「ブルガリアンボイスの神秘」
「Le Mystere Des Voix Bulgares」
ブルガリアの伝統的な歌唱法「ブルガリアンボイス」は美しく、それでいて、力強い。
こぶしを効かせたような歌い回しは、厳かで神秘的な雰囲気を醸し出す。
1986年に発売された「ブルガリアンボイスの神秘」は、ブルガリアの女性たちが歌う民謡を集めたアルバム。
私が手に取ったのは、ステラマラのソーニャ・ドラクリッチが歌うブルガリア民謡「プリトゥリ・セ・プラニナタ」を聴いたのが、きっかけ。
ブルガリアの合唱団が歌う同じ曲を聴いてみたいと思い、探したのだった。
発売元が、英国のインディーズレーベル「4AD」だというのが興味深い。
それぞれ個性的な歌手を擁するバンド、コクトーツインズとデッド・カン・ダンスを2枚看板とするレーベル。
コクトーツインズの歌手は、「天使の歌声」と呼ばれるエリザベス・フレイザー。
デッド・カン・ダンスの歌手は、呪文を唱えるように妖しく歌うリサ・ジェラルド。
エリザベスも、リサも、このアルバムを絶賛しているという。
(デッド・カン・ダンスの名曲「熾天使軍」では、リサがブルガリアンボイスみたいな歌い回しを見せている)。
アルバム「ブルガリアンボイスの神秘」の収録曲で、私が一番好きなのは「ピレンツェ・ペエ」。
漫画「鬼滅の刃」(吾峠呼世晴)のテレビアニメ版の初期に、BGMに使われたから、聴いて、あっ!と思う方もいるのではないか。
各話のタイトルが表示される時に、この曲のさわりだけ流れていた。
私がこのアルバムを手に取るきっかけになった収録曲「プリトゥリ・セ・プラニナタ」は、笛のような民族楽器が哀愁を高めている。
ステラマラのバージョンと聴き比べてみてほしい。
収録曲「スヴァトバ」は、重層的なコーラスが美しい。
早口のコーラスや掛け合いみたいなところも面白い。
何だか、手遊び歌みたいにも思える。
「アルプス一万尺」が思い浮かんだ。
収録曲「カリマンコウ・デンコウ」は、さわりを聴くと、キリスト教の聖歌みたいな趣。
シューベルトの「アヴェ・マリア」が思い浮かび、そして、テレビアニメ「フランダースの犬」の最終回を思い出した。
もちろん、それはさわりだけで、その先はブルガリアンボイスならではの歌い方。
声を伸ばしながら、こぶしを効かせる歌い方がよくわかる曲だと思う(0分24~30秒あたりとか、0分44~50秒辺りとか)。
