てっちレビュー

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チック・コリア「ライト・イヤーズ」 「なんちゃってTスクエア」とも言うべき異色作 ファンキーなベースと意外に合うのは発見だった (おすすめ名曲名盤)

チック・コリア「ライト・イヤーズ」

Chick Corea 「Light Years」

 

これは、間違えて買ったアルバム。

しかも、期待していたサウンドと違っていたから、最初は面食らった。

ブックオフに持って行こうかと何度も思ったものだ。

だけども、聴いているうちに、だんだん、良く思えてきた。

これは、これで、ありじゃないか、と。

ピアノ奏者チック・コリアが1987年に放ったアルバム「ライト・イヤーズ」。

正確には、チック・コリア・エレクトリックバンド名義のアルバム。

 

なんで、間違って買ったかというと・・・

子どもの頃、父がラジオ番組から録ったカセットテープで聴いたチック・コリアの曲「フラメンコ」が気に入っていたのだけども、曲のタイトルがうろ覚えだった。

大学時代にCDで買おうと思った時、店頭で「ライト・イヤーズ」の収録曲に「フラミンゴ」と書いてあるのを見て、「フラメンコ」だったような気がするけど「フラミンゴ」だったかもしれない、と勘違いしてしまった。

(なお、「フラメンコ」は、チックがフラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアに捧げた曲で、1980年のアルバム「タップ・ステップ」に収録)。

 

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「フラミンゴ」は当然ながら「フラメンコ」と違うし、似ても似つかない曲で、ガッカリした。

アルバム「ライト・イヤーズ」は、オープニングのタイトル曲からして、私がそれまで抱いていたチックの音楽のイメージと違った。

えっ?Tスクエア?と思うようなポップな音楽。

いや、Tスクエアは、Tスクエアで良いし、好きな曲もあるのだけど、チックがそれをやるか~と思った。

 


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まあ、そこらへんは、多芸多才なチックらしいところ。

ライナーノーツに引用してあるチックのインタビュー(「キーボード・マガジン」1987年6月号より)を以下に抜粋してみる。

 

今回はヒット・レコードを作りたかった。ジャズ・オーディエンスの枠を超えなくちゃいけないと思っているし、このアルバムでそれができるように頑張ったんだよ。入っている曲の何曲かはポップスと一緒にラジオでかけてもらえそうな曲なんだ。これを聴く人たちが踊れるようなものにしたかったんだ。いつでも、シリアスなものばっかり、やっていたいわけじゃないさ。このレコードは気楽に聴いてほしいよ。

(異常、抜粋)

 

おまえの気分転換かい!ええ加減にせえよ、と思った。

おまえの本分はスパニッシュ路線だろう、と思った。

「アルマンドのルンバ」(1976年のアルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」に収録)で、既に十分、踊れるだろう、と思った。

「エル・ボゾ・パート2」(「マイ・スパニッシュ・ハート」に収録)で、既に十分、おちゃらけとるだろう、と思った。

1981年のライブ・アンダー・ザ・スカイでパコと共演した「イエロー・ニンバス」、リターン・トゥ・フォーエバー名義の「浪漫の騎士」みたいに、正座して傾聴せな、いけんような熱い演奏こそ、こっちは求めとるんだ、と思った。

 

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ところが、すっとぼけているようでも、この人は、やっぱり天才。

チックお得意の「なんちゃって」であり、このアルバム「ライト・イヤーズ」は「なんちゃってTスクエア」とでも言うべき作品だったのだ。

よく聴くと、ポップなようでいて、決めるべきところではビシッと硬派に決めている。

そして、ファンキーなベースやサックスとの組み合わせが意外にいい。

マーカス・ミラーを思い起こさせるようなスラップ奏法を見せる、エレクトリックバンドのベース奏者はジョン・パティトゥッチ。

(スラップ奏法は、弦を指で引っ張ったり、たたいたりして打楽器的な味わいを出す奏法。ベース奏者のマーカスがその達人)。

チックにはめられて、パティトゥッチいいなと思ってしまい、パティトゥッチのソロアルバムも買ってしまったほどだ。

どうせなら、マーカスと、そのファンク路線の盟友デビッド・サンボーン(サックス奏者)と、チックの共演が聴いてみたかった・・・

 

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アルバム収録曲をいくつか紹介しておく。

タイトル曲「ライト・イヤーズ」は、♪タラタッ!タッ、タッ、タッタッ!…と、キャッチーなメロディーが癖になる。

1分15秒あたりから、チックの美しいシンセサイザー演奏。

そして、ギターやサックスが続く。

パティトゥッチの演奏は曲の終わり際、3分25秒あたりが、特にいい。

 


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収録曲「タイム・トラック」は、いかにもTスクエアな雰囲気の曲だ。

そして、パティトゥッチのスラップ奏法がよく味わえる。

 


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収録曲「ザ・ドラゴン」は一転して、落ち着いた曲で、箸休め。

♪タッタラ、タッタラ、タータター…の繰り返しが癖になる。

 


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そして箸休めの後、アルバム終盤に差しかかると、なんちゃっては影を潜め、かっこいいエレクトリックジャズの曲が続く。

ここからは、いつものチックという感じで、安心して聴ける。

 

たとえば、「ヴュー・フロム・ジ・アウトサイド」。

チックのシンセサイザーが縦横無尽に駆け回る。

0分49秒~1分3秒あたり、1分21秒~1分36秒あたり、4分9秒~4分16秒あたりが聴きどころだ。

曲は終盤、5分40秒あたりで沈静化。♪ファー…と余韻を残して終わる。

 


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収録曲「カレイドスコープ」も、かっこいい。

♪チャッチャ、チャッチャッ!…ドゥン…という拍手のような音とパーカッションで始まる。

そして、♪チャンチャラチャンチャン…と、何だか、異国情緒を漂わせつつ、展開する。

チックの演奏は、2分10秒~2分30秒あたり、3分35秒~3分55秒あたりとか、特に、4分19秒~6分28秒あたりが聴きどころ。

このへんの演奏を聴いていると、アルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」が思い浮かんできて、スパニッシュ路線、忘れていないなと、ホッとする。

 


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