・ポンセの「パチャンガ」を思わせる味わい。
私はラテン調が好きなので、続けて、引き込まれるけど、そうでない方は「レッド・ブーツ」がこう変化すると、戸惑うかもしれない。
(ダニエル・ポンセ「パチャンガ」のYouTube動画は見つけられなかった)。
ルカサー在籍の人気バンド、TOTOも、カバー作品集のアルバムがある。2002年の「スルー・ザ・ルッキング・グラス」。このアルバムも、おすすめだ。
ジャズピアノ奏者ハービー・ハンコックの名曲「処女航海」が特にいい。アレンジが秀逸だ。
ビートルズの名曲「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープ」も美しい仕上がり。ギターソロが聴きどころだ。