アヌーシュカ・シャンカール「トレース・オブ・ユー」
Anoushka Shankar 「Trace Of You」
インド音楽の巨匠だった亡き父ラヴィ・シャンカールをしのんで、異母姉のジャズ歌手ノラ・ジョーンズと共演した。
インドの弦楽器シタールの奏者アヌーシュカ・シャンカールが2013年に放ったアルバム「トレース・オブ・ユー」。
タイトル曲では、ノラの温かいハスキーボイスを前面に出して、しみじみと父をしのび、バックに回って盛り立てる。
収録曲「チェイシング・シャドウズ」では、父譲りのシタール演奏の腕前を存分に発揮。インドのラッパ、シェーナイと躍動的な掛け合いを見せ、成長ぶりを伝える。
インド音楽に軸足を置きながら、新しい音楽を模索する姿もアピールする。
収録曲「ラーシャ」では、凸レンズのような形をした金属製の打楽器ハングと掛け合い、収録曲「メタモルフォシス」では、電子音のビートに乗せて、幻想的な世界に誘う。
なかなか、素敵なアルバムだ。
この4曲に絞って、もう少し紹介してみる。
「トレース・オブ・ユー」は、アヌーシュカの叙情的な演奏に、インドの太鼓タブラが絡んで始まる。
聴きどころはノラの歌。
多重録音で、追いかけるように歌声を重ねているのが面白い。
歌の区切りに発する「フゥウー」という声も味わいがある。
ノラは、ほかに2曲で歌う。
「ザ・サン・ウォント・セット」もアヌーシュカがバックで盛り立てる。
「アンセッド」は、ノラの歌とピアノが主体で、ジャズ風味が強い。
「チェイシング・シャドウズ」は、軽快な曲。
アヌーシュカのシタールにタブラ、シェーナイが絡む。
1分46秒〜2分30秒あたりが、シェーナイのソロ。
3分32秒~4分10秒あたりが、インドの横笛バンスリのソロ。
4分17秒~4分57秒あたりがタブラのソロ。これがなかなか、いい。
5分12秒~6分38秒あたりがアヌーシュカのシタールのソロ。
そして、6分55秒~8分0秒あたりがアヌーシュカのシタールとシェーナイの掛け合い。
これがスリリングで聴きどころだ。
「ラーシャ」は、女性的で優雅な踊りを意味するタイトルの通り、躍動的な曲。
スイス生まれの打楽器ハングは、スティールドラムを少し低くしたような音色だ。
♪シャララララン…とインド音楽らしい楽器の音色の後、アヌーシュカの流れるような演奏になる。
0分50秒あたりから、ハングの乾いた金属音が絡む。
0分57秒あたりからの掛け合いが聴きどころ。
そして、ハング、アヌーシュカのシタールが順にソロを取り、いったん、沈静化。
2分53秒あたりから、男性の歌声が加わってインド風味が増し、アヌーシュカのシタール、ハングが絡んで、躍動的な演奏になる。
ここも聴きどころだ。
「メタモルフォシス」は、不思議な味わいのある曲。
アヌーシュカが歌声を披露しているようだ。
♪タッタカタ、タッタカタ…という電子音のビートが繰り返され、これが癖になる。
アヌーシュカのシタールとシェーナイが主体。
3分13秒あたりから最後までの盛り上がりが聴きどころ。
呪文を唱えるような雰囲気の歌声がアヌーシュカだろうか。
(以下の記事「ミラン」で、アヌーシュカがカーシュ・カーレイと共同制作したアルバム「水の旅」に言及)
(以下の記事「ロックイット」で、アヌーシュカが参加したハービー・ハンコックのアルバム「イマジン・プロジェクト」に言及)
(以下の記事で取り上げたハービーのアルバム「リバー」には、ノラが参加)
