ライト・イン・バビロン「イェニ・ドゥンヤ」
Light In Babylon 「Yeni Dunya」
フラメンコにジャズの要素を加えたパコ・デ・ルシア六重奏団の音楽に子どもの頃から親しんだせいか。
伝統的な音楽を現代風にアレンジした音楽が好きだ。
トルコを拠点に活動する3人組ライト・イン・バビロンの音楽も即刻気に入った。
歌手&ダラブッカ奏者ミハル・カマルの力強い歌と、メテハン・チェフチェが奏でるサントゥールの美しい音色が魅力。
これに、ギター奏者ジュリアン・デュマークが絡む。
ミハルは、イラン系イスラエル人。ヘブライ語やトルコ語を使い分けて歌う。ダラブッカはアラブやトルコで使われる太鼓。
ミハルの両親はイラン出身で、イラン革命の難を避けてイスラエルに来たのだとか。
イランでは女性が人前で歌ったりできないらしく、ミハルの願いは、両親の祖国イランで歌える日が来ることだという。
このへんのドラマにも惹かれる。
メテハンはトルコ人、ジュリアンはフランス人と国際色豊か。
サントゥールはイランの打弦楽器。箱に金属製の弦が張ってあり、棒で叩いて鳴らす。ピアノと琴の中間みたいな音色。
何年か前の来日でライト・イン・バビロンを知った。
公演には、仕事の都合がつかずに行けなかったけども、公演の案内サイトで曲を聴いて気に入り、アルバムを買った。
そのアルバムが「イェニ・ドゥンヤ」(2016年)。
タイトルは「新しい世界」という意味のトルコ語だとか。
収録曲「レジェンド」は、ミハルのスキャットとサントゥールが絡む美しい曲。
ギターに続いて、サントゥール、ダラブッカが加わるイントロ。
そして、「フゥウウウー、フゥウウウー…」というスキャットとサントゥール。
この後、ミハルの力強い歌。巻き舌がいい。歌詞はヘブライ語らしい。
そして、また、フゥウウウー。
この緩急が心地よい。
ライト・イン・バビロンの曲で、私が最初に聴いたのが「ヤー・サハラー」。
「おお、砂漠よ」という意味のヘブライ語だとか。
ミョンミョンしたイントロからして、中東ムードたっぷり。
ミハルは、ゆったりと歌う。
波に揺られるような心地になれる歌い方がいい。
ジュリアンは、アラブの弦楽器ウードを奏でる。
タイトル曲「イェニ・ドゥンヤ」は、アルバムのオープニングナンバー。
何やら始まる感が漂うイントロがいい。
「アー、アー、アー…」という歌声が加わって雰囲気を盛り上げる。
サントゥールの音色もよく味わえる。
(アコースティック版の動画しか見つけられなかった。以下の通り)
収録曲「ジャヌム・べニム」は、リズムの緩急が癖になる。
♪タッタータ、タッタータ…というギターと、♪フルルル、フルルル…というクラリネット(ゲスト演奏家)でじんわりと始まり、サントゥール、ダラブッカが登場。
そして、アップテンポに変化する。
ミハルのリズミカルな歌い方がいい。
そして、「ウーウー、ジャヌム・ベニーム」と2度繰り返したかと思うと、「タックリアル!」と叫ぶ。
これがいい。
なお、「ジャヌム・べニム」は「私の愛しい人」という意味のトルコ語だとか。
サントゥールと似た打弦楽器には、ハンガリーのツィンバロン、中国の揚琴がある。
ディープ・フォレストの曲「カフェ・ヨーロッパ」はツィンバロンを取り入れている。
デッド・カン・ダンスの歌手リサ・ジェラルドは揚琴の演奏家でもある。ライブ盤にある曲「ラキム」でよく味わえる。
聴き比べてみると、面白い。
(以下の記事「トゥワード・ザ・ウィズイン」で「ラキム」を取り上げているほか、ディープ・フォレストの「カフェ・ヨーロッパ」も紹介してある)
中東の音楽に興味がわいたら、ニヤーズもおすすめ。
イラン生まれ、インド育ちの歌手アザム・アリの歌が妖艶でエキゾチック。ウードの音色もいい。
あと、ジョン・ゾーンがユダヤ音楽をオーネット・コールマン風に味付けした「マサダ」プロジェクトの音楽か。
いや、ゾーンは癖が強いから・・・
マサダに賛同したパット・メセニーのアルバム「タップ」がいいかもしれない。
中東感を漂わせつつ、パットらしくドラマ性のある音楽に仕上げている。
