ドアーズ「ハートに火をつけて」
The Doors 「The Doors」
アルバムのオープニング曲「ブレイク・オン・スルー」の疾走感と爽快感。
最後の曲「ジ・エンド」の延々と同じメロディー繰り返しのトランス感。
ロックバンド、ドアーズのアルバム第1作「ハートに火をつけて」(1967年)は、この対比が素晴らしい。
カリスマボーカリスト、ジム・モリソンの狂気あふれる歌を、オルガン奏者レイ・マンザレクの妖しい演奏が支えるバンドの個性が明確に打ち出されていた。
カラーは違えど、同様にキーボードを加えたロックバンド、カーズを当時よく聴いていたから、すぐに気に入った。
ジムには、カーズのベンジャミン・オール(ベース、ボーカル)みたいな男の色気を感じたものだ。
「ブレイク・オン・スルー」や、アルバムのタイトル曲「ハートに火をつけて」は今聴くと、古くさい感じがしないでもないけど、時代の空気を色濃く反映しているからだと考えたい。
逆に、「ジ・エンド」は古さを感じさせない。不思議なバンドだ、ドアーズは。
「ブレイク・オン・スルー」は、♪ブーブッブッブ、ブッブッブ、ブッブ…というイントロのオルガンからして、わくわくする。
リズムに乗るジムの歌は最初、「ブレイコンスルー、トゥジアーザサイッ、イェー(break on through to the otherside, yeah)」と軽め。中盤以降の叫びとのメリハリがいい。
♪タッタッタタ、タッタッタタータ…というオルガンのソロを挟んで、ジムがテンションを上げてくる。
「シキッ!(seek it)…シキッ!…シキッ!…シキッ!」というところが一番好き。
「ウワオッ」という叫び声も。
最後は「ブレイコンスルー」を繰り返して、「エー、エー、エー、エー、エー」としつこく引っ張って、パタっと終わる。
これも、いい。
「ハートに火をつけて」は、ジムのだるそうな歌い方が面白い。
でも、やっぱり、最後は絶叫。
あと、レイのソロが聴きどころ。
アルバムのクライマックス、「ジ・エンド」は、11分40秒ほどある長い曲。
ギリシャ神話のエディプスの悲劇をヒントに、父親殺しと母子相姦に触れる歌詞がよく注目されるけど、私はそれよりもダークで妖しい音楽に惹かれた。
イントロのギターからして、妖しげだ。
そして、なんだか、エキゾチック。
同じくメロディー繰り返しに、♪シャン、シャン…とタンバリンの音が入る。
ゆったりとジムが歌い、♪チンタカラッタ…とドラムがリズムを刻み、♪タータラターター…とオルガンが繰り返す。
映画「コナン・ザ・グレート」の劇中の妖しげな音楽を思い出す。
悪役タルサの邪悪な教団の塔に、主人公コナン(アーノルド・シュワルツェネッガー)らが忍び込む場面。
塔ではいけにえの儀式が開かれていて、妖しげなメロディー繰り返しの音楽に合わせて、いけにえの女性が体をくねらせるうちに催眠状態になっていく。
「ジ・エンド」のトランス感は、ティエストの「エブリシング」、ナイン・インチ・ネイルズの「ハピネス・イン・スレイバリー(リミックス)」といった曲も思い出させる。
7分25秒あたりから、問題の歌詞。
ジムの叫びの後、グアッと瞬間的に音楽も盛り上がり、いったん、下がって、また、上がるという、波を作る。
8分50秒あたりから、だんだん、音楽のテンポが速くなり、9分50秒あたりで最高潮になる。
これで、終わらずに、余韻が続く。
ゆったりとジムが歌い始め、最後は、
タンバリンと「ディースィー、ジー、エーーーンド」でフィニッシュ。
このへんの余韻は、プリンスの「パープル・レイン」を思わせ、良い感じだ。
