スクエアプッシャー「アイアンビック・ナイン・ポエトリー」
Squarepusher 「Iambic 9 Poetry」
得意とされる高速リズムのドラムンベースとは違う。
ただただ、ゆったりと美しいメロディー。
名曲「アイアンビック・ナイン・ポエトリー」を聴いて、ジャズ/エレクトロニカのベース奏者スクエアプッシャー(トム・ジェンキンソン)が好きになった。
2004年のアルバム「ウルトラビジター」に収録。
♪ポーン、ポンポポンポーン…という、ベースの演奏が50秒ほど続いて、♪スッタン、スッタン、スッタン、スッタンタン、スッタッタン、タカタカタン、タンタンタタン…というドラムが加わり、美しいメロディーが繰り返される。
終盤は、夜空を感じさせるようなロマンチックな電子音が加わって、盛り上がる。
このへんの雰囲気は、ビョークの名曲「ハイパーバラッド」の終盤を思い起こさせる。
スクエアプッシャーは、ベース奏者ジャコ・パストリアスのファンとして知られる。
子どもの頃、ウェザーリポートのアルバム「ヘヴィ・ウェザー」でジャコを知り、そのソロアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」に衝撃を受けたらしい。
アルバム「ウルトラビジター」のジャケットは、「ジャコ・パストリアスの肖像」と同じように、セルフポートレートだ。
ジャコのアルバムを意識したのは間違いないだろう。
そして、これぞ自分の最高傑作だという自信があったに違いない。
実際、アルバム「ウルトラビジター」は、良い曲がそろう。
収録曲「テトラ・シンク」はジャズの趣。ベース奏者としての腕前が味わえる。
あおるようなドラムをバックに、2分すぎあたりから、流麗な速弾きを見せる。これがかっこいい。
中盤から電子音が強まり、盛り上がる。
6分20秒あたりで、またもベースの速弾き。その後のドラム連打もいい。
終盤、いったん、クールダウンしてから、ベースの速弾きで締めくくる。ここのエコーのかかり方が面白い。
アルバムのタイトル曲は、ドラムンベースの疾走感ある曲。
3分あたりからのシンセサイザーの妖しい音色がいい。ヤン・ハマーの演奏みたいな感じだ。
後半はゆったりした曲調になる。5分30秒あたりからのキーボードが荘厳で美しい。