マイケル・ジャクソン「スムース・クリミナル」
Michael Jackson 「Smooth Criminal」
歌手マイケル・ジャクソンの魅力は、歌の随所で飛び出す気合いにあると思う。
「アォーッ!」のような叫び声しかり。
「ダッ」のようにリズムを整えるセルフ合いの手しかり。
曲によって、この気合いが存分に放たれる「暴れマイケル」モードと、気合い発出を控える「我慢マイケル」モードがあり、聴き比べると楽しい。
私が一番好きな曲「スムース・クリミナル」(1987年のアルバム「バッド」に収録)は、暴れマイケル。
冒頭から気合いがあふれている。
まずは「アォッ!」という叫び声。
そして、「チャッ」「シュクチュクッ」とセルフ合いの手が飛び出す。
この導入だけで、私はこの曲が好きになった。
その後も「アッ」「ダッ」「ダァオーッ!」「ホウッ!」が所々で現れる。
これは、マイケルらしさ満開の曲だ。
「スリラー」(1982年の同名アルバムに収録)も、暴れマイケル。
「アッ」「ダッ」「アォッ!」「ホゥー!ホゥー!」といった定番のほか、「オォウッ!」が飛び出す。
最後の笑い声「アーハッハッハ!」は、何だろうか。
同時代では、レインボーの名曲「治療不可」(1981年。「第九」のカバー)が曲の締めくくりに、オジー・オズボーンの名曲「月に吠える」(1983年)が曲の序盤に、それぞれ、笑い声を取り入れている。
この時代の空気感なのだろうか。
(以下の記事「ベートーベン交響曲第9番」で「治療不可」も紹介している)
我慢マイケルも捨てがたい味がある。
たとえば、「バッド」(1987年の同名アルバムに収録)。
気合いの発出を堪えて、比較的おとなしい「ダッ」だけにとどめている。
終盤の3分12秒あたりで、我慢しきれなくなったかのように「ホゥーッ!」を3連発。
これで吹っ切れたのか、その後も2回、「ホゥーッ!」が飛び出す。
「スムース・クリミナル」と同じくらい大好きな曲「ビート・イット」(1982年のアルバム「スリラー」に収録)も、我慢マイケルに含めていいかもしれない。
歌の合間に飛び込んでくる「ウーッ!」「プルルッ!」が印象深い曲。
ただ、別人の声のように聴こえるから、マイケルの堪えている感を損ねていない。
なおかつ、良いアクセントになっている。
この曲で、マイケルは、本当によく我慢している。
中盤までは、6回ほど、「ダッ」が最小音量で漏れるだけだ。
エディ・ヴァン・ヘイレンのギターソロに続く終盤は、叫び声を連発する。
3分32秒あたりで「ホゥーッ!ホゥーッ!」、3分39秒あたりで「ヘェーッ!ヘェーッ!」、3分52秒あたりで「ホゥーッ!ホゥーッ!」。
面白い歌手だと、つくづく、思う。
マイケルに限らず、私は、歌手が歌詞を歌うところよりも、気合いの発出とか、奇声、喘ぎ声とかに心を奪われてしまう。
プリンスも、そう。
カマロン・デ・ラ・イスラも、そう。
日本の歌手で、こんなノリを持ち合わせているのが、渡辺美里。
だから、私は、美里が大好きだ。
