ホレス・シルバー「ソング・フォー・マイ・ファーザー」
Horace Silver 「Song For My Father」
ピアノ奏者ホレス・シルバーは、トランペット、サックスといったホーンのかっこよさを引き出すのがうまい。
ピアノ、ベース、ドラムのトリオより、トランペット、サックスの2管を加えたクインテットでの演奏がおすすめだ。
だからと言って、ピアノ奏者としては、たいしたことがないのかというと、そうではない。
シルバーの演奏は、とにかく軽やか。
持ち味がよく味わえるのが、1965年のアルバム「ソング・フォー・マイ・ファーザー」のタイトル曲だ。
このアルバムは、シルバーの軽やかな演奏を軸に、見せ方をさまざまに変えているという点でも、面白い。
シルバーとサックス奏者ジョー・ヘンダーソンのソロで聴かせる曲あり。
5人それぞれのソロで聴かせる曲あり。
ホーンは前面に出さずに、シルバーとパーカッションで聴かせる曲もある。
タイトル曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」は、シルバーとヘンダーソンのソロで聴かせる。
10秒ほどの短いフレーズだけど、シルバーの持ち味が凝縮された屈指の名演がある。
ヘンダーソンのソロは中盤以降が圧巻。シルバーに呼応して、生き生きと躍動する。
この曲は、♪タタン、タタン、タタン、タタン…というピアノのフレーズの繰り返しで始まり、トランペットとサックスが、♪パッパッパ、パーパラパッパ、パーパラパッパ、パパパパー、パーパー…とテーマのメロディーを奏でる。
ここまでは、嵐の前の静けさというか、まあ、準備体操みたいな感じ。
1分40秒あたりでシルバーのソロが始まってからが聴きどころだ。
1分55秒あたりからの軽やかにじゃれるような演奏がとても味わい深い。
♪タタタ、タランタランタランタランタランタラン、タンタタン…と。
シルバー屈指の名演だと思う。
ここだけ、繰り返して聴きたくなる。
続いて、3分55秒あたりから、ヘンダーソンのソロ。これは、歌うようなというか、情感たっぷりだ。
4分10秒あたりから、♪パラパーパラ、パーパラ、パーパラパ…ときて、その後、だんだんと高まっていく。
4分35秒あたりから、♪パラパパラ、パラーーーッ!!と雄叫びを上げ、これを合図に躍動的な演奏を次々と見せる。
♪パパラパララパパラパパラ…とか。
♪パララッ、パララッ、パララッ…とか。
♪パパラパラッ、パパラパラッ…とか。
最後は、テーマの合奏で落ち着いてフィニッシュ。
収録曲「ケ・パサ」も、シルバーとヘンダーソンのソロで聴かせる。
シルバーのソロは、2分50秒あたりからの♪タララタララタララタララ…という軽やかな演奏がいい。
ヘンダーソンのソロは、4分55秒あたりからの速吹きがいい。
収録曲「ザ・ネイティブズ・アー・レストレス・トゥナイト」は、テーマのメロディーの合奏に続いて、トランペット、サックス、ピアノ、ベース、ドラムが順にソロを取る。
疾走感があり、スリリングな曲。このアルバムではタイトル曲の次に好きだ。
ソロの1番手はトランペット奏者カーメル・ジョーンズ。
0分55秒~1分20秒あたりが聴きどころ。
♪プルルルッ、プルルルッ、プルルルッ、プルルルッ、ププー…ときて、♪プルールッ、プルールッ、プルールッ、プルールッ、プップー…というところ。
2番手はヘンダーソン。
1分46秒あたりからソロを取り、いきなり、♪ププルル、プップー、ププル、プルールッ、プルールッ、プルールッ、プルルプルップー…と躍動する。
3番手はシルバー。
3分25秒あたりからの♪タランタランラッ、ラッタンタン、タランタランラッ、ラッタンタン、トゥルルン、トゥルルン…がいい。
4分10秒あたりからの♪タランタランタラン、タランタ、トゥッテッ、トゥッテッ、トゥッテッ、トゥッテッ、トゥットゥトゥ…も面白い。
続いて、ベース奏者テディ・スミス、ドラム奏者ロジャー・ハンフリーズが順にソロを取り、5人の合奏でフィニッシュ。
収録曲「カルカッタ・キューティー」は、ピアノとパーカッションで聴かせる曲だ。
この曲では、トランペット奏者がブルー・ミッチェル、サックス奏者がジュニア・クックと、私が好きなアルバム「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」の2管。
ホーンは序盤こそ出てくるが、後は鳴りを潜める。ソロもない。
イントロのパーカッションが妖しさを醸し出す。
♪チーン…とトライアングルみたいな音あり。
♪テテテテテ…という舌打ちみたいな音あり。これは、どんな楽器だろうか。
2分あたりから曲調が急に明るくなり、軽やかシルバーが冴える。
♪シャンシャン…とタンバリンみたいな音が絡んでくる。
5分5秒あたりから、ドラムのソロ。
シャッ、シャッ…マラカスのようなとパーカッションが絡む。
6分あたりからピアノが加わり、♪チーン…とか、♪テテテテテ…も出てきて、また、妖しさを醸し出す。
なかなか、トリッキーな曲だ。
