シンディ・ローパー「タイム・アフター・タイム」
Cyndi Lauper 「Time After Time」
マドンナとシンディ・ローパー、どっちが好きかと聞かれたら、断然シンディ。
ついでに言うと、マイケル・ジャクソンとプリンスなら、断然プリンス。
マドンナやマイケルが嫌いなわけじゃないし、偉大な歌手で良い曲もたくさんあると思う。だけど、好きなのはシンディ、プリンスだ。
プリンスとマイケルはともかく、シンディとマドンナを並べるのには、違和感を覚える方がいるかもしれない。
シンディは、1980年代を代表する歌手の1人だけど、その後、影が薄くなった。
トップスターであり続け、誰もが知るヒット曲がたくさんあるマドンナと比べたら、記録という視点では、見劣りするかもしれない。
それでも、存在感あふれる個性的な歌唱は、多くの人の記憶に焼き付いた。
大物歌手たちが共演したチャリティーソング「ウィー・アー・ザ・ワールド」(1985年)でも、最も光る歌手だと思う。
ヒューイ・ルイスに続いて「ウォウウォウウォウウォー」と入ってくるところからして、シンディらしさがほとばしる(2分53秒あたり)。
この曲で、これほど印象に残る歌手は、ほかに、ブルース・スプリングスティーンくらいではないか。
そして、何より、末永く聴き継がれてポップソングの歴史に残るであろう名曲「タイム・アフター・タイム」を放った功績は、あまりにも大きい。
「タイム・アフター・タイム」は1983年のアルバム「シーズ・ソー・アンユージュアル」に収められたバラード。
時代を反映してシンセサイザーを多用し、夜空のロマンチック感や宇宙的な広がりを醸し出している。
サビの部分はもちろん、いい。
そこに至るまで、静かに流れる部分が情感たっぷりで、さらに、いい。
秘めたせつなさがじわじわとにじみ出し、サビの部分で止めどなく、あふれ出る感じ。
これが、ずーんと心に響く。
「タイム・アフター・タイム」という歌詞繰り返しながら、だんだん、ささやき声になり、フェードアウトする終わり方も余韻がある。
夜に聴いて浸りたい曲だ。
あまりの素晴らしさに、ジャズの帝王マイルス・デイビス(トランペット奏者)がカバーした。
これも、情感たっぷり。
サビをあえて吹かないところが秀逸だ。
吹いていないのに、なぜか、聴こえる。
脳内でシンディの歌声が再生される。
いわば、シンディとマイルスの「遠隔共演」だ。
(マイルスの1985年のアルバム「ユア・アンダー・アレスト」に収録)。
アルバム「シーズ・ソー・アンユージュアル」は、良い曲がいっぱい。
「オール・スルー・ザ・ナイト」も大好きな曲。
「タイム・アフター・タイム」みたいな味わいのバラードだ。
星のきらめきというか、キラキラ感が高まったシンセサイザーの演奏が、シンディの歌声に絶妙に絡む。
ちょっと、ビョークの曲「ハイパーバラッド」を思わせる。
「ホエン・ユー・ワー・マイン」は、プリンスの曲のカバー。
オリジナルはプリンスの1980年のアルバム「ダーティ・マインド」に収録。
シンディ版を先に聴いて、シンディのオリジナルかと思っていた。
プリンスのオリジナルと聴き比べても、私はシンディ版が好み。
同じ意見の人は少なくないのではないか。
シンディの個性で染めて、自分の曲にしていると思う。カバーの好例だ。
2分40〜45秒あたり、ハイトーンの奇声を交えた「ホーーー、ヘイヘイ、ヘーイ、イェー」がとてもいい。
私は「しっとりシンディ」が好みだけど、「はつらつシンディ」も、なかなかだ。
収録曲「マネー・チェンジズ・エブリシング」「ガール・ジャスト・ワナ・ハブ・ファン」は、はつらつシンディがよく味わえる。
