スティービー・ワンダー「トーキング・ブック」
Stevie Wonder 「Talking Book」
歌手スティービー・ワンダーの曲で、私が一番好きなのは「パートタイム・ラバー」(1985年のアルバム「イン・スクエア・サークル」に収録)。
そもそも、最初に接した曲が、この「パートタイム・ラバー」や同じアルバム収録の「オーバージョイド」、「心の愛」(1984年のアルバム「ウーマン・イン・レッド」に収録)だった。
だから、1972年のアルバム「トーキング・ブック」を聴いた時は、こんな音楽もやるのかと驚いたし、新鮮に感じた。
このアルバムを手にしたのは、大好きなデビッド・サンボーン(サックス奏者)、ジェフ・ベック(ギター奏者)がともに参加しているから。
当然、この2人の演奏が目当てだったのだけども、収録曲「迷信」を聴いて、これは、かっこいいと思った。
もともとはベックに提供するために作った曲だが、所属レーベルの反対により、先に自らのアルバムに収めて発売。
ベックらのバンド、ベック・ボガート&アピス(BBA)が1973年のセルフタイトルのアルバムに収めて、後追いする格好になった。
スティービーは、このおわびに、「哀しみの恋人達」をベックに提供。
ベックの1975年のアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」に収録された。
スティービー版「迷信」は、♪タン、タッタカタン…という軽快なドラムで始まる。
このへんから、既にわくわくさせる。
♪デレンデッデ、デデデデ、デッデッデデ…と続くクラヴィネット(キーボードの一種)のギロギロした音色がファンク感たっぷりで、とてもいい。
この曲の魅力のすべてと言っていい。
個人的には、BBA版「迷信」(クラヴィネットの部分のメロディーをギターで弾いている)より、スティービー版のほうが好みだ。
この曲で、スティービーの歌は特に何ともない。
スティービーの歌を考えれば、「パートタイム・ラバー」のほうが圧倒的に好きだ。
アルバム「トーキング・ブック」で、ベックの演奏が楽しめる収録曲は「アナザー・ピュア・ラブ」。
1分50秒〜2分20秒あたりで、情感たっぷりのソロを披露する。
「哀しみの恋人達」の時みたいに、♪タラタラタラタラ…と弾いている。
ここが良い。
「アナザー・ピュア・ラブ」を聴いた後で、「哀しみの恋人達」を聴いてみてほしい。
「哀しみの恋人達」は、さらに情感にあふれ、しみじみする。
ちなみにスティービーは「哀しみの恋人達」を元妻の歌手シリータの1974年のアルバム「スティービー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ」で発表した。
この曲は、ベック版のほうが好み。
「迷信」よりも、ベックの持ち味に合っていると思う。
「アナザー・ピュア・ラブ」も、しかり。
アルバム「トーキング・ブック」に話を戻す。
当時、ソロデビュー前だったサンボーンは、収録曲「チューズデイ・ハートブレイク」に参加。
ソロはなく、スティービーのバックで吹いてるだけだけど、サンボーンらしい音色を聴かせる。
欲を言えば、サンボーンとベックの共演を聴きたかった。
2人は、ジョン・マクラフリン(ギター奏者)の1995年のアルバム「プロミス」にも、そろって参加して、好演を見せるのだけども、共演はしていない。
たぶん、相性は良いと思うんだけど。
