ジ・アゴニスト「パノフォビア」
The Agonist 「Panophobia」
メタル歌手アリッサ・ホワイト=グラズが女性だけのバンド、ブルー・メデューサを結成。3月21日にデビューシングル曲「チェックメイト」を発表した。
アリッサは、ダミ声のデスボイスと澄んだクリーンボイスを使い分ける歌唱が持ち味で、メタルバンド、ジ・アゴニストの創設メンバー。
2014年にアーチ・エネミーに移籍、2025年11月に脱退していた。
「チェックメイト」、YouTube動画で聴いてみた。
迫力が足らないように感じるけど、アーチ・エネミー脱退直後に発表したソロシングル「ザ・ルーム・ウェア・シー・ダイド」よりはいいかも。
どちらの曲も、デスボイスとクリーンボイスを使い分けるスタイルは歓迎だ。
ブルー・メデューサでの今後の活動に期待したい。
アーチ・エネミーでは、バンドの音楽性に合わせてクリーンボイスを封印し、自分の持ち味を生かしきれていなかった。
2022年のアルバム「デシーバーズ」の収録曲「ハンドシェイク・ウィズ・ヘル」、2025年のアルバム「ブラッド・ダイナスティ」の収録曲「ライアー&シーブズ」でクリーンボイスを復活させ、デスボイスとの使い分けを見せた程度だ。
やっぱり、ジ・アゴニストの頃が、アリッサの持ち味が存分に発揮されていたのではないかということも、あらためて感じる。
私がジ・アゴニストとアリッサを知ったのは、何か良い曲がないかとネットを探索していて「パノフォビア」の動画を見つけたのがきっかけ。
デスボイスとクリーンボイスを使い分けるアリッサが即刻気に入った。
そして、♪ズダダダ…と力強くて速いリズムを刻むドラム。
これがバンドの音楽を支え、緊迫感を高めている。
「パノフォビア」を収めた2012年のアルバム「プリズナーズ」を購入。
収録曲「アイディアモーター」「エブリバディ・ウォンツ・ユー」も気に入った。
「パノフォビア」は凶暴で疾走感が高く、バンドの持ち味が存分に発揮される曲。
デスボイスで始まる。
デスボイスで歌い続け、途中でおもむろにクリーンボイスに切り替わる。
この落差が心地よい。
その後、デスボイス、クリーンボイス、デスボイス、クリーンボイス、デスボイス、クリーンボイスと切り替えて緩急をつけながら歌う。
ズダダダドラムもよく味わえる傑作。
「アイディアモーター」は中盤までアリッサの歌で聴かせ、終盤はギターで聴かせる。
クリーンボイスで始まり、0分55秒〜1分36秒あたり、デスボイスとクリーンボイスの掛け合いが聴きどころ。
デスボイスとクリーンボイスを切り替えながら、展開していき、5分54秒あたりから、♪ズダダダというドラムを皮切りに、歌抜きで聴かせる。
6分17〜45秒あたりとか、6分54秒〜7分17秒あたりでのギターの流れるような速弾きが終盤の聴きどころだ。
「エブリバディ・ウォンツ・ユー」は、アリッサの歌声に口笛や悲鳴が絡む仕掛けが面白い。
イントロのギターに続いて、デスボイス、クリーンボイス、デスボイス、間奏、デスボイス、間奏と展開。
いったん、沈静化した後の3分14秒あたりから、口笛が始まる。
これに「ハァーアーアー」とクリーンボイスが加わって絡む。
このあたりはピンクフロイドの曲「吹けよ風、呼べよ嵐」みたいな雰囲気。
3分42秒あたりから、デスボイスに切り替わり、悲鳴が絡む。
このあたりはブラックサバスの曲「アイアンマン」みたいな雰囲気。
4分34秒あたりから、激しい曲調になり、デスボイスで歌い、プツリと途切れるように終わる。
この唐突感が不気味さを倍増させる。
(以下の記事「スロッビング・グリッスル」で、「吹けよ風、呼べよ嵐」にも言及)

