ホレス・シルバー「ニカズ・ドリーム」
Horace Silver 「Nica's Dream」
ジャズピアノ奏者ホレス・シルバーは、軽やかな演奏が持ち味だ。
ジャズ界のモーツァルトと言っていい。
軽やかシルバーの名曲は、最大瞬間風速的な意味合いで言えば、「ソング・フォー・マイ・ファーザー」だろう。
1965年に放ったアルバムのタイトル曲。
1分55〜59秒あたり、♪タタタ、タラン、タラン、タラン、タラン、タラン、タラランタ…と軽やかに、じゃれるような演奏は、えも言われぬ味わい深さがある。
ここだけ繰り返し聴きたくなるほどだ。
そして、軽やかシルバーをじっくりと堪能できる名曲と言えば、「ニカズ・ドリーム」をおいてあるまい。
1960年のアルバム「ホレス・スコープ」に収録。
まずは、2管が前面に出て、♪パッ!パッ!パッ!…パパラパラパ…パラー、パッパッパパー…パパララパー、パッパッパパララパー…と勢いよく歌いだす。
この曲の前半、シルバーは引き立て役に回り、ホーンに存分に歌わせる。
後半の3分28秒〜5分28秒あたりがシルバーのソロ。
緩急をつけて展開していく。
3分45秒〜4分0秒あたりが聴きどころ。
♪タッタラタラン、タッタラターラン、タッタラタッタターラ、タッタラタラッタ…と微妙に変化をつけながら乗ってきて、♪タラララ、タッタッタッタッ、タラッタータ、タータータラランラン…と流れていく。
この直後も聴き逃せない。
4分21秒あたりから、♪タラララ、タラララ…と流れるような演奏を見せ、4分29秒あたりから、♪タタンタン!タタンタン!と強く出た後、4分36秒あたりから、♪タッタッタッタ、タッタッタッタ、ターンタータ…と、また軽やかになる。
きっと、シルバーは涼しい顔だ。
軽やかでありながら、変化に富んでいてグルーヴ感があり、スリリングなのがいい。
曲の締めくくりは力強い。
パパラパパラパパッ!(ホーン)
タタラタン(ピアノ)
パーーー!(ホーン)
ピピピピピピピンッ!(ピアノ)
・・・という感じだ。
このような力強い演奏を味わうなら「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」がおすすめ。
「ニカズ・ドリーム」は、シルバーを敬愛するピアノ奏者セルジオ・メンデスがカバーしている。
まだ、セルメン・サウンドに目覚めていない頃の1961年のアルバム「ダンス・モデルノ」に収めてある。
ホーン抜きのピアノ主体の演奏で、ラテン風味の入ったジャズという仕立て方。
1分30秒〜2分0秒あたりでは、軽やかシルバー風の演奏も見せる。
シルバーらに憧れて、ジャズに傾倒したセルジオの歩みを知るうえでも興味深い。
(以下の記事「モーニン」では、「ニカズ・ドリーム」のカバーにも言及)
ジャズ歌手ディー・ディー・ブリッジウォーターの1995年のアルバム「ラブ&ピース〜トリビュート・トゥ・ホレス・シルバー」も聴き比べてほしい。
シルバーの名曲のカバー集。もちろん、「ニカズ・ドリーム」も入っている。
シルバーの曲は、歌がよく合うことに、あらためて気づかされるはずだ。
シルバー本人もノリノリで参加し、軽やかなソロ演奏を見せる(2分40秒〜3分44秒あたり)。
「ニカズ・ドリーム」を収録したシルバーのアルバム「ホレス・スコープ」では、収録曲「イェー!」もいい。
まずホーンに歌わせる展開は同じ。
2分30秒〜4分0秒あたりがピアノソロで、3分あたりからが聴きどころ。
(以下の記事「パロ・コンゴ」では、シルバーのアルバム「ホレス・シルバー・トリオ&アート・ブレイキー、サブー」にも言及)
(以下の記事「プレッツェル・ロジック」では、「ソング・フォー・マイ・ファーザー」にも言及)
