マーカス・ミラー「フリー」
Marcus Miller 「Free」
私が好きなサックス奏者デビッド・サンボーンは「泣きのサンボーン」と言われる情感たっぷりの演奏で知られる。
そして、盟友のベース奏者マーカス・ミラーは「スラップ奏法」の名手で、すぐにそれとわかる独特の音色を奏でる。
スラップ奏法は、指で弦をたたいたり、引っ張ったりして打楽器的な音を出す奏法。
マーカスの2007年のアルバム「フリー」は、この個性的な2人の演奏が楽しめる。
サンボーン目当てで買ったけども、マーカスの演奏がかっこよくて、気に入った。
特にオープニング曲の「ブラスト」がいい。
これにはサンボーンは参加していないけど、このアルバムで一番好きな曲だ。
「ブラスト」はインド×イスラム×ラテンだろうか、多国籍感のあるエキゾチックな曲。
さらに、ヒップホップ的な手拍子が加わる。
多重録音で重ねたのだろう、マーカスのベースとシタール(インドの弦楽器)の演奏で始まる。
序盤から、これはわくわくさせられる。
手拍子とシンセサイザーが入って盛り上がり、33秒あたりからマーカスのベースソロ。
♪ブン、ブッ、ブブブブ…というベースに、♪チャッ…チャッ…と手拍子が絡む。
♪ビョーンと時折、シタールも。
シンセを挟んで、1分30秒あたりから、また、ベースが前面に出て、手拍子と絡む。
2分45秒あたりからのサックスは、ラテンというか、スパニッシュな印象。
ラテンの定番曲「シボネイ」でのパキート・デリベラ(サックス奏者)の演奏とか、ラテンの定番曲「闘牛士のマンボ」が思い浮かぶ。
(この「シボネイ」は、ダニエル・ポンセのアルバム「ニューヨーク・ナウ!」に収録)。
3分22秒あたりからのギターソロがこれまた、かっこいい。
しゃくるような弾き方が、イスラム音楽を思わせる。ニヤーズみたいな感じだ。
4分45秒あたりからマーカスのベースが前に出て、締めくくる。
このアルバムで、サンボーンの演奏は、情感たっぷりの「しみじみサンボーン」も、私が好きなファンク路線のサンボーンも、楽しめる。
収録曲「フリー」は、歌手デニース・ウィリアムスのポップソングのカバーだとか。
ゲストの歌手コリーヌ・ベイリー・レイがしっとりと歌う。
「フリー」という歌詞を繰り返す歌声と、マーカスのベースの絡みが味わい深い。
サンボーンは、終盤の4分26秒あたりから、しみじみとサックスを歌わせる。
アルバムを締めくくる曲「ホワット・イズ・ヒップ?」は、サンボーンの好演が光る。
ファンク・フュージョンといった趣の曲。オルガンがファンク感を高める。
やはり、サンボーンはファンク路線がいいな~と再認識させられる。
マーカスのベースで始まり、33秒あたりからサンボーンが前に出る。
♪プァ〜ラッパラッパ、パラッパッパッパ…と乗りの良いメロディーを奏でる。
このメロディーが癖になる。
オルガンを少し挟んで1分15秒あたりから、また、サンボーン。
1分43秒あたりから、甲高いブロウを交えて、徐々に盛り上げる。
2分28秒~3分37秒あたりのオルガンのソロが、かっこいい。
ちょっと、キース・エマーソン(ELPのキーボード奏者)を思わせる演奏だ。
終盤はマーカスの演奏で、フェードアウト。
この曲は、ファンクバンド、タワー・オブ・パワーの曲のカバーだとか。
「ブラスト」と並んで、このアルバムのハイライトだ。
